買い手としての興味から「届ける側」に。株式会社レザックスで営業を務める小野さんと、企画補佐として商品デザインやカタログ制作を担当する熊野さん。プロ野球12球団のライセンス商品をはじめ、「スポーツをもっと身近にしていく」をコンセプトに幅広いスポーツ用品を取り扱っています。営業担当や企画担当の距離が近い中で現場の声が活かされるモノづくりと、それらを届けるための提案に向き合っています。小野さんが「小さなアトラクション」と例える売り場を創り上げ、異なる部門で連携しながら生み出された商品を展開する。それらを通じてスポーツの楽しさを世の中に届けています。仕事を通じてスポーツと人の距離を近づけていく日々のなかに、働く楽しさとやりがいが広がっていました。
(取材・執筆:伊藤 千梅、編集:伊藤 知裕、池田 翔太郎)
――お2人がレザックスと出合うまでの経歴を教えてください。
小野 もともとは美容業界で働いていて、美容専門学校を卒業後、ヘアメイクの事務所に就職しました。技術者として7年ほど現場に立っていたのですが、あるとき「営業をやってみないか」と声をかけられたのが、今のキャリアの転機でした。当時は社内のヘアメイクだけでは対応しきれない案件も多く、外部スタッフの手配や、クライアントとの調整や交渉を任されるようになっていきました。それが営業職としてのはじまりだったと思います。その後、別の会社を経て、家庭をもち「自分が今後どう働いていきたいか」を見つめ直すタイミングがあり、その中で出合ったのがレザックスでした。
熊野 私はもともと、デザイン系の専門学校でイラストを専攻していました。動物が好きだったこともあり、最初はペットショップで1年半ほど働いていたんです。でも「せっかく学んできたことを仕事に活かしたい」という思いが強くなり、デザイン系の仕事を探していたところ、同じ専門学校に通っていた人がレザックスに勤めていて、声をかけてもらったのがきっかけでした。

――レザックスに入社した決め手は?
小野 正直、それまでスポーツ用品を扱う会社で働く選択肢はまったく考えていませんでした。でも求人を見たときに、「こういう業界があるんだ」と新鮮に感じて、自分も昔サッカーをやっていてスポーツは好きだったので、自然と興味を惹かれました。
熊野 私は学生時代にソフトボールをやっていて、スポーツはずっと身近な存在でした。父がゴルフ好きだったこともあって、子どもの頃からゴルフ用品に触れる機会もありました。実際に使っているところを見たことはあっても、作るのは「どんな感じなんだろう?」と興味をもったことが決め手だったかもしれません。
――お2人とも、元々スポーツには馴染みがあったのですね。
小野 そうですね。あとはもともと美容業のときも、自分の好きな化粧品を集めたり、小物を手に取ったりするのが好きだったので、「形のある商品」を扱うことに魅力を感じていました。入社してみると、ゴルフ用品ひとつ取っても、グローブやボール、クラブなど本当に多種多様な商品があって。「こんなにバリエーションがあるんだ」と驚かされたのを覚えています。子どもの頃から身近だったスポーツ用品を、今度は“届ける側”として関われることも一つの魅力だと感じました。楽しいと思えることを仕事にしたいというのが自分の中の基本軸としてあるので、レザックスはとてもフィットした場所でした。
――小野さんは営業として、普段どのようなお仕事をされていますか?
小野 営業の仕事は、新商品の案内や提案書の作成に始まり、得意先の店舗への訪問、商品陳列の見直し、新商品の登録・手配、そして倉庫とのやり取りなど多岐にわたります。商品にも入れ替わりのサイクルがあるので、古い商品を新しいものに切り替えるタイミングなども見極めながら動いています。また、お取引先に伺って新商品の紹介や、価格の相談を行うことも大切な仕事です。ベースの価格は決まっていますが、現場での調整も含めてご提案しています。

――会社にいるよりも、外に出ている時間のほうが長いんですね。
小野 そうですね、基本的には現場に出ていることが多いです。1日に複数の店舗をまわることもありますし、出張ベースでの営業活動もあります。月の半分くらいは地方をまわっていて、北関東や東北の一部、千葉、都内近郊などが担当エリアです。時期によっては車で2カ月5000キロ移動することもありますが、基本的には自分でスケジュールなど段取りを組んで、裁量を持って取り組んでいます。うちの営業は“顔を出す”ことをすごく大事にしています。単に商品を送るだけでなく、現場に足を運んで直接やりとりすることで、信頼関係が築けると思っています。もちろん、価格の競争力は重要ですけど、同じ商品なら「よく来てくれる、あの人から買いたい」と思っていただけるような関係性を目指しています。人とのつながりを大切にできる人にとっては、やりがいを感じやすい仕事だと思いますね。
――熊野さんは企画補佐として活躍されていると伺いました。
熊野 企画担当がもう1人いて、私はその補佐として主にデザイン業務を担当しています。例えばバッグで新しい商品を作る際は、まず「今どんなバッグが流行っているのか」といったリサーチから始めます。実際にお店を回って消費者がどんなものを求めているのかをチェックしながら、市場のニーズを読み取っていくんです。方向性が決まったら、デザインソフトを使ってロゴの位置や配色、生地の選定など、具体的なデザインを私が制作します。ロゴはプリントか刺繍か、タグやパッケージの仕様はどうするかといった細かい部分まで詰めていきます。製品によっては海外の自社工場で生産していたりするので、サンプル依頼から完成まで何度もやり取りを重ねて細部を調整して作り上げていく。地道な作業の連続です。
――商品以外に、パッケージなども担当されているのですか?
熊野 そうですね。タグや箱といった商品の付属パーツのデザインにも携わっていますし、毎年発行しているカタログの構成も担当しています。その年の新作モデルを撮影して、ページ構成やレイアウトを考えながら編集作業を進めています。必ずしもデザインスキルが必要というわけではありません。企画職は「どんな商品をつくるか」を考える役割なので、アイデア力や市場を見る目が大切になってくると思います。デザインは専任の担当がしっかりサポートするので、企画とデザイナーの役割をすり合わせながら、いいものを形にしていく流れですね。

――営業と企画補佐、それぞれの立場でお仕事されていますが、どんなタイミングでコミュニケーションを取ることが多いですか?
熊野 営業の方は基本的に外回りが多いので、会社で顔を合わせるのは週に1回くらいでしょうか。そのタイミングで「この商品を提案したいけれど、素材はどうなっている?」など、営業さんからデザインや仕様についての質問を受けることがあります。
小野 提案書などに基本的なスペックは記載されていますが、お客様からの細かい質問に対応するために、企画側と確認を取ることも多いです。「サンプルはいつ上がってくる?」「仕様変更はありそう?」といった確認をするのも、企画との連携ポイントですね。特に、製品化に進むかどうかの判断をする段階では、営業としての意見を伝える機会があります。品評会のような形で「もう少しここをこうしたほうがいいのでは?」とフィードバックを共有する場があるんです。もちろん最終判断は上司ですが、現場の声として意見を出せる場があるのはありがたいです。
――現場の声が活かされる環境なのですね。
小野 業務日報にも「お客様からこんな声があった。こんな商品が欲しい」などと書くようにしています。たとえば「商品自体をもっと見やすくしたほうがいいのではないか」など、実際にいただいた意見を共有することで、次の商品企画に活かしてもらえることもあります。あとは、日常的な雑談の中からアイデアが生まれることもありますね。「そういえばこんな話があってさ」と気軽に話せる空気感があるからこそ、営業と企画が近い距離でいられるのかなと思います。実現するかしないかは別として、そういったコミュニケーションが原動力になっている部分はあります。…あれ、何か間違ってますか?
熊野 そんなことないですよ(笑)。
小野 良かったです(笑)。

――お仕事をされる中で、どんな時にやりがいを感じますか?
小野 レザックスの営業はただ「売る」だけではなく、売り場全体の企画に関われるのが他の会社とは異なる大きなやりがいです。僕は勝手に「小さなアトラクションを創っている」感覚を持っています。お客様は大抵、目的買いをしに来ていると思うのですが、それだけでは見向きもされない。でもその一角に、目的の商品に関連したモノに特化したコーナーがあると、気が向くわけです。偶然の出会いをつくる売り場が出来ることで、結果として商品が売れて、気が付けば棚から在庫がなくなっている。その瞬間が一番の手応えですね。
私たちはプロ野球12球団とライセンス契約を結んでいて、それらを活用した商品を多く展開しています。例えば「この一角をA球団(の商品)だけのコーナーで作らせてほしい」とか、各球団のロゴが入ったゴルフ用品を使って「このコーナーを全てレザックスで構成しよう」といった提案が反映されて、形になることがあります。店舗側から「良い売り場ですね」と言われたり、お客様が商品を手に取って笑顔になる姿を見ると、頑張って良かったと思います。お店の主体となる部分に、我々の意志がインスパイアされるという瞬間は、やってて良かったと思えますね。

(レザックスの展示会の様子)
――店舗の売り場づくりにまで携われるのは、信頼関係の証でもありますね。
小野 売り場を広げることは、それが反映されなかった場合は規模が縮小されます。そういう評価をされるので、そこら辺のせめぎ合いは難しいと思うんです。信頼関係づくりも、時間がかかります。最初は事務的なやり取りだけでも、雑談を重ねていく中で「じゃあこれやってみる?」と話が膨らんでいくこともあります。「小野さんだから」と言ってもらえるなど、人と人との関係性が築けたときはうれしいし、やっていて楽しいなと感じる瞬間ですね。成果が上がらない場合は代替提案を用意したり、売り場の見せ方を変えてみたり、いろんなパターンを試しながら、信頼を積み重ねていく必要があります。
――熊野さんは商品のデザインをしていて、どんな時にやりがいを感じますか?
熊野 最初に画面上でつくったデザインが、サンプルとして立体で上がってきたときが一番感動します。例えばゴルフの商品を作る際、出来るだけ年齢層高めの男性に刺さるデザインや色を意識します。なので社内でゴルフをする方に、流行りのデザインや色なんかを聞いたりしています。ほとんどゼロから生み出すことになるので、自分が思い描いていたイメージとギャップがあることもあるんですけど、そこに手を加えて、だんだんと「これだ」と思えるものに近づいていく過程はとても楽しいです。それが店頭に並んで「この商品、すごく売れてるよ」と営業の方から聞いたときは本当にうれしいですね。
一方で、扱う商品の数が本当に多いところが大変です。一つのデザインに集中したくても、いくつもの案件が同時並行で進んでいるので、進行管理にかなり気を使います。「あっちの修正をして、こっちを戻して、また新しいデザインを…」と、常に切り替えながら動かないといけないので、頭の中がごちゃごちゃになりそうになる時もあります(笑)。

――確かにそれは大変そうですね。
熊野 素材や色味も、生地が違うだけで発色が変わってしまうこともありますし、思い通りに仕上がらないときは何度も調整が必要です。特に球団とのライセンス商品は、グラブやボール、バッグなど多岐にわたるうえに、12球団すべての商品をほぼ同時に仕上げなければいけないこともあって……スケジュール管理は本当に大変ですね。あとは球団によって、これはOKだけどこのロゴを使うのはNGとか、この色味はダメとか、注文も変わってきます。でもだからこそ、完成した時の達成感も大きいです。
小野 企画さんの力って今の時代とても大事で、例えばパッケージ1つとっても売り上げにすごく影響したりするんですよね。なので、いつも本当にありがとうございます(笑)。
――今後、この会社でやっていきたいことはありますか?
小野 単純に、おもしろい商品に常に出会い続けたいと思いますし、いろんな人に会いたいっていうのはありますね。人それぞれ趣味嗜好も違いますし、「こんな考え方があるんだ」という出会いが、自分の提案にも変化をもたらしてくれるんです。売り場作りには提案者のセンスや裁量が問われますが、提案が他の人に必ずしも合うとは限らない。だからこそ人との出会いによって自分の可能性が広がっていくのを感じられるのが楽しいですし、それが形になれば生きがいになります。
熊野 ゴルフ業界の中でどんどん新しいものが作られていく中で、画期的と思えるようなものを、自分の手で考えて形にしていきたいです。お客様に「いいね」と言っていただける商品を、これからも作っていけたらと思っています。
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【PROFILE】
熊野 聖子(くまの・さとこ)
関東営業所、商品開発事業部。元々はペットショップ店員。デザインを学んでいた経験を生かして、デザイナーとして入社。
小野 隆志(おの・たかし)
関東営業所。元々美容業を行っていた。無形商材の営業を経て、物を売るレザックスに入社。
| 設立年月 | 1991年01月 | |
|---|---|---|
| 代表者 | 徳永 修一 | |
| 従業員数 | 110名 | |
| 業務内容 | スポーツ用品(主にゴルフ用品)自動車用品
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