子どもたちの未来を育む教育の場として体操教室「にじいろスポーツアカデミー」を運営する株式会社NIJIIRO。運動を通して子どもたちに自信をつけ、教育業界に新しい視点をもたらす取り組みを続けています。今回は同社代表の筒井真一さん、立ち上げメンバーの森光大輝さん、そして今年4月に入社し、指導者としてフレッシュに活躍されている山田麗さんにお話を伺い、「楽しい」と「学び」を両立させるにじいろスポーツアカデミーの想いを紐解きました。
(取材・執筆:齊藤 僚子、編集:伊藤 知裕、池田 翔太郎)
2021年にスタートしたにじいろスポーツアカデミー。「どんなときも子どもたちの挑戦を全力で支えたい」―そんな思いから、幼児体育を通して新たな可能性を広げようとしているのは、代表の筒井真一さんです。まずは体操教室を立ち上げようと思ったきっかけからお伺いしました。
筒井 幼児体育を仕事にしようと思ったのは、純粋に子どもが好きだったということからです。子どもと関わる仕事といえば学校の先生や保育士などが一般的ですが、正直、給与面で不安に感じるところがありました。ではほかに子どもと関われる仕事はないかと探していた時に出合ったのが、“運動を教える”という仕事だったんです。子どもの頃は運動が苦手だったので「できない子の気持ちが分かる」と。そんな経験を活かして、子どもたちに教えられることがあるのではないか。そう考え、幼児体育の会社に就職し7年ほど勤務しました。独立したのは「何かを成し遂げたい」と思ったからです。日頃から子どもたちには挑戦することを伝えているのに、自分がやっていないなと思いまして。「自分にできることはなんだろう」と考えていたときに、これまでの経験を振り返ってもやっぱり「運動を教えることなんじゃないか」と思いまして。そんな気づきからこの事業を立ち上げました。

にじいろスポーツアカデミーの指導者であり、立ち上げメンバーの一人でもある森光さんは、そんな筒井さんとの出会いを次のように振り返ります。
森光 僕はもともと関西の会社で幼児体育に携わっていました。その後、東京で同じように幼児体育を続けていましたが、当時は知り合いも少なく、なかなか頼れる人もいませんでした。そんな時、筒井が理事をしていたキッズスポーツのNPO法人のことを知りまして。SNSで“インストラクター同士で勉強会をやりましょう”という投稿を見て「これだ」と思ったんです。その勉強会に参加して、筒井が立ち上げている事業の話や指導方法などを聞くうちに、ぜひ一緒にやらせてもらいたいと思いまして。そこから現在に繋がったという感じですね。
株式会社NIJIIROは、「子どもたちの心を支えるパートナー」「恒久的な子どもたちの幸福追求」といった理念のもと活動されています。そこには子どもたちへの成長と未来への強い責任感を感じます。
筒井 運動を教えていて、“ただの習い事”で終わるのはなんか寂しいなと思っていて。習い事って、幼少期から始めて小学6年生くらいで一旦区切りがついて、その後は関わりがなくなるということも多いと思います。でも子どもたちのことを考えたら、彼らが大人になって社会に出た時に苦しまないように、もっと教えてあげられることがあるんじゃないかと思ったんです。
自分たちがやりたいのは、ただ運動を教えることではないんです。運動ができたことで子どもたちに自信をつけさせて、社会に出た時に強く生きられるような「人間教育」をすることだと思ったんです。学校では読み書き計算を中心に教えますが、果たしてそれが子どもたちが社会に出て本当に役に立つかというと、必ずしもそうでもないなと。社会に出て苦しんで、自分を傷つけてしまう若者がいる現状もあります。目の前にいる子どもたちに、そんなことはしてほしくない。学校では教わらないことを伝えていきたいなという思いから「人間教育」というところに目を向けました。

子どもたちに自信をつけるうえで、運動はとてもわかりやすい方法と話す筒井さん。にじいろスポーツアカデミーでは、その運動を切り口に子どもたちの満足度を高めるため、エンターテインメント性を取り入れて、レッスンの質を高めることを重要視しています。独自の教育方針とともに、あえて“サービス業”として捉えることの狙いや効果について説明してもらいました。
筒井 スタッフには口うるさく言うんですが、僕たちがやっているのは「子どもたちへのサービス業」なんです。ディズニーランドではないですが、子どもが満足できるレッスンを「1時間のショー」だと思ってやることが大事。そこで子どもたちを惹きつけられないなら、まだ自分たちの努力が足りないということ。子どもが集中できるような環境をつくることこそ、プロの教育者だと考えています。またそう捉えることで、スタッフ自身にも成長していかなければという意識が芽生えてきていると感じています。うちは研修が多く、時間を掛けて育てる事も、普通だったら嫌かもしれませんが、みんな前向きに取り組んでくれているのでありがたいですね。
森光 “エンタメ性”や“1時間のショー”という点ですが、やっぱり子どもたちに楽しんでもらうために何ができるかを常に考えてきました。例えば子どもを惹きつけるオリジナルキャラクター「カラモン」(※下の写真がその一部です)をデザインしました。そのバッジを目標達成時に渡して、本家の“ポケモン図鑑”のように集めることがモチベーションになるので、みんな率先して頑張ります。

筒井から研修についての話が出ましたが、その一つとして、表現力を伸ばすための研修などにも力を入れています。演劇の舞台に立たれている方を講師としてお招きして、発声や姿勢、表情などを学ぶことで、子どもたちがもっと楽しめるような工夫をしています。こういった特徴的な研修を取り入れているのは、僕たちならではの取り組みかと思いますね。
筒井 僕はスタッフに自信を持っています。この業界は人で選ばれる側面があるけど、うちはどのスタッフも高品質・サービスを届けられるようにしたい。スタッフを教育できる環境を整え、強みにしていきたいです。
スタッフの教育環境の充実を、質の高いレッスンにつなげている「にじいろ」。その中で台頭してきたスタッフが山田さんです。現在は新たにチアダンスのコースも開設し、専門学校で学んだ知識や豊富なバレエ経験を持つ彼女が指導にあたっています。新しいプログラムへの挑戦や、指導者となった今の思いを次のように話します。
山田 私は専門学校に通っているときに担任の先生から「にじいろ」を紹介いただき、学生時代はアルバイトをしていました。ここで働き始めてから子どもたちと接するのが楽しいと思うようになり、現在は11人ほどの子どもたちにチアダンスを教えています。指導する上では、一人ひとりが理解できるような言葉選びが難しいなと思ったりしますが、子どもたちはやっぱり可愛いですね。

筒井 実は彼女の専門はバレエなんですが、「今度チアに挑戦してみたいんだけど、どう?」と聞いてみたんです。自信がないと言われたらやめようと思ったんですが、「やります」と言ってくれたんですね。
山田 「大丈夫かな」と思ったんですけど、バレエの要素も取り入れてやってほしいという話だったので、それならできるかな、と。それから、チアダンスを教えている他社さんにお願いをして教室を見学をさせてもらい、半年ほどかけて準備をしました。チアダンスは笑顔で踊るものだと思っているので、とにかく気持ちを盛り上げてあげるというのを意識しています。初めての習い事という子たちも多いので、まずは何より楽しく取り組んでほしいというのが一番の思いですね。
新卒1年目ながら、新規事業のキーパーソン。筒井さんと森光さんは、そんな山田さんの活躍に目を細めています。
筒井 最初は自信がない感じだったけど、一人で指導するようになってすごく変わったなと思いますね。11人も生徒が来てくれたというのは、それだけ認めてくれたということだと思うので、僕自身も嬉しかったですね。

森光 最初は4人くらいを目標にスタートできればいいかなと思っていたんです。でも、実際には想定を超える人数が集まり満員になったので、すごいなと思いました。また、その結果にはビジネススキルの面でも成長があったのかなと思います。僕たちは体験レッスンを希望する方には、事前に電話でヒアリングを行った上で当日のレッスンに取り入れています。その後もコミュニケーションを取りながら、最終的に入会のご案内まで行います。つまり“クロージング”まで完了させてこの結果につながったと思うんですね。指導が上手いだけでは入会には至らないと思うので、こうした努力も含めてとても頑張っているなと思います。
指導者として嬉しい瞬間は、やはり子どもたちから返ってくるさまざまな反応です。成長の喜びと同時に、子どもたちの想像以上の可能性に驚かされることも多いといいます。
森光 4歳で入会して現在6歳になった女の子で印象に残っている子がいます。最初は教室に来るのもベビーカーに乗ってくるほどでした。ところがレッスンを受けて、体を動かすうちにどんどん変わっていきました。縄跳びは150回くらい跳べるようになって、ボールつきは1000回も続けられるほど集中力もついて。逆上がりや跳び箱も、6歳の平均よりできるほどになったときは本当に驚きました。
筒井 その子は最初の頃はすぐ泣いちゃって。気持ちも弱くて自信がなくて「やだ、やりたくない」とすぐ離脱してしまうタイプだったんですが、いまは全然違う。2年でこんなにも変わるのかって、僕も驚きました。回数ができたことよりも、前向きな性格に変わったということが僕たちにとっては“成果物”なんです。どうすればマイナスの状態にいる子がプラスに変わるのか。主体的に取り組めるようになるか。日々みんなで研究していますね。

教え子の成長について語る、その言葉にこもる熱。子どもたちの未来のために、スタッフが全力で取り組んでいる証拠です。最後に、更なる進化が期待される株式会社NIJIIROのこれからについて、3人それぞれが描く展望や目標を伺いました。
山田 運動を通して子どもたちに自信をつけてほしいなと思っています。チアダンスは年に2回ほど発表会を予定していますが、別にそこで失敗したっていい。とにかく楽しく踊ってくれて、みんなの成長をサポートできる指導者になるためにこれからも頑張りたいです。
森光 逆上がりや跳び箱ができるとか、それ自体は大した問題ではなくて。でも、幼少期の経験って結構覚えていたりするんですよね。だから「これを頑張った」という経験を大人になったときの支えとしてほしいなと思います。僕は小学校のとき野球をやっていましたが、ずっと控え選手でした。でも、足が速くなって運動会のリレーで1位になった経験などは今もずっと覚えています。子どもたちにも1つでも多くここでそういう経験をしてほしいし、それを少しずつ積み重ねて「こんな楽しいことがあるんだ」とワクワクしながら大人になっていってほしいですね。
筒井 今後やっていきたいのは、教育業界を変えることです。現状「教育で儲けてはいけない」という風潮がありますが、まずそれを断ち切りたい。僕たちがその壁をぶち壊したいです。教育という観点から言えば、別に体操である必要はないかもしれません。ただ、運動は健康を維持するためには絶対に必要です。ヘルスプロモーションの観点からも、運動はとても大切だと思います。
もう一ついま力を入れている事業が、野外イベントです。人はさまざまな選択をしながら生きていきます。野外活動を通して感じ取れること、自然の中で感受性を育むことがきっとあると思います。さらに、まだ本格的には稼働できていませんが、「知識」に関しても子どもたちの興味を引き出す取り組みを考えています。
つまり、僕たちは運動だけに特化した会社ではありません。「運動」「体験」「知識」という3本の軸で、習い事といえば「にじいろ」を拡大していきたいです。
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【PROFILE】
森光 大輝さん
取締役
ロックが好きで、ライブやフェスに行くのがプライベートの楽しみ。最近、SHISHAMOの解散を聞いて悲しくなり、解散ライブにはぜひ行きたいと思っている。
筒井 真一さん
代表取締役
日課は筋トレで、ベンチプレス100kgを目指して奮闘中。映画やドラマも好きで、最近はアニメ『刃牙』を観て心を奮い立たせている。
山田 麗さん
スポーツの専門学校を卒業したのち大学でも学び2025年4月入社。5歳の頃から続けているバレエは今も大切なライフワーク。最近のマイブームは映画『プリティ・プリンセス』。
| 設立年月 | 2021年12月 | |
|---|---|---|
| 代表者 | 筒井真一 | |
| 従業員数 | 8人 | |
| 業務内容 | ・キッズスポーツインストラクター
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