「ただやるだけというのは面白くないですし、やるからには上を目指したいです」
「成功している人を見て、自身がどれだけ成長できるかを意識しています」
選手の頃から変わらない信念がある。それは、常に向上心を持って取り組むという姿勢だ。どんな職業に就こうとも、そこはブレない。それは、選手として第一線で活躍していたからこそ身についた強みである。
野球の世界からゴルフ業界に移って活躍しているのが、独立リーグ(野球)の選手だった大嶋達也さんだ。
スポーツ選手の引退後のキャリアチェンジは長年の課題である。同じ競技の業界に残って仕事をすることが多い一方で、違う業界に進む人もいる。
新しい業界に進んだ時に大切になってくることは何か。
スポジョバを通じて入社された方のその後を追う企画「スポジョバ採用ファイル」。今回は、ピンゴルフジャパン株式会社でフィッティングエキスパートとして活躍する大嶋さんにお話を伺った。
(取材・編集:伊藤知裕 執筆:渡邉知晃)
── 元々はどういったお仕事をされていたんですか?
元々は独立リーグに所属して野球をしていました。その後は、プロ野球でバッティングピッチャーをしていました。
── なぜ転職をしようと思われたんですか?
1年契約の仕事で、怪我したらクビの可能性もあるようなシビアな世界でした。やっていることが面白いのは面白いですけど、たまたまずっと野球をやってきたから、流れでやっているところもありました。30歳という年齢もあったので、この後もずっとこの仕事ができるのかな?という漠然とした思いもありました。怪我したらクビっていうリスクを背負ってまでこの仕事をやるべきなのかなと。
── たしかに、不安に感じる部分ではありますね。ただ、その流れだと野球のお仕事につくのかなと思いますが、なぜゴルフ業界なんですか?
30歳を過ぎたので違うことをするなら今かな、と。ただスポーツから離れるのはちょっと違い過ぎて戸惑うと思いました。もともと野球から離れたいっていうのはありましたし、もうおなかいっぱいでした(笑)。選手としての活動や、プロ野球の世界での色々な経験をさせてもらったので。また、ずっと野球をしていたので体育会系という意味でも、ゴルフ好きということでも入り易かったのはありました。
── とはいえ、今までやったことのないお仕事に踏み込むのには勇気がいると思いますが、そのときはどんな心境だったのですか?
そうですね。仕事的にはやったことはないですけど、ゴルフはやっていました。そもそも私自身もスポーツをしていたので、特に僕の中では問題はなかったかなと思います。会社に野球部もあり、真剣にやっている人もいれば、楽しくやっている人もいて、私は楽しく野球をやらせてもらっています(笑)。そういう意味でも楽しくやらせてもらえていて、いい会社に入ったなと思えています。
── 取材でも楽しそうな雰囲気が伝わってきます。大嶋さんはピンゴルフのどんなところが好きですか?
基本的にみんな楽しそうですし、いい意味で自由度が高いのかなと思います。私自身、スーツを着るのがあまり好きではないので、ゴルフウェアとかスポーティーな格好をする方が自分には合っているなと思います。あとは、社員のことを一番に考えている会社なので、そういう意味では働きやすいですし、お休みも多いのですごく嬉しいです。
── ピンゴルフのことを調べているときに、「ファミリー」というワードがたくさん出てくるなと感じたのですが、その点はいかがですか?
役員の方でも気軽に話しかけてくれます。割と大きな会社になってくると社長の顔を知らないとか、役員の顔を知らないということがあるかと思いますが、そういうことがほぼありません。お互いの顔を知ってるからこそ、社員1人ひとり大事にしてもらっていると感じますし、ファミリー感はすごいあります。
── そもそも。ゴルフ業界の中でも、なぜピンゴルフを選ばれたのですか?
一番は、求人サイトに挙がっていたというのが大前提にあります。挙がっていないことには選ぶことはできないですからね。あとは、僕がたまたま手に取ったアイアンや、いいなと思った製品がピンゴルフのクラブが多かったんです。ですから、これはなにかの縁かなというふうに個人的には思っています。たまたま僕が手に取ったのがピンゴルフの商品で、そのピンゴルフの求人が出ていたという運命的な縁があったのかなと思いますね。
── 実は以前他のゴルフメーカーさんの求人を載せた際には、「このメーカー以外では転職する気がありません」という方からの応募があり、改めて今回もご縁を感じました。大嶋さんは、なぜ“ピンゴルフ”を良いと感じているんでしょうか?
うちの製品は前作を超えないと世の中に出さない、発表しないというのがあります。例えば、約5年ぶりに出たアイアンもあります。他のメーカーさんだとデザインを変えて新作を出したりしているのに比べて、うちはどちらかというと、自分たちが納得した性能の製品を出しているイメージですかね。
── ピンゴルフに入社を決める際、迷いはありましたか?
迷いはほとんどありませんでした。もちろん、他の企業を受ける可能性もありましたが、まずはピンゴルフを受けて、ダメだったら次という考えでした。複数の企業を受けると、その姿勢が相手にも伝わることがあると思いますし、面接の際に適当な部分が見えてしまうことを避けるためにも、一つに絞って取り組むことにしました。いろいろな企業様を見たわけではない分、迷いはなかったですね。
── 今後、ピンゴルフの中でこういうことをやっていきたいということがあればお聞きしたいです。
今はクラブフィッターとして、一般のゴルファー向けにやっていますが、私自身が元々プロの世界にいたので、ゴルフの世界のプロの人たちと関わってみたいというのはあります。やりたい気持ちはありますが、もちろんそれが難しいことは知っています。今、いろいろな人の感覚を聞いて、それぞれに合ったフィッティングができるようになっていかないと、プロの感覚をしっかり受けとめてそれを再現することは難しいと思います。プロの方は一番繊細ですし、ちょっとのずれでも感じますし、そういう意味ではアマチュアの方からもっと勉強させていただいて、そこから先につなげていければいいのかなと思っています。
── 大嶋さんのその向上心はどこから来るんですか?
スポーツをやっていた人は大体みんなそうじゃないですか。上手くなりたいからこそ、その為にどうしたらいいのかということを常に考えていました。だから、ただやるだけというのは面白くないですし、やるからには上を目指したいです。ゴルフでもティーチングプロみたいな、そういう一個の基準というかボーダーライン、そこまでにはなりたいです。目標があるからこそ日々の行動も変わってきますし、ただやるだけじゃつまらないなというのはありますね。
―― モチベーションを維持することは簡単なことではないですが、大嶋さんの話を聞いている限り、下がる余地がなさそうですね。
やはり、どの世界にも上には上がいますので。それを見てしまうと、今の状況で満足するわけにもいかないのかなと思います。私としては、自分が目指せそうなところに目標を置いているだけです。僕はそこまでみなさんと変わらないですよ。
── 気になるのでぜひ深堀させてもらいたいんですが、大嶋さんは最初から向上心を強く持たれていたんですか?
元々独立リーグの選手としてプレーしていた時は、プロ野球選手になるための努力はしていました。ただ、いざやめてみると「本当に目指してたのかな」と思うことがありました。「プロを目指すための努力がちゃんとできてたのかな」って。
引退後には、バッティングピッチャーとしてプロ野球の世界に入らせていただきました。するとやっぱり、レベルが高い一軍の選手もいます。現在、メジャーリーグでプレーされている選手もいました。その人たちがやってることと、僕がやってることとで、意識の差じゃないですけど、すごく差を感じました。
── 自分のやってきた「やり方」とはちょっと違ったんですね。
プロへの道を諦めたけど、「やり方が間違ってたんだ。やり方があってればもう少しいいところまでいけたんじゃないか。」っていう気持ちを持ちながら、一軍の選手から色々吸収させてもらっていました。だから向上心というよりは、やり方によってはいくらでも上に行けるんじゃないかな、って。「やり方さえ間違えなければできる」ってことが分かったから、ゴルフもやることが一緒だと思ってます。
── 別の領域に移ってうまく順応できない方もいらっしゃいますが、大嶋さんの場合はなぜうまく順応できているんでしょうか?
好きなものに携われるかどうかだと思います。私も実は、野球が好きじゃないと思っていたこともありました。ですが、30歳ぐらいまでやり続けていたということは、好きだからできていたのかなという部分があります。だからゴルフも好きだからできているのだと思います。全く違う分野だったら今みたいな気持ちでやれているかどうかはわからないです。
人それぞれ得手不得手があって当たり前なのかなと思いますし、たまたま私は得意なところ、会社的にもいいところに巡り合わせてもらったので、そういう意味では本当に運が良かったとしか言いようがないです。
── 大嶋さんはなぜピンゴルフに受かったと考えていますか?
入社して話を聞いていると、たまたまだったのかなと思います。会社がこれからどんどん人員を増やしていこうとしている時に私が入ったので、そういう意味ではタイミングが良かったこともあり、入社できたのかなと思っています。ですから、もっと期待以上のことをしないといけないなと思っています。
── 期待されていること、プロのラインはどういったものだと思いますか?
お金をもらって仕事をしているので、プロ意識を持つことが大切です。スキルを向上させることで対価を受ける。これはスポーツの世界と一緒で、常に最高のパフォーマンスを求めるべきだと思っています。
── 終始謙虚さを感じるんですが、大嶋さんの謙虚さの源泉はどこから来ているんですか?
先ほど言ったことにも重なりますが、自分よりも上の存在がいることがわかっているので傲慢な態度にはならないと思います。成功している人を見て、自身がどれだけ成長できるかを意識しています。どの世界でも一流の人を目の当たりにしない限り、自分の立ち位置を正しく理解することは難しいのかなと思います。
── 成功しているとはいえ、その人のことを大嶋さんのように素直に受け取られる方も多くないんじゃないですか?
いやー……。みんな素直になると思います。メジャーにいくような打者や、球界を代表する投手たちを見ていると、やっぱりみんな素直になると思います。ああいう意識じゃないとそこまでの結果を出せないんだっていうのは肌で感じると思うんですよね。そうなるともう勝手に素直になるのかなとは思います。
── そういった影響を受けて、自分自身に取り入れていることはありますか?
一個のことをしっかり継続する方がやっぱり結果としてもつながりやすいのかなと思います。ピンゴルフの役員の方からも一年間同じやり方を続けていったほうがいいと言われましたし、やり方を変えずにやると「このやり方だとこういう問題があって、こう解決しないといけないよね」というのが分かります。手を変え品を変えでやっていると、何が本当に重要だったのか、ミスが分かりづらくなることもあります。フィッティングに関しては先ずは一年間同じことを続けてみようっていうのが僕の中の一年目の目標というか影響を受けた部分でもあります。
── ご自身が受けた影響とは反対に、ピンゴルフに与えたい影響というのはありますか?
自分の経験を口で伝えるというよりは、目に見えるものとして残していくことの方が大事なのかなと思います。いわゆる結果ですね。結果というのはもちろん数字的なものもありますが、お客さまからの信頼度も含めて目に見える形で残していくことが会社への貢献なのかなと思っています。
まずは自分がしっかり成績を残さないといけないのかなと。お客様に支持されてないならそれは自分の結果ですし、それをチームのせいにするのは違います。また個人が会社の評価を下げることはチームワークが悪いことですし、反対に個人が会社の評価を上げるのはチームワークが良いことです。だから自分がしっかり結果を出すことが大事だと思います。
── 最後に、長期的な目標や夢について教えていただけますか?
ピンゴルフのクラブを一番古いメーカーとして認知して頂くことです。会社というのは上手くいかなくなって潰れてしまう可能性があるものです。ですから、これからも長く続いて一番古いメーカーになれるように、私自身も一生懸命頑張りたいと思います。
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【プロフィール】大嶋達也
1992年3月13日生まれ、沖縄県出身、内野手。2011年の名桜大学2年時には全日本大学野球選手権に出場。卒業後は、てるクリニック(#0)、新潟アルビレックスBC(#61)、栃木ゴールデンフレーブス(#2)、エイジェック(#10)で選手として活躍。バッティングピッチャーをよくやっていたこともあり、社会人時代の上司の一言で後押しされ、選手引退後にはオリックスバファローズで打撃投手(#113)に。通常はキリッとした表情でも、笑顔はとっても愛らしいイケメンで、社内でもちょっと人気が出ているよう。自宅がゴルフ工房になりそうなくらい、クラブの加工も行うほどのゴルフ好き。
設立年月 | 2004年01月 | |
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代表者 | 岡田 健二 | |
従業員数 | - | |
業務内容 | ゴルフクラブ、その構成部品等のゴルフ用具及びそれらの付属品の輸出入、購入、販売、製造、組立、加工及び修理 |
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