「野球の打順にはどんな意味があるの?」
「各打順の役割は?」
野球では各チームが打順を組んで試合に臨みます。
ただなんとなく組んでいるのではなく、選手の役割を明確にし、能力を最大限引き出すためです。
今回は、打順を組む意味や、打順ごとの役割、更にはポジションとの関連性について見ていきましょう!
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野球の試合をするにあたり、必ず打順を決めなければなりません。
なぜなら、試合開始前に監督がオーダー表に選手名・打順・守備位置を書き、審判に提出する必要があるからです。
このオーダー表に書かれた打順に沿って、実際の試合も進んでいきます。
では、本来の打順を飛ばして違うバッターが打席に立ってしまった場合はどうなるのでしょうか?
①間違って打席に入ったバッターが打席を終了する前に気づいて申告した場合
本来のバッターがそのカウントを引き継いで打席に立ち、試合を再開する
②間違って打席に入ったバッターが打席を終了した後に気づいて申告した(相手チームから抗議があった場合も含む)
本来の打者がアウトとなり、間違ったバッターのプレーは全て無効となる
といった対応が取られます。
チャンスの状況で、次に控えるバッターが強打者だからといって打順を勝手に入れ変えてはいけません。注意が必要ですね。
打順を組む意味を説明したところで、次に打順を組む目的を考えていきましょう。
一言で言えば、選手各々の個性や能力を最大限に発揮するためです。
例えば、出塁率が高い選手を打数の少ない9番で起用してもその選手の能力を最大限発揮するのための打順とは言い難いのではないでしょうか。
全選手がヒットもホームランも打てれば言うことなしですが、各チームによって選手層が異なるため、打順をどう練るかが攻撃のカギとなります。
では、1〜9番打者にはそれぞれどんな役割があるのでしょうか?
各打順にはおおまかな役割があり、各選手の個性を最大限に発揮するためには、役割に沿って打順を組む必要があります。
では、各打順ごとに求められる役割をみていきましょう。
◇上位打線
上位打線の役割を一言で表すなら”チャンスメイク”
とにかく出塁をすることが大切です。
上位打線の後には、長打を打つ可能性が高い中軸(クリーンナップ)が控えているため、ここで出塁をしておくと、中軸の長打によって得点が入る確率がグンと上がります。
1番
上位打線の中でも特に出塁することが求められます。
ヒットを打つ能力だけでなく、選球眼が良くフォアボールでの出塁が期待できる選手が適しています。
また、内野安打での出塁も狙えるため、走力の高い選手も適任と言えます。
2番
近年、2番打者の考え方は大きく変わりました。
従来は1番打者と中軸のつなぎ役として、送りバントなど小技に長けた選手が起用されることがほとんどでした。
しかし最近では、俊足の1番打者が出塁し、2番打者の長打1本で点を取る作戦が効率的と考えられ、2番に強打者を置くチームも増えました。
この打つ2番が流行ったきっかけは、野球を統計学的な観点から読み解くセイバーメトリクスと呼ばれる評価指標の台頭にあります。
日本のプロ野球に根深く残る2番=送りバントといったイメージに対し、セイバーメトリクスでは、送りバント=わざわざアウトを増やす非効率なプレーとされています。
◇中軸(クリーンナップ)
中軸の仕事は塁上に溜まったランナーを返すことです。
そのため、ホームランバッターやチャンスに強いバッターが名を連ねます。
3番
3番打者は上位打線でありながら中軸でもあるハイブリッドな打順。
塁上の走者を返す長打力はもちろん、打順の核となる4番打者につなぐための出塁率も求められます。
4番
4番打者は野球の花形的存在です。
チームで1番長打力があり、チャンスに強いバッターが務めるのがセオリーです。
相手チームからの警戒も大きく、厳しいコースへの攻めが多くなりフォアボール(敬遠含む)の数も多くなります。
このフォアボールをきっちり選択できるかも4番の大切な仕事であり、良い4番は出塁率も高く残せます。
5番
3・4番打者が打った後、さらなるダメ押し点を狙いたいのが5番打者。
長打力はもちろんですが、やはりチャンスへの強さが求められます。
また、4番打者までの攻撃を1つの節目と考え、5番打者に1番打者タイプの選手を置いて、新しくチャンスをつくるというのも作戦の1つではないでしょうか。
◇下位打線
下位打線の運用方法は打順や戦術によって大きく異なりますが、基本的にはスタメンの中でバッティングが苦手な選手が入る傾向にあります。
6番
中軸のすぐ後のため、塁上にランナーが残っている場合が多く、状況ごとに適切なバッティングをすることが求められます。
また5番打者同様、新しくチャンスをつくる理論で、5番打者を節目として6番打者に1番打者タイプの選手を置くことも戦略の1つです。
7番
5・6番に置く選手によって役割は左右されます。
強打者タイプを置くこともあれば、つなぎの上手い打者が入ることもあります。
8番・9番
8・9番打者はセ・リーグとパ・リーグのルールによって起用方法が異なります。
なぜなら、パ・リーグにはDH制(指名打者制)が導入されているからです。
DHとはバッティングのみをする選手のことを指し、DH制の場合、代わりにピッチャーは打席に立ちません。
DHが攻撃、ピッチャーが守備を担当する2人で1つのイメージです。
このDH制を導入していないセ・リーグではピッチャーも打席に入ります。
分業制が浸透しているプロ野球では、ピッチャーは打撃練習をする機会がほとんどなく、打順の最後である9番に入ることがほとんどです。
さらに、ピッチャーはピッチングを優先し、体力を温存させるためにわざと三振するケースもあります。
そのため、セ・リーグにおける8番打者は9番打者につなぐというより、7番打者以前の打者を返すことが期待されます。
一方パ・リーグにおける8・9番打者にはどのような役割があるのでしょうか。
先ほどもお伝えしたように、パ・リーグはDH制を導入しているため9番にも野手が割り当てられます。
9番打者が打撃を終えると、一巡して1番打者へと戻ります。
つまり、パ・リーグの9番打者は1番打者につなぐためのポジションなのです。
もちろん、セオリー通りスタメンの中で一番打撃が苦手な選手が入るケースもありますが、出塁率と走力を兼ね備えた上位打線タイプの選手が入る作戦もあります。
その場合、8番も9番につなぐためにある程度の打撃力があるとベターです。
ちなみに、打順と守備位置には関連性があり、大体この守備位置なら〇番に入るといった傾向があります。
例えば、
上位打線→出塁時に走力が高いとベター
走力が共通して必要であることがわかります。
そのため、プロ野球でもセカンド・ショート・センターを守る選手は、上位打線を打つ傾向が高くなっています。
他にも、守備の負担をカットして打撃に集中させたい中軸はDHに置き、守備の負担が大きいキャッチャーは下位打線に置くなど、役割やチーム事情によって、打順と守備位置の関連性は様々です。
ここまでの内容をおさらいしつつ、日本代表チームの打順を見てみましょう!
今回は2019年11月、世界一に輝いたプレミア12の決勝戦のオーダーを参考にします。
※成績は2019シーズンのものです。
※DH制を採用しています。
1番 ファースト 山田 哲人選手(ヤクルト)
打率 .271 本塁打 35 打点 98 盗塁 33 長打率 .560 出塁率 .401
2番 ショート 坂本 勇人 選手(読売)
打率 .312 本塁打 40 打点 94 盗塁 5 長打率 .575 出塁率 .396
3番 センター 丸 佳浩選手(読売)
打率 .292 本塁打 27 打点 89 盗塁 12 長打率 .495 出塁率 .388
4番 ライト 鈴木 誠也選手(広島)
打率 .333 本塁打 28 打点 89 盗塁 25 長打率 .565 出塁率 .453
5番 指名打者 浅村 栄斗選手(楽天)
打率 .263 本塁打 28 打点 92 盗塁 1 長打率 .507 出塁率 .372
6番 サード 外崎 修汰選手(西武)
打率 .274 本塁打 26 打点 90 盗塁 22 長打率 .493 出塁率 .353
7番 レフト 近藤 健介選手(日本ハム)
打率 .302 本塁打 12 打点 59 盗塁 1 長打率 .400 出塁率 .422
8番 キャッチャー 會澤 翼選手(広島)
打率 .261 本塁打 12 打点 63 盗塁 2 長打率 .439 出塁率 .387
9番 セカンド 菊池 涼介選手(広島)
打率 .261 本塁打 13 打点 48 盗塁 14 長打率 .406 出塁率 .313
この試合のオーダーは、比較的セオリー通りに組まれていると言えるのではないでしょうか。
上位打線が出塁し、中軸が長蛇で点を取る。7番に打率が高い近藤選手を起用することで、下位打線からでもチャンスを作ることを狙えます。
基本に忠実な戦略が実を結び、世界一という栄光につながったのかもしれませんね!
また、試合によっては、相手ピッチャーに合わせて右打者、左打者を交互に使い分けたり、2軍の練習で頭角を現した選手が1軍に上がってきたりするなど、様々なパターンがあります。
みなさんもプロ野球を観戦する際は、ぜひ自分の集めたデータと理論で構築したオリジナルの打順と、実際の打順を照らし合わせて楽しんでみてください。
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