株式会社LIFFIKで代表取締役を務める“男気社長”こと小西春花さん。会社は今年で4期目を迎え、テレマーケティング業務やコールセンターの運営など、営業代行をメインとしながら「みんながやりたいことを応援できる会社にしていきたい」と、スポーツ事業の拡大も目指している。
そして入社してから2年半が経った営業責任者の新井悠介さんは、元消防士という経歴を持つ。八百屋、土方の仕事を経て株式会社LIFFIKと出会った新井さんは、入社してから大きく自分との向き合い方が変化したそうだ。
どの業界でも大切になる基礎基本を固めた上で、次のフェーズへと歩みを進める彼らが大切にしていることや、LIFFIKを通して変えていきたいものとは。お二人に話を聞いた。
(取材・執筆:伊藤 千梅、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)
──代表の小西さんは“男気社長”という名前で活動されていますが、なぜそのような名前で活動されているのでしょうか?
小西:日本の社会は、まだまだ男性優位なところも多いと考えています。私の父親はサラリーマンで役員をしていますが、パンフレットを見たときに役員クラスが全員男性だったんですね。そのときに男性に負けないようなパワフルさを持った女性の社長がいてもいいだろうと思ったんです。そこで性別や年齢に関係なく、引っ張っていける社長でありたいなと思い、「男気社長」と名乗りました。
──男性社会でもやっていこうというパワフルさを感じます。株式会社LIFFIKは今年で4期目だそうですが、立ち上げるまでの背景を伺ってもよいでしょうか?
小西:幼い頃から自分で稼ぎたいという思いは漠然とありました。ただなにをやっていいのかわからず、知識もまったくなかったので、大学時代はかなりさまよいまして(笑)、お金を稼げそうなボートレーサーや歌手を目指してみたり、18歳のときから夜職をやってみたりと転々としていました。でもうまくいかず、大学が体育会系の学校だったので、スポーツのインストラクターを2年間やっていました。
そのあとにベンチャーの営業会社に入り、2年後に独立して今の会社を立ち上げたのですが、営業会社に入ったときが、私の転機でした。実は入社して2週間ほどで当時お付き合いをしていた方にお金を取られてしまい、250万円くらいの借金を背負うことになったんです。
──ええ……。
小西:親からは心配され、友人からも距離を取られて借金だけが残ったときに「私、24年間なにをしてきたんだろう」とむなしい気持ちになりました。
お金を稼げる夜職に戻ろうかという考えも浮かびましたけど、それではなにもやり遂げたことのないまま30歳になってしまうと思い、あえて厳しい道を行こうと決断しました。そこからは私みたいに頑張れば変われるということを感じてほしいなと思ったので、自分が会社を持ちたいと思うようになりましたね。
──営業会社はどのように働かれていたのですか?
小西:歩合制の会社だったので、完全に実力主義でした。でも自分の会社を持っている先輩もいたので「私もそうなりたいな」と思ったし、ここで成果を上げたら、ゆくゆくは自分も独立できるかなと。
最初は全然稼げなかったですけど、親に頭を下げて(借金を)肩代わりしてもらって実家に戻って、そこで下積み時代を2年間送りました。とにかく朝早くに会社に行って、夜遅くまで残ってという、スポーツのような感覚で努力していましたね。
自分でやればやるほど上に上がれる職場ではあったので、売り上げランキングはトップを取ることができました。会社からの信頼も得て独立するとなったときも、すごく温かく応援してもらいながら今の会社を立ち上げました。
──新井さんの入社の背景も伺いたいのですが、元々は消防士さんだったのですよね?
新井:そうなんです。消防士を2年間やってから退職しました。消防士になることが目標になっていたので、なった後のモチベーションが全くありませんでした。周りの反対はかなりありましたが、振り切ってやめました。
ただ自分が求める仕事はなかなか見つかりませんでした。 消防士は人命を救う仕事ではありますけど、一般の企業からは評価されず仕事がなかったんです。そこで急きょ知り合いが経営している八百屋さんで働かせてもらうことになりましたが、なかなか休みの時間がとれずに、今度は土方の仕事を行いました。ただここも朝5時から夜の8時までの仕事だったので、30代が見えたときに「このままじゃまずいな」と思って退職しました。
──ご自身のなかでは今までの職歴はどう捉えられていますか?
新井:今までであれば、自分の職歴は誇れるものではなかったです。消防学校でのきつい訓練を経て晴れて消防士として配属されてから2年で辞めてしまうのは、ある意味では今まで一緒に頑張ってきた仲間たちを裏切るようなもの。自信を持って「消防士をやってたんだよ」とは言えませんでした……。
──さまざまな経緯を経て、LIFFIKに応募したのですね。
新井:そうなんです。特に狙いを絞って応募したわけではなく、楽しそうだなと思って。
──入社してから変化したと感じることはありますか?
新井:ひとつは自分の癖を理解したことですね。元々、すぐ調子に乗ってしまう部分があったし、目の前の仕事を雑にこなしてしまっていました。今まではそれでもやれてしまっていたけれど、LIFFIKではそれを直さないと自分の結果にはつながらなかったし、それを直接伝えてもらえる環境でした。
過去の捉え方も変わりました。LIFFIKに入ったときに、過去や経験は一切気にしないと言われたんです。未来に対してうちは投資をする会社だからと言ってくれて、逆に今の職歴があるからこそこういう出会いがあったんだなと捉え方を変える出来事になりました。今ではすごくいい経験をしたと思っています。
――小西さんは新井さんの採用にも携わったことと思いますが、採用をするときにどんなところを見て決断するのでしょうか?
小西:うちの会社は社員の成長ややる気を引き出して将来につなげるところを大きな強みにしているので、目的やこうなっていきたいという絵が見えた人に関しては採用しています。
それと誠実かどうかも大事で、嘘をつく人はなんとなく喋っていてもわかります。そういう人材はいくら優秀でも、現場に入ったら和を乱してしまう。過去の仕事の悪口をずっと言い続けてる方や、外に矢印を向け続けている方も採用してないですね。
──社員になる人たちの共通点は?
小西:さまざまなバックボーン、性格の社員たちですが、「変わりたい」「人生を良くしていきたい」「成長したい」という思いは全員持っていますね。
家から近いからといった理由で応募してくれる人もたくさんいますが、会社説明のときにはうちのビジョンを必ず伝えています。うちの会社は5年後こうなっていきたいですとか、こういう人材と働いていきたいですというところに共感してくれている方ですね。
自分の生活費のために嫌々仕事をしている人は多いと思います。でも仕事は1日のなかで長い時間を占めるものなので、そこも楽しいと思えるようにしてほしい。あとは、「親孝行していきたい」とか、「海外を飛び回れるようになりたい」といった個人個人がもつさまざまなビジョンを「会社のステージを使って叶えてください」という話をしています。
仕事する上で、 同じ方向を見ているメンバーが集まったほうが、仕事も楽しいと思うんですよね。なのでそういうところはすごく大事にしています。
──活躍する人や成長する人の特徴はありますか?
小西:これも本当にスポーツと一緒で、身体能力が同じでも、成長する人は素直さとか、うまくいかないときにちゃんともう1回学びに来れるとか。そういうところですね。特別なスキルはうちには いらないです。
資格が必要な仕事とかではないので。誰でもできるからこそ、自分の頑張りによっては差がついてくるところかなと思っています。あとはうまくいかないことがあっても諦めないとか、そういう小さいことなんですけど、そういったところで差はついてきますね。
──先ほど誰でもできるお仕事という話がありましたが、現在御社ではどのような仕事をされていますか?
小西:基本的にテレマーケティング業務やコールセンターの運営など、営業代行の仕事をしています。すごくシンプルなんですけど、商品よりも最初の第一声でお話を聞きたいか聞きたくないかが決まると思うんですよね。その第一印象を意識するように教えています。
──このお仕事は人によって向き不向きはありますか?
小西:特にないですね。正直まったく喋れなかった子とかも、いますごく伸びています。逆にすごいコミュニケーション能力があっても、うまくいかなくなった途端全然やらなくなるとか、プライドがすごく高いとか。そういう子たちは伸びるのがストップしてしまうので、そういう面ではすごくスポーツに近いなとは思っています。
――誰でも挑戦できるという上で、どのようなことが大切になりますか?
小西:当たり前に言われていることを当たり前にやれることですね。スポーツをやっていた人は小さい頃から挨拶などの基本ができている。スキルはいくらでも教えられるので、そういう部分をまず大切にしています。
──新井さんは営業業務でのやりがいはどんなところに感じているでしょうか?
新井:数字で自分の成長が可視化されるところですね。最初は部署で最下位の成績になってしまうくらい大変でしたけど、やりがいを感じながら働いているうちに、今では責任者を任せてもらえるようになりました。
──そうだったのですね!そんな新井さんを営業責任者にされた理由はあるのでしょうか?
小西:私が人を見るポイントは、うまくいっていないときのあり方です。そのあり方がいいときとブレない人は、私のなかで信頼度が実はぐっと上がります。それができる方は意外と少なくて、そこの波がないかは、リーダーを選定する1つの要素になります。
その人についていくスタッフたちは悪いときに落ち込んでしまったら、みんな感情の波がある組織になってしまうと思うので。私も代表をやっていてすごく意識してるとこなんですけど、どんなときも一定に感情を保てるとかそういうところは見ています。それで言うと新井は、いいときも悪いときもあり方はあまり変わらない。なので人がついてきていると思います。
――新井さんご自身はなにか意識されていることはあったのですか?
新井:実は、仕事がうまくいかなすぎて、正直やめようかなと思ったときもあるんです。そのときに代表の小西から「グダグダしていないで、どうしたいの?」とストレートに言われたときに「あ、俺なにしていたんだろうな」と感じたんです。自分が人生を良くしたくてLIFFIKに入ってきたのに、いつまでたっても外に矢印を向けていて、なにやっているんだろうと思って。自分が変わったのはそこからですね。
──そう言われてもう嫌だと思う方もいらっしゃると思うんですけど、新井さんはなぜ変わろうと思えたのですか?
新井:それは年齢的な部分ももちろんあります。消防士と八百屋と職人3つの仕事をやってきたからこそ、元に戻ってもうまくいかないんだろうなって。ここでできないことは他でもできないですし、悪い癖はどこでも出てくるんだろうなと感じたので、ここでやるしかない。ちゃんと自分と向き合おうと思いました。
──今後はどのように事業を展開していこうと思っているのでしょうか?
小西:うちは営業会社を目指してるわけではありません。これからはイベント事業などをしていきたいし、スポーツジムを立ち上げたいメンバーやアパレルをやりたいメンバーもいるので、ベンチャーだからこそ幅広く展開していけたらと思っています。
そうなったときに、最低限の営業スキルや人材育成とか、組織を束ねる力があれば、どの業界でも転用できると思っているんですね。なのでうちは、みんながやりたいことを応援できる会社にしていきたいです。うちの会社を通して夢が叶ったスタッフを何人排出できるかなというのは、個人的にはとてもわくわくしています。
──イベントやジムは、やりたい社員さんがいるからいずれそれをできるようにしようということですね。
小西:それぞれ成績をしっかり残してもらっていれば、次にイベント事業をやったときにその人が別の場所でも活躍してくれると思います。そういう柱を今作っている最中で、少しずつ形になってきたかなというところです。
社員のみんなには、やらなきゃいけないところをうちで学んで、どんどん独立したらいいと言っていて、うちの会社だとすでに3人独立しています。
──4期目ですでに独立されている方々がいるのですね!
小西:LIFFIKがなぜ独立支援をしているかというと、うちの会社に入ったからにはみんなのビジョンを絶対に叶えてあげたいと思っているから。今後さらにそういったフローができて、実際に社長同士になったときにまた面白いことが仕掛けられたらなとは思っています。
──新井さんも将来独立されるのでしょうか?
新井:自分もいずれは独立したいと考えていて、陸上をやっていたので陸上選手のセカンドキャリアを応援していきたいなと思っています。一般の企業に入りながら0.01秒を削るために努力をしている選手たちが、お金が理由でその競技を辞めざるを得ないこともある。そういった選手たちを応援できる立場になっていけたらと思いますし、来年の1月で入社してちょうど3年目になるので、そこで自分がここで学んできたものを出せたらと考えています。
──最後に、小西さんは会社を通してどんな世界をつくっていきたいですか?
小西:その人自身が変わると、周りにいい影響を与えられると思うんですよね。なので元々自信がなかった人とか、自分がやりたいことができなかった人が、うちの会社を通して変わることで「あの人みたいになりたい」という連鎖を起こしていきたい。
なので、すごく大きいビジョンでいうと、そういう人材をどんどん輩出して、会社の外でも活躍していくことで、うちの会社から日本を明るくしていきたいです。
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【PROFILE】
小西 春花
ボートレーサーやインストラクターの経験の中から、誰にでも平等にチャンスがある環境を作ろうと思い株式会社LIFFIKを設立。3年後には全国展開、海外進出にまで視野を入れているそう。趣味は、旅行や山登り、ジムに行くこと。
新井 悠介
消防士や八百屋、基礎職人などの経験を経て、LIFFIKに入社。初めて自分と向き合うということを学び、更なるステップアップに取り組んでいる。趣味は筋トレとサーフィン。特に筋トレは、自分の努力で身体が変わることに楽しみを感じている。