「トライアウトにはどんな選手が出るの?」
「スカウトとの違いを教えて!」
野球には様々な用語が存在します。
聞いたことはあるけど、詳しい意味まではわからない。
中には、そんな用語もあるかもしれませんね。
スポーツ界にはトライアウトという制度がありますが、その中でも今回は野球を軸にご紹介します!
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トライアウトとは、各球団への入団を希望する選手、または戦力外通告を受けたものの、現役続行を希望する選手などが、各球団に対してアピールするための機会のことを指します。
2020年のトライアウトでは、元日本ハムファイターズの新庄剛志選手が参加し、話題となりましたね。
球団が選手を獲得する方法とだけ考えていると、スカウトと混同されがちです。
違いはどこにあるのでしょうか?
早速見てみましょう!
▼トライアウト(入団テスト)
選手→球団
各選手が各球団に入団を志願する。
▼スカウト
球団→選手
各球団が各選手に入団をオファーする。
このように、関係性としては正反対に位置します。
では、なぜスカウトとは異なるトライアウトという制度が生まれたのでしょうか。
その背景は2001年まで遡ります。
プロ野球のルールにおいて、シーズン終了後に戦力外通告を受けた選手が正式に自由契約となるのは12月からです。
しかし、既に12月は他球団のテストや戦力編成はほとんど終了しています。
上記のルールの影響から、どのタイミングで通告をされても12月以降まで動けず、選手は他球団にアピールする機会を失ってしまいます。
その対策として、各球団はシーズン終了直後に戦力外通告を行い、各選手の進路を早めに決めさせる傾向にありました。
この場合、いつ戦力外通告を言い渡すかは各球団の裁量で決めることが出来るということになります。
ここにトライアウトが実施されるようになった”問題”が潜んでいました。
例えば、クライマックスシリーズや日本シリーズを迎える球団は、シーズンが長くなります。そのため、戦力外通告をシリーズ後へと先延ばしにする傾向にありました。
当然その球団の選手は、シリーズに出場しなかったチームの選手に比べて遅いタイミングで戦力外通告を言い渡されることになります。
もし、あなたがその選手だったらどう思うでしょうか。
他球団の選手は、早い段階で入団テストや入団交渉をしているのに、自分はその機会がほぼない時期に突然クビを言い渡された。理不尽ではありませんか?
そんな問題を解決するべく、2001年に日本プロ野球選手会は、戦力外通告を受けた選手のチャンスを平等化するために球団側と話し合い、その後、各球団テストとは別に全ての戦力外通告がトライアウト以前に行われるようになりました。
これにより、戦力外通告は
・10月1日からクライマックスシリーズ開幕前日までの第1次通告
・クライマックスシリーズ全日程終了翌日からSMBC日本シリーズ終了翌日までの第2次通告
※ただし日本シリーズ出場チームは日本シリーズ終了の5日後まで。
に行われるようになり、通告された全ての選手が平等にトライアウトに参加できるようになりました。
日本シリーズは例年11月下旬に終了し、その後の12月にトライアウトが行われます。
スカウトのように球団側からの一方通行のオファーだけではなく、選手自身が球団側にアピールする機会が平等に生まれたのです。
さて、トライアウトの基本的なシステムや起源が分かったところで、トライアウトが実際にどのような位置付けなのか、より深く見ていきましょう。
そもそも日本のプロ野球におけるトライアウトは主に「12球団合同トライアウト」を指します。
これは、各球団が独自に行う入団テストとは別に、全球団のスカウトマンの前で参加選手がアピールできる機会となっています。
逆に、球団側としては現戦力に足りない選手を補強したり、自チームでは評価しているのに、なぜか他球団を戦力外になった、いわゆる掘り出し物選手を探す機会として有効活用されます。
「すでに球団で評価をしているなら、すぐに入団テストをして獲得すればいいのでは?」
こう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、十分な評価を得ている選手が自由契約となればその方法もひとつなのですが、やはり今後の球団の勝敗や、その選手の人生に関わる重要な決断でもあります。
今一度、現球団の編成、その選手の健康状態や、球団への適正があるかどうかを慎重に確認する必要があるのです。
そのため、トライアウトはあらかじめ注目している選手の最終面接的な意味合いも含んでいると言えるでしょう。
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このように、狙っていた選手と交渉できる場としての役割を持つトライアウトですが、実際にはどのような選手が出場し、評価され、獲得されるまでに至ったのでしょうか。
いくつかのケースを例に挙げて紹介していきましょう。
①加齢による衰えで戦力外通告を言い渡されたが、本人が現役続行を希望するベテラン選手
トライアウトではよく見られるタイプの選手です。
経験と実績は豊富なので、その選手の能力が上手くコミットするチームがあれば、即戦力として獲得されやすい傾向にあります。優勝経験があるとなお重宝されるでしょう。
逆に、選手の若返りを図りたいチームからは敬遠されます。
②現球団にコミットせず、戦力外通告を言い渡された若手選手
こちらもトライアウトではよく見られます。
ドラフトで晴れて入団したものの、球団の層が厚かったり、ケガに苦しんだりと、出場機会に恵まれず放出されるケースが多いです。
やはり最大のアピールポイントはその若さで、即戦力が欲しい球団からは敬遠されますが、これからの成長を期待して獲得に乗り出す球団も少なくありません。
また、育成契約での獲得し、様子を見るといったケースもよく見られます。
トライアウトを経て、全球団からオファーがなかった場合でも、他の分野から声がかかることもあります。
例えば、独立リーグからスカウトや、若手選手だと社会人野球からオファーが来ることもあります。
そして、プレーヤーではなくても、未来のスター選手を発掘するスカウトマン、球団の投球練習を受けるためのブルペンキャッチャーなど、プロ野球に携わる他の業種へと転身するためのきっかけにもなるのです。
今回は、野球のトライアウトを紹介しました。
スカウトとの違いや、トライアウトの位置付けが理解できたでしょうか?
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