短い納期で多種多様な商品を生産する忙しい仕事であるスポーツグッズ製作。たくさんの人が携わり、一つの商品を完成させ販売するストーリーは、スポーツチームの試合そのものかもしれない。
musica lab の和やかなチームワークと、楽しみながら仕事を進めるスタイルについて、企画営業担当の本部さん、仕入れ担当の段さん、それを柔やかに見守るジェネラルマネージャーの駒井さんの三名(以下本部、段、駒井)にお話を伺った。
(取材・執筆:井上 菜摘、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)
――早速ですが、お二人の入社経緯を教えて下さい!
本部:大学在学中、インターンシップで musica labの代表に出会い、その後、ガンバ大阪のストラップの縫製作業をお手伝いしたのが入社のきっかけです。海外で仕事をすることを考えていたのですが、その前に「日本の会社で働いてみたらどうか?」と声をかけてもらい今に至ります。サッカーを高校3年までやっていたので、サッカーに携わりたいなとは思っていたのでやってみようかなと。
段:私はフィギュアスケートを見るのが好きで、スケートを見るためによく日本各地へ行っていました。大阪での大会を見に行った時、好きな選手のガチャガチャをしたんです。
本部:その時のガチャガチャの委託先が、musica lab です!
段:そうなんです(笑)。 そこで話をしていたら、「今、求人の募集をしているからどう?」と声をかけてもらいました。日本の大学を卒業して中国に戻ろうとしていましたが、「そのまま帰るのも...。」と思い他の日本企業で働いた経験はあるのですが、あまり楽しくなくて。声をかけてもらった時期は、私も仕事を探していたので、すごく楽しそうだなと思い入社を決めました。
――お二人とも入社からとっても濃い巡り合わせですね!実際ご入社してみていかがですか?
本部:サッカーが好きでサッカーに携わることができたらなとは思っていたものの、サッカーを見る方ではなく、プレーする方が好きだったことに気がつきました(笑)。だから最初はJリーグなどは詳しくなかったのですが、仕事をしていくうちに、企画を立てることがだんだん楽しくなっていきましたね。駒井さんもよく言ってくれるのですが、サッカーに置き換えると楽しいし、サッカー経験が活きているなとは思いますね。
――プレー経験がグッズ製作に活きるというのは、例えばどういうことでしょうか?
本部:試合を組み立てるみたいなところですかね。ポジションがミッドフィルダーだったのですが、誰にボール回してとか、どんなタイミングでパスを出すか、とか。「ちょっとドリブルしすぎたな、ボール持ちすぎたな」など、単納期でいくつもの案件を回していくので、一日遅れたら崩れるし、試合の組み立てに置き換えることはよくありますね。
――なるほど!こんな形でプレー経験が活きているのですね。まさにサッカーの試合のようです!段さんはいかがですか?
段:今はスポーツはやっていないけど、観戦することが好きです。フィギュアスケートやアーティストのライブを見に行ったりする時に、グッズを見てリサーチしていますね。
本部:段さんはめちゃくちゃフットワーク軽いですよね!
――様々なスポーツチームとの関わりがあると思いますが、そもそもどのようにグッズ製作事業が始まったのでしょうか?
駒井:元々、中国の工場でフィギュア製作をすることが可能だったので、選手の写真をベースにフィギュアを製作してガチャガチャで販売していました。立ち上げ当初は、結婚式などのギフトマーケットと、スポーツ業界のどちらにするか悩んでいました。僕自身、スポーツ経験があったので、そこからスポーツ業界に絞っていきました。
――スタートがガチャガチャなのですね!そこからどのようにスポーツチームの開拓を進めたのでしょうか?
駒井:う〜ん。地道に歩いてドアをノックしていくだけ。それしかないですね。Jリーグ、BJリーグ(現Bリーグ)、野球の独立リーグ、アイスホッケー、バレーボールなど、最初から幅広く当たっていました。上から下りてきて、とか、紹介があってとかではないので。地道な作業です。とにかくドアを開けていこうというミッションです!
本部:各スポーツで人気な選手が出てきたり、今だとバレーボールや野球の人気が高かったりするので、そういった時代の流れもありながら、人気なスポーツに営業しにいくという感じですね。決まっている提案をしにいくというよりは、企画から自分たちで考えます。
――野球やバレーボールなど、既に市場が大きいと思いますし、出来上がっているところに入り込むのは難しいのではないですか?なぜ、 musica lab は受注できたのでしょうか?
本部:陳列や細かい所にこだわっているということもあると思いますが、スロットアプリや、ガチャガチャなど、割と色んなことができたからかもしれないですね!タブレットガチャを置いてみたり、他のスポーツでもガチャガチャだけ受託したりなど、そういう物販の経験が大きいと思います。
駒井:立ち上げ当初から、他社には作れない1選手25種類で製作できるガチャガチャがあるので、それが球団にも響いていたのかな。
――確かに!出るまで集めたくなります(笑)。他企業だとたくさんのパターンを作ることが難しいのでしょうか?
本部:小ロットで製作できる所が少ないですね。発注を受けてもらえる中国の工場はなかなかないのですが、musica labだと中国の工場へ発注ができます。そのため、委託業者から製作以外にも色んなことで相談をもらうこともある状態です。小ロットで何種類も製作できるということは、強みかなと思います。
駒井:スポーツチームの売上も上がり、僕らの生産数も増える、と。ガチャガチャというツールが、今の顧客数に繋がっていますね!
――小ロットで何種も制作をしていくという独自性の裏には苦労もたくさんあると感じます。「大変だな」と感じることはどんな時ですか?
段:基本的に短納期で同時にたくさんのグッズを作るので、本当に大変です。工場とも正確に調整しなくてはならないし、ちゃんと納品できないといけないので、そういったプレッシャーはあります。
駒井:一日でも遅れたら販売できなくなってしまうしね。
段:中国の工場なので、仕事に対する姿勢が違うところもあるので、その調整なども大変ですね。
本部:文化の違いもあるし、細かい印刷のズレなどもチェックが必要です。他にもチーム側の担当者との関係構築はできていたのに、チーム側の急な体制変更で別の業者が入ってくるケースもあります。そういった時はどうしようもないです・・・。
――工場側とチーム側と、色んな業者との調整が必要なのですね。大変なことも多いと思いますが、皆さんが musica lab でお仕事を続けている理由は何でしょうか?
段:働いているみなさんがとても優しいからですかね。できないことがあれば、みんなが手伝ってくれるし、会社の雰囲気が良いので、楽しく働けています。私は中国出身で日本の企業で働いているので、日本語を覚えることに苦労していますが、すぐに助けてくれます。すごく大変だなと感じることは、あまりないですね。
本部:言いたいことを言い合える雰囲気はあります。たくさんの種類を回すので、それぞれのミーティングをしたり、その場で確認をしたり、コミュニケーションはすごく大事ですね。
――チームとしての和やかな雰囲気は、グッズ品質や仕事のクオリティにも繋がっているように感じます。グッズ製作の仕事そのものの良さは、どんなところにありますか?
段:最初から最後まで、チームで完成まで取り組むことができるからこそ乗り越えた時の達成感がありますね。大変な時もあるだろうけど、あまり大変だとは思わない。みんなで経験できることが嬉しいです。販売中に直接選手が手伝ってくれることも、たまにあるんですよ!
本部:そうですね。手伝ってくれたりもありますし、子どもたちを呼んで一緒にガチャガチャのブースで楽しんでくれたりとか。その時はすごく助かりました。
――えー!選手としても、商品が売れていったり人が集まってくれることは、すごく嬉しいですよね。『声援をアスリートの力に』というビジョンを体現していますね。
本部:完成までに色々な人が携わって、みんなで一つのグッズを作り上げるというストーリーがあります。営業してきて、デザイナーさんに助けてもらって、段さんに助けてもらって、納品・販売ができることで、MD担当者さんを助けることができて。それを視察したり、実際に試合を見に行ったりなど、結構充実できているなと思います。
――様々なプロセスを経て一つの商品が形になる喜びを、携わる方全員で、そしてチームで共有できるという経験がとても魅力的です!
本部:自分でどこの開拓しようかなとか、企画から考えて、販売まで携わることもやりがいがありますよ。
――今後広げていきたいスポーツや市場はありますか?
本部:最近、マラソン業界で物販に初めて携わらせてもらいました。神戸マラソンの開催前のイベントで自社物販をやらせてもらったのですが、想像以上に販売が出来たということと、物販の空間自体も気に入ってもらえて、次回もお願いしてもらっているのでここを頑張っていきたいですね。
――既にマラソン業界に広がりつつあるのですね!スポーツチームだけではなく、団体や企業からの受注もありますか?
本部:イベントでのノベルティグッズなども広げていきたいので、イベント主催企業へ営業しに行っています。野球関係も成長させたいですね。
――色々なスポーツグッズを想像するとワクワクしますね。今後市場を広げて、事業成長をさせるために、必要な力や欠かせないものはどんな事ですか?
本部:マラソンや野球への関わりがあれば嬉しいですが、グッズ製作の一連の流れを管理したり、調整できたりする力は必要かなと思います。
段:国内も中国の工場とも、細かい調整が大切なので、全体のフォローが出来ないと難しいです。コミュニケーションはとても大切ですね。
――柔軟な対応と、外部にも自然に入っていけるコミュニケーションが必要なのですね。社内の皆さんとのコミュニケーションは、何でも言い合える温かいチームだからこその距離感なのでしょうか?
駒井:みんな距離感が近いと感じていると思います。
本部:はい、距離感が近いですね。仕事中は割と和気あいあいとやっています。プライベートで一緒に観戦することは多くはないですが、担当先の試合もあるので一緒に観戦もしていますね。
段:個人的に見に行った試合やライブのグッズはチェックしてしまいますね。新しいアイデアがあれば、持って帰ってみんなに伝えています。
――視察も兼ねて観戦できることも魅力的です!実際に働きたいと思いました(笑)。働くスタッフの方々の思いも大切にされているように感じるのですが。
本部:確かに。基本的に私たちに任せてくれている状態なので、上司から言われてやるのではなく、「こんな商品があったらいいな」など企画段階から裁量を持って取り組めます。自分で商品を届けることができているという実感を持てていますね。
段:そうですね。チームでの達成感はもちろんありますが、まずは自分で考えて行動しなくてはならないです。グッズ製作やグッズその物に興味があり、それを完成させるという責任を持って、行動できるという力は必要だなと思います。
本部:あとは、スポーツ経験も活かせると考えています。サッカーでめっちゃ走らされたじゃないですか!「その時しんどかったな」とか考えたら、「この作業も乗り越えられるな!」みたいな(笑)。そう思えることでできることもたくさんあります。イヤイヤやりたくはないし、楽しく生きていきたいタイプなので!
――ガッツも素晴らしいです!責任をポジティブに活かして、楽しめる気持ちやチャレンジしていく使命感も必要なんですね。
【編集後記】
今回のお話から、チームで一つ一つの密なプロセスを乗り越え、商品が形になる喜びを、携わる方全員で共有できるこのお仕事に心を惹かれました。musica labは、温かい職場環境を強みに「応援の楽しさ」をさらに広げながら、未来へ向けた新たな挑戦を続けています。
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【PROFILE】
駒井 貴幸(写真左)
滋賀出身。大学卒業後、musica labへ入社。現スポーツマーケティング事業の立ち上げに参画。「観る」スポーツより、自分が「する」スポーツが好きだそう。塩麹やミネラルなどの健康を意識した食事と運動を心がけている。
本部 朝陽(写真中心)
大阪出身。11年間のサッカー経験と現在も続けている空手の経験を力にmusica labへ入社。趣味もスポーツ。サッカーはもちろん、登山やスノーボードにも挑戦しているそう。
段 麗(写真右)
中国出身。日本のフィギュアスケート会場で声をかけられ、musica labへ入社。好きな言葉は、「努力はウソをつく、でも無駄にはならない。」努力をたくさんしても実らない時がある。けれど、無駄にはならないし、努力の正解を見つけることが大切だそう。