「チームの一員」になるスポーツ合宿運営。現場の熱意に制度で応える人事変革の裏側。

株式会社R.project 人事総務部 吉井 辰仁

「チームの一員」になるスポーツ合宿運営。現場の熱意に制度で応える人事変革の裏側。

株式会社R.project 人事総務部 吉井 辰仁

地方の遊休施設を活用し、合宿特化型の宿泊施設運営事業やキャンプ場予約サイト「なっぷ」を運営するプラットフォーム事業を展開するR.project(アール・プロジェクト)。「生きる力を、自然から」というグループミッションを掲げ、「地方の遊休施設を活用する」という事業特性を生かし、地域の資源に光を当てながら、自然の見落とされた価値を再発見しています。日本全体のポテンシャルを引き出す一役を担っている企業です。
今回は、スポーツに打ち込むチームを一緒に支え、その成長や団結を後押しする「合宿事業」にフォーカス。「チームの一員」となる現場のやりがいと、それを支えるためのキャリア制度。スポーツの感動の裏側で人と組織の成長を両輪で支えるR.projectで人事を担当されている吉井辰仁さんにお話を伺いました。

(取材・執筆:斎藤 僚子、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)

ただの宿泊業ではない。合宿専門だからこそ生まれる深い人間関係

2016年にR.projectへ入社し、そのうち約6年間は合宿施設の現場で働かれていたという吉井さん。前職ではホテル運営会社に勤務され、宿泊業に関する多くの経験も積まれてきました。そんな吉井さんがなぜ次にR.projectを選んだのか。まずは、入社のきっかけからお伺いしました。

「僕は前職で大手リゾートホテルの運営会社に勤務していました。当時、30代半ばにさしかかり、キャリアアップを目指して支配人への挑戦をしていたのですが、なかなか実現できずにいました。それでもチャレンジを続けていたときに、前職で一緒に働いていたメンバーが先にR.projectへ入社していて、『うちで支配人をやってみないか?』と声をかけてもらったのが入社のきっかけです。
その後、社長に会って話を聞いたりして、まず『やっていることが面白い』と思いました。合宿施設に特化した運営をしているという点ですね。
僕は以前のリゾートホテル会社で、マーケティング戦略を学ぶ機会をいただきながら、顧客体験価値を高める、といったことをやってきました。僕は前職の環境も刺激があったのですが、R.projectは「合宿運営」に特化という点がとがっていて、そこが面白いなと思ったんです。とにかくそこに一番興味を持ちましたね。」

特徴的で専門性のある点に惹かれたという吉井さん。合宿で受け入れるお客様との関わりは、リゾートやレジャーに振り切っている施設と比べると、目的の違いを差し置いても、顧客と従業員のあいだに生まれる“人間的なつながり”は大きく異なってくると話します。

「まず合宿は、個人客が来るものとは違って『団体』なんですよね。そして、付き合いも長くなるんです。例えば、早いと合宿の予約が1年くらい前に入ります。夏合宿が終わったら、『来年もこちらでお願いします』というふうに予約を取られたりします。なので、すごく長いお付き合いをするんですね。それで、実際に合宿に来られた際は、『吉井さんからもひとこと頂いてもいいですか?』なんて言われて、みんなの前で話したりですとか、『練習見にきてください!』と誘っていただいて見に行ったりとか。そういう瞬間がすごく多いんです。
また、合宿は1泊、2泊は通常なのですが、長期滞在の団体様ですと5泊とか、長いときは9泊されるところもありました。そうなると、毎日顔をあわせる学生さんや、そこにいる方との繋がりも長くなってくる。先生になった気持ちというか、親になった気持ちというか、『本当に頑張ってほしいな』と心から思うんですよね。あるときには、メッセージカードをアルバイトスタッフと一緒に作ったりもしました。そういう“人情味のある関わり”がすごく多い場所なんですよね。リゾートホテルの接客だと『いらっしゃいませ』とお客様を迎えて館内やお食事の説明をして、あとは『では、ぜひお楽しみください』と、引く感じですが、ここではそうじゃないということです。もうべったりです。チームの一員になるって感じですね。」

スポーツに打ち込む人をどうバックアップしていくかを常に考える

業務の中で、ときには厳しい練習で疲弊している学生の悩みを聞いたり、ねぎらいの言葉をかけたり、彼らの練習や演技を見て胸を熱くしたりする瞬間も多くあったと話す吉井さん。単なる作業にとどまらず、深く寄り添う関わりを大切にしてきたことが伝わってきます。また、合宿を受け入れる際には様々な要望を受けることも。「こんなことできますか?」という声に応えることも仕事のやりがいのひとつだと話します。

「当日、受け入れるまでに、幹事さんと打ち合わせをするんですけど、その中でいろんな要望をもらうことがあります。『これは無理ですよね?』と相談されることも、大体は応えてきたかなと思うんですが……。
ひとつ、特に大変で印象に残っている合宿があります。ある学校が遠泳の授業をやりたいということで、船を用意してほしいという要望があったんですね。船に先生が乗って、子どもたちが泳いでいるのをサポートするといった感じです。船の手配がまた大変で、まず漁師さんに交渉に行くんですよ。『こういう使い方をしたいので、漁師さんの船を何隻かお借りできませんか』とお願いしたら、『いいよー、何人か仲間に声かけてみるわー』って返事をもらったんですけど、ちゃんと伝わってるかな、大丈夫かなって不安にもなったりして。同時に、万が一何かあったときに救助できるように、4〜5人乗れる大きめの船も用意もしたりして。これを手配するのは、結構大変でしたね。」

受けたことのない要望にもどう応えるか、柔軟に考えて対応してきたという吉井さん。お話を伺っていると、そういった努力が快適に合宿に打ち込めるかどうかの大きなポイントになっていると感じます。

「合宿中も終わった後も一緒に喜べるというか、達成感を味わえたときにすごくやりがいを感じます。施設によっては、スポーツ合宿だけじゃなくて、企業研修なんかも受け入れることがあるんですね。そういうとき、担当の方から『こういう企画なんですが、うまくいきますかね?』と相談されることもあります。そこから打ち合わせをして段取りを決めて、『この予定より少し時間をずらしたほうが導線として流れがいいと思いますよ』などと提案してみたり。その結果、『すごくいい合宿研修になりました』と言ってもらえると、やっぱり嬉しいですし、一緒に達成感を味わえますよね。」

ステップアップを応援するR.projectの取り組み

ここまで現場の仕事の大変さや、現場だからこそ味わえるやりがいについて伺ってきました。現場で得られる経験値や成長のポイントは多くありますが、長期的に成長していただくために会社の中のポジションとしてキャリアアップを目指すこともできると、吉井さんは話します。

「社内のキャリアアップについては、実は最近まで非常に曖昧だったんです。活躍している人をなんとなくマネージャーポジションに置いている、という感じでした。『エンゲージメントサーベイ』という、社員の仕事への思いを聞く調査を行っているのですが、そこで仕事のポジションについてさまざまな意見を聞きまして。それをもとに、今年から合宿事業の方で『等級制度』というものをきちんと導入することになりました。
『この仕事ができるようになれば、次のグレードに進める』というような評価の方法です。ただし、ネガティブな部分もあって、社員によってはグレードが下がってしまう可能性もあるんです。それを不安に感じている人もいますが、僕たちはこの制度を正しく運用して、不公平がなく、納得できる形で仕事をしてもらいたいと思っています。」

重要視するのは、いかにミスマッチがなく社員が働けるかということ

現場での仕事を長く経験し、現在は人事を担当している吉井さん。現場での対応力や視点は、今のポジションにも大きく活かされているように感じます。また、人事として社員の相談を受けたり、メンタル面に寄り添ったりする立場になったことは、吉井さんご自身にとってはとても性に合っていたそうです。

「元々うちの会社には、人事的な役割を担っている人はいたものの“人事部”という明確な部署がありませんでした。だから、辞めたいと思う社員が出てきても、相談できるような場所がなくて。
特にコロナ禍では退職者が多くそんな状況の中で、『話聞くよ』と、最初は僕が勝手に社員の話を聞くようになったんです。そこで出た声をまとめて社長に『今、現場ではこういう声が上がっています』と伝える、そんなやり取りをコロナの期間ずっと続けていました。そうしているうちに、『人事をやりたいな』と思うようになりました。そこで社長に相談し、人事担当としての役割を正式に任せてもらうことになったんです。」

吉井さんがきっかけで正式に立ち上がった人事部。吉井さんが人事というポジションにおいて最も大切にされていることは長期的な視点から考えられたものでした。

「僕が人事において一番重要視していることが、『ミスマッチがないか』というところなんです。例えば採用した後、しばらくしてから『実際に働いてみてどうだったか』というところは、とても気になっているんですね。入ってから2週間ほどで面談をすることがあるのですが、そこで『頑張れています』という声を聞けると嬉しいですね。ミスマッチがない状態で働けているということですからね。」

現場で働いていた頃のお話からも、人事として立場を変えた現在のお話からも、吉井さんの根底には「人の役に立ちたい」という思いがあることが伝わってきます。だからこそ、「採用」という面でどんなこだわりを持っているのか、吉井さんは率直に次のように話します。

「うちの合宿事業には大事にしている“コアバリュー”があるんですが、それをきちんと共有しながら、同じ価値観でチームの一員になってくれる方に来てほしいと思っています。やっぱり、同じ志を持っていない人が混ざってしまうと、チーム全体のテンションが下がってしまうんですよね。だからこだわりとしては、同じ思いをもってチームで取り組めるような人を採用していくことですかね。」

そしてこの吉井さんの思いは、これから作っていきたい組織のビジョンにもつながると話します。

「お話したように、今はいろいろな制度を整えて骨のところを強くしようとしているという感じです。その中で、チームみんなで高め合いながら仕事ができたらいいなと思います。じゃあ高め合うってなんなのかというと、これは僕が思うことなんですけど、ルールをもって殴り合うということですかね(笑)

もちろん、暴力ではなく、相手にリスペクトをもって建設的に殴り合えたらと思っています。それは、スポーツに近い感じかもしれません。『こっちのやり方がいい』『いや、こっちの練習方法がいい』みたいな(笑)ボクシングの試合でも、いい試合をした後って、選手同士が抱き合うじゃないですか。あれをやりたいんですよね。だから健全に殴り合える=議論できる関係性でいられる状態がいいなと思いますね。」

一緒に会社を育てたいと思う人が挑戦できる職場

一緒に高め合えるメンバーを求めているという吉井さん。改めて、そんな吉井さんが感じるR.projectの魅力や、会社に興味を持った人へ伝えたいことについて伺うと、次のように語ってくれました。

「 『一緒に会社を作っていきたい』と主体的に思う人にとってR.projectはそのチャレンジができる会社 だと思います。今も20代、30代のメンバーが一生懸命いろいろ提案していたり、若いマネージャーや30代で本部長を務めていたりする人もいます。年齢が若いからダメということは全くありません。もし、職場でいくら提案しても会社の都合でなかなか受け入れてもらえず、モヤモヤした経験があるのだとしたら、うちの会社ならチャレンジできるんじゃないかと思います。等級制度の導入などを含め、合宿事業でのこれまでの通例を壊し、僕らは本当に大きな変革の時期を迎えています。こんな環境で、チームと一緒に同じ方向を向きながら、自分のアイデアや力を試したい人、そしてそういう空気感が好きな人に出会えたらいいなと思っています。」

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【PROFILE】
吉井 辰仁(よしい たつひと)
2016年R.project入社。合宿施設の現場で約6年間勤務。現場での経験を活かし、人事として社員の相談・採用・キャリア形成に携わる。オフの時間はスナックを巡るのが好きで、スナック本も出版してしまったほど。肩肘張らずに会話を楽しめる、あたたかくて人情味のある空間に魅力を感じている。

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

設立年月 2006年11月
代表者 丹埜 倫
従業員数 300名(アルバイトスタッフ含む)
業務内容

・宿泊施設及びスポーツ施設の運営事業
・アウトドア事業(キャンプ場予約サイト等)
・イベントの運営事業
・インターネットに関する総合コンサルティング事業

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