突然ですが、あなたは人生で一番最初に持った夢を覚えていますか?
それぞれ心の中に蘇るものがあるでしょう。そして、実際にその職業に就いている人はごくわずかのはず。なんらかの理由で、その夢をあきらめざるを得なかった人がほとんどだと思います。
今回、スポジョバ採用ファイルがご紹介するのは、くまふメディア制作事務所への転職を成功された篠田江梨奈さん。人生で初めて明確に持った夢をあきらめて、地元の企業で働く日々。そんな篠田さんは、もう一度、夢に向かって挑戦を始め、今はその夢の「スポーツ記者」として奔走しています。迷いながら、あきらめながら、少しづつ歩を進めた彼女の転職記。きっとあなたも共感するはずです。
(取材:構成=スポジョバ編集部 荻野仁美)
ーー早速ですが、篠田さんは大学もスポーツ健康学科とスポーツ系の学びをされてるんですよね。もともとスポーツ業界で働きたい思いがあったのですか?
篠田:そうですね、小学校からバスケ、中高はソフトボール部、大学は野球部のマネージャーとずっとスポーツに関わってきました。中学生くらいから、ぼんやりとスポーツに関わる仕事につきたいなと思うようになったんですよ。理学療法士、スポーツトレーナー、スポーツ栄養士…様々な職業を考える中で、初めて自分の中で「あ、これだ!」と感じて、明確な夢として志望していたのが『スポーツ記者』だったんです。
ーーまさに今回、転職されて就いた職業ですね!どんな思いがあったのか是非、伺いたいです!
篠田:きっかけは高校生の時、大手スポーツ新聞の記事でした。高校野球の秋季大会で、自分の高校の野球部が県ベスト4になったときの記事だったんですが、紙面を読んでいるだけなのに、まるでその場で一緒に応援しているような気持ちになれたんです。それがすごく新鮮な体験で「新聞ってこういう事もできるんだ」って感動して!!大学でもその分野のゼミに所属して、いざ就活は、その記事の発行元である大本命の会社1社だけ受けて。「もしダメなら、長野県の地元で就職して親孝行しよう」そう決めて背水の陣で挑みました。
ーー潔くてカッコいいです!!それで、その大本命の試験は・・・
篠田:3次試験敗退でした…。当初の決意通り、地元に戻って就職。農協の金融部門に入って、主に融資を担当していました。でも20代半ばになって、漠然とした不安を抱え始めたんです。周りも結婚したり転職したり……。人生のステップアップをしていく友人たちを見て「私は、ただ食べていくためだけに仕事していていいのかな」って。そんな時に、ふと見ていたドラマのセリフで「20歳の顔は天からの授かりもの、30歳の顔はその人の生き様が出る、50歳の顔にはその人の価値が出る」って言葉があって…ハッとしましたね。
ーーその言葉は、刺さります!!(笑)確か、それってココ・シャネル(シャネル創業者)の言葉ですよね?
篠田:そうです!私もズバッと刺さって、このままだと私、30歳はつまらない顔で過ごしてるだろうなぁって思って(笑)その言葉に出会ったのが27歳の時で、じゃあ30歳の自分のために、ここからの3年間が勝負だ!と思って少しづつ動き出しました。
ーーその言葉に後押しされて、本格的に転職活動をスタートされたんですか?
篠田:といってもフットワーク軽く活動していたわけではないんです。当時の仕事に不満があったといえばあったけど、辞めるほどではなかったですし。時間がある時に求人を探すっていう程度ですね。やりたいことはもちろんスポーツ関係でしたが、狭き門なのはわかっていたので、現実的に「今より給料が高いか」「福利厚生はどうか」「ネイルは出来るか」とかそんな条件で求人をチェックしていました(笑)万が一、スポーツ関係のお仕事があればラッキーくらいの感じで、私にとってはスポーツの仕事は、まだ「夢」っていう位置づけでしたね。
ーー現実的な条件すごくわかります(笑)そんな中でスポジョバを見つけて下さったんですね。
篠田:こんなにスポーツ業界だけを取り上げているサイトがあるんだ!って開いたら、最初に、くまふメディアの求人が出てきたんです!もう「きたぁぁぁぁ!!」って思いましたね(笑)スポーツ業界で、自分がずっと目指してた記者!しかも未経験歓迎!すごくテンション上がりましたけど、でもこれこそ狭き門だろうな……とは思いました。それでも後悔のないように「受けるだけ受けてみよう」って、応募ボタンを押しました。
ーーその時の篠田さんのテンションが目に浮かぶようです(笑)くまふメディアはとても人気の求人だったんですが、作文課題にしり込みしてしまう人が多かったんです。選考はいかがでしたか?
篠田:書類選考で600字の作文課題がありましたね。学生時代に記者を目指していた事もあって、大学のHPに載せる文章を書かせてもらっていた事もあるんです。その経験も活きたのかな?そんなに苦はなく作文課題を仕上げられました。その後、書類通過して、面談へと進んで……「やれるだけの事はやった、でもまぁ受かるわけはないだろう」って感覚でいたら…なんと合格の連絡を頂いて…!!嬉しかったですね~!!思わず電話口で「ほんとですかぁぁぁ??!!」って、企業の採用担当の方に言うようなテンションではないテンションでリアクションしちゃいました(笑)
ーー自分が初めて明確に持った夢、それが数年越しで叶ったんですもん!そうなりますよ!!でも、くまふメディアは静岡県の企業。篠田さんは大学も就職も長野県内で、県外に出るのも初めてだと思うんですが、そのあたりの抵抗はなかったですか?
篠田:なかったです!逆に出たかったんです、ずっと。長野県しか知らないっていうのが嫌で……。ただ最近発覚したんですけど、母親は、私が県外に出ちゃうのが寂しいから落ちちゃえ!ってずっと思ってたみたいです(笑)今は応援してくれていますよ!父親は、私がずっと目指していた道だって知っていたので「ちゃんと自分の力で生きていくなら、いってらっしゃい」って背中押してくれましたね。
ーー複雑な親心ですよね…。篠田さんを思うご両親の気持ちに心温まります。
ーーそんな念願のスポーツ記者生活がスタート!!今、いかがですか?
篠田:すごく充実しています!!私が入社してすぐに高校野球の特集号が動き出して、この3ヶ月くらいはずっと静岡県内の高校回って記事書いてっていう日々でした。取材している時は「これがやりたかったんだよ~!これ、これ!」って心の中で叫びながら(笑)スポーツ記者としての日々を噛み締めています…!!
ーースポーツ記者を志したきっかけの高校野球の取材から始まるなんて、それもドラマチックですね!ちなみに、私はよくインタビューしていて相手に感情移入し過ぎて泣きそうになっちゃう事あるんですが、篠田さんは今のところいかがですか?
篠田:あります!!取材対象者に思い入れを持ちすぎて書いた記事が、保護者、お母さん目線みたいになっちゃって(笑)なので今は、第三者目線で記事を書くように心掛けています。やはりスポーツ記者は公平でなくてはならない、どちらかのチームに肩入れするような記事になってはいけませんし。そこは今、意識している所ですね!
ーー大事なことですよね!あと雑誌の世界って、時間に追われたり過酷な部分もあると思うのですが……実際、足を踏み入れてみてイメージと違ったって事はないですか?
篠田:う~ん、それはないかなぁ。最初から炎天下での取材だったり、〆切に追われる世界だっていうのもわかっていましたし。校了前に一度だけ会社で日を跨いだことがあったんですが、むしろそんな部分にさえ憧れを抱いていたので「おぉ!これがあの……!」って感覚でした(笑)
ーータラレバなんですけど…もし仮に転職していなかったら、今、篠田さんはどうなっていたと思いますか?
篠田:それはそれで楽しかったと思うんです。前の職場の人もいい人ばかりだったし、恵まれている環境でした。でも逆にいえば「ただ楽しいだけ」だったかな。みんなで仲良く仕事して、仕事終わりには飲みに行ったりして…っていう楽しさ。それしかなかった。今は人としての成長だったり、人生を充実させるっていう楽しさ。この楽しさの世界を知る事が出来たのは、今の仕事に転職してからですね!
ーー一歩踏み出して扉をあけたからこそ出会えた世界ですよね!
篠田:環境変えるってすごく勇気がいる事ですけどね。私、転職してから、食べていくためだけに生きていくのはもったいないなって思うようになりました。仕事ってそんなもんだろうって割り切ってた部分があったんですが、今、やりたい事にチャレンジしている中で「やりがいを持って働けるってすごく大事!やりたい事あるなら挑戦したほうがいい」ってすっごく思います!!
ーー今、本当に仕事に熱中されているのがよく伝わってきました!今後、書いてみたい記事とかありますか?
篠田:社会人になってから、元々興味があったスポーツ栄養に関する資格もとっていて。その知識を記事にして発信していきたいなと思っています。コラムというか……試合の日はこういう食事がいいとか、食の面から選手、学生たちの助けになるような、そんな記事も書いてみたいです。
ーーそれは篠田さんならではの視点ですね!では、もっと先の……大きな目標は、いかがですか?
篠田:入ったばっかりであまり大きなこと言えないんですけど(笑)例えば、私の生まれ育った長野県にもこの仕事で貢献できたらいいなって思います。うちみたいに県内の高校生アスリートを紹介するような雑誌が、長野県にはあまりなかったんです。そういう雑誌ができたら、長野県の高校生たちも嬉しいんじゃないかなって。いつか、そんな一翼になれたらいいなと思います。まぁ、とにかく今は必死にくらいついてやっているという感じなので(笑)早く1人で記事書いて、写真も撮れてっていう一人前の記者になりたいです!
ーーでは最後に、この記事を読むのは数か月前の篠田さんと同じような状況の方々だと思います。今の篠田さんから、どんなアドバイスをしますか?
篠田:迷ったら行け!ですかね(笑)私も、前の職場をわざわざ辞めなくても…って迷って、なかなか一歩が踏み出せなかった。でも、今言えるのは、本当にやりたい事があるなら一歩踏み出した方がいいよ!ってこと。踏み出せばなんとかなりますから!
ーー力強いお言葉ありがとうございます!!今、キラキラした表情で働いている篠田さんを見ていたら30歳になった時の篠田さんが、より一層、楽しみになりました!!
【PROFILE】 篠田 江梨奈(しのだ えりな)
長野県出身。松本大学人間健康学部スポーツ健康学科卒業後、地元長野県の金融機関に就職。スポーツのバックボーンは、バスケ、ソフトボール。大学では軟式野球部のマネージャーも務めた。学生時代に、スポーツ新聞社の記事を読んだことをきっかけにスポーツ記者を志す。スポジョバ経由で、ジュビロ磐田のオフィシャルブックや静岡アスリートを応援する雑誌などを刊行する、くまふメディア制作事務所に入社。現在、新米記者として奮闘中。
趣味はコンビニパトロールという名の、コンビニ新商品探し。ローソン、セブンイレブン、ファミリーマートの大手3社は常にチェック。特にスイーツが得意分野で、今年度は各社、きなこ、抹茶、あんこといった和風押しとの分析も。「ローソンのスイーツは間違いない」とのこと。
設立年月 | 2012年05月 | |
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代表者 | 久保暁生 | |
従業員数 | 6人 | |
業務内容 | 1.写真撮影
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