マラソンの魅力を”偶然”から”必然”に変える取り組みとは。 マラソンが紡ぎだす人の輪を感じるイベント企画。

株式会社グッドスポーツ 山田 靖

マラソンの魅力を”偶然”から”必然”に変える取り組みとは。 マラソンが紡ぎだす人の輪を感じるイベント企画。

株式会社グッドスポーツ 山田 靖

マラソンというスポーツは、長い長い自分との闘い。孤独・個人というイメージを想起してしまうかもしれない。

しかし、今回お話を伺ったグッドスポーツの山田さんの話を掘り下げていくと、孤独・個人というイメージからは少し違った角度からもマラソンを見ていた。

その始まりは、中学生の時にたまたま始めた陸上競技。そこから少しずつ紡ぎ出されていった繋がりも今のマラソン事業へと影響を与えている。

偶然の連なりで山田さん自身が見い出せたマラソンの魅力を、グッドスポーツだからこそ意図的に生み出せている理由がある。

その理由は一体どんなものなのか。ただ走るだけではない一風変わった企画が生み出されるきっかけや、グッドスポーツの今後の展望についても伺った。

(執筆:中田 初葵、編集:伊藤 知裕)

偶然の点と点が繋がり必然へと向かったマラソン事業の始まり

―――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、山田さんは最初からマラソンに関わるお仕事をされていたのですか?

実はマラソンとは全く関係のない仕事をしていたんです。学生時代、陸上競技はしていましたが、それを職業にすることもなく、卒業してからは自動車メーカーに入社をしました。ですが、仕事内容が全く合わなくて…

―――自分に合う仕事を選ぶことは難しいですよね。その後はどうされたんですか?

もともと旅行が好きだったので「旅行業界に行こう」と考えて、そのための勉強をし直しました。そして、やっと長く続けられるような旅行会社に入り、やりたかった企画を25年程度やっていました。

―――天職に出会えたんですね!そこからどうしてマラソン事業に転換されたのですか?

20年前、周りでマラソンブームが到来して、みんなでリレーマラソンに出場したことが今思い返せばきっかけだったと思います。

大会に参加した際に気になるポイントがいくつかあったんです。企画の仕事をしていたので自分だったらもっとよりよい大会にできるんじゃないかと感じました。

―――創業まではまだ少し期間がありますね。

それから東日本大震災をきっかけに、自分ができることを考えました。今まで続けてきたマラソンを使って、皇居で復興支援を目的としたマラソンを始めたことがグッドスポーツの創業に繋がっていきます。

―――偶然に見えるきっかけが実は山田さんが一番やりたかったことだったのかもしれないですね。先ほど学生時代に陸上競技をされていたとおっしゃっていましたが、もしかして陸上も偶然始められたのですか?

私の中学はもともと陸上部はなかったんです。その時、私はバスケ部にいたんですが、バスケ部にいながら陸上をやりなさいと言われて陸上もかじっていました。私の地元などでは他の部活に所属していても、中体連などがあると、泳げる人やちょっと走れる人は声をかけられて集められるんです。

高校に行くときも、別に陸上がやりたいわけではなかったけれど、先輩に声をかけられ、いわゆるノリや流れで入ってしまいました(笑)

本格的に練習を始めると自信もつき始めて中・長距離の方に力が入り始めました。それはマラソンにも繋がっていると思います。

―――好きで陸上を始められたわけではないことにも驚きです(笑)では、なぜここまでマラソンという事業を続けてこられたのですか?

マラソンだからこその魅力がたくさんあるんです。それを幼い子どもたちからお年寄りまで年代を問わず、全ての人に届けたいと思いました。

マラソンが紡ぎだす人と人との繋がり

―――マラソンだからこその魅力を感じたきっかけは何かあったのですか?

高校時代の同学年にライバルがいて会いたいなと思う時がありました。こっちが一方的に知っているだけで向こうが覚えていたかどうかは分かりませんが(笑)

そうしたら、一昨年、名取のサイクルスポーツセンターで私たちが開催した大会に彼が出場していたんです。

―――すごい縁のめぐり合わせですね。実際に会えたのですか?

SNSを探していったら見つけられて、お互い連絡を取り合うようになりました。これってある意味スポーツがもつ魅力なのかなって。学校のクラスメイトという関係だけだったらそこまで会いたいと思えないかもしれないけれど、同じ陸上競技で切磋琢磨していたからこそ会いたいと思えるんです。

そんな人と人とのつながりを見たくてこの事業を続けています。

―――実際に人とのつながりを感じられた場面は他にもありましたか?

マラソンって基本的には個人種目ですよね。個人が集まると駅伝やリレーマラソンになるけれど、基本的には個人。長い一人の戦いなんです。マラソンを走っていると30キロあたりで足がつって、しんどいなと思いながら下を向いて走っていたりします。でも、そんなときにフッと顔を上げて周りを見ると、沿道の方々が応援してくださっているんです。見たこともない、今日初めて会った沿道の人たちが、頑張ってください!と応援してくれていて、頑張ろうと思えます。

―――たくさんいる参加者の1人ひとりに対して、みんなが応援するような競技はなかなかないと思います。マラソンという個人競技だからこその魅力ですね。そういったマラソンの魅力を体感している山田さんが大切にしていることはありますか?

幅広い年代の方々みんなに走る機会を提供するようにしています。そのために、様々なクラスのレースを一つの大会に盛り込んでいます。小学校はマラソン大会はあるけれど、それ以降はなかなか走る機会が設けられていません。だから、幼い頃から走る機会を与えたいなと思っています。

―――他にはどんなクラスのレースがありますか?

年齢だけでなく、競技レベルについても幅広く走る機会を提供できるようにしています。例えば、フルマラソンをしようと思うとそれなりに練習が必要ですよね。でも一人だけで練習したり走り込みしたりするのはハードルが高い。そんなフルマラソンは少し難しいという人向けに30キロマラソンを設けました。フルマラソンで記録が伸びない中、続けていくのはモチベーション向上につながらないので、記録も目指せる30キロがあるといいなと思って。

偶然生まれるマラソンの魅力に必然性をもたせるためのこだわり

―――実際に幅広い方々に走る機会を提供してみていかがでしたか?

一般的な大会は、1つの大会に1つのレースが基本。でも、うちは一部の人が楽しめる大会にするのではなく、みんなが楽しめる大会にしたかったんです。だから、1つの大会に複数のレースを盛り込みました。例えば、幼稚園の子たちが一生懸命にゴールに向かって走っている。その様子を次のハーフや10キロとかに臨む方々が見れるようにしました。ゴールしていくその子たちの姿を見て、勇気をもらったという言葉もいただきます。

―――走る人が、応援する人であり、応援される人でもある。応援し合えるようなステキな雰囲気を上手に生み出されているんですね!

見ず知らずの方々が頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうという活力にもなります。他人のゴールを応援できる自分がこれからスタートするからこそ没入感があるし、気持ちを高ぶらせることができますよね。1つの大会にレースを複数入れることで実現した形です。主催者側の私たちもやってよかったと思います。

―――グッドスポーツさんは、従来の企画から今までなかった企画を生み出されていることが伝わってきます。他にもそういった企画はありますか?

みかんリレーを開催したり、借り物競争を盛り込んでみたり(笑)

―――イメージしていたマラソン大会とは違いすぎて驚きました!どうやってこの企画は生み出されているんですか?

従来のリレーマラソンだけでは集客できないので、何か他にも秀でたものを作らないといけないと思っていました。運動会によくある借り物競争とか、パン食い競争とか(笑)その考えから、みかんリレーが生まれました。

気を付けているのは、日ごろから参考になるものはないか、いつもアンテナをはっていることです。通勤途中の電車の広告とかちょっとしたところに転がっているのでそれを見逃さないようにいつも気を付けています。

100個企画を考えて、99個落としてを繰り返していって今のグッドスポーツになったと言えます。

常に新しい変化を求めるグッドスポーツの展望

―――みなさんにマラソンの価値を提供していくために、常に新しいものを取り入れようとされていますが、グッドスポーツとして今後やっていきたいことなどはありますか?

今までは基本、うちが募集をかけてうちで運営も行っていたので1社で完結させていました。これからは自治体や企業とも協力をしていきつつ、さらに事業として伸ばしていきたいです。

―――具体的に何か取り組まれているものはありますか?

低予算で開催できる大会をやらないかどうか自治体に声をかけて動いています。自治体の方で今まで主催していた大会の参加人数が3割程度減少してしまいました。その年にもう開催をやめると言ってきた人たちもいるくらい継続が難しくなっています。でも、今まで数千万かけてやっていた大会が突然なくなってしまうと参加していた人たちの行き場がなくなってしまいます。そこで、低予算で開催できるうちとタイアップできないか考えました。

他にも、特殊性のある計測という業務を請け負える企業が少なくなっているので、計測もできるうちと大会運営を行っている企業さんとコラボをして、企業側としても参加者側としても満足してもらえる環境を作っています。

―――自社以外にも目を向けられているのは、常に新しいことを生み出そうとされているグッドスポーツさんだからこそですね。最後に、マラソン事業の展望や未来について教えてください。

高齢化や人口減少も進み、運営側も参加者側も足りなくなっていて課題はあります。でもどこの企業や自治体もそれに対して変えていかなければならないという意識があるように感じます。だからこそ企業や自治体が私たちに期待していることがあり、タイアップ企画などの様々な取り組みができるようになっています。私たちもそれに応えていきたいです。タイアップももちろんしていきますが、私たちの芯となる部分はしっかり残してさらにチャレンジを重ねていきたいです。

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【PROFILE】

山田 靖

宮城県小牛田町(現 美里町)出身。中学時代から陸上競技を始め、数々の記録を残す。2011年の東日本大震災をきっかけに、自分にもできることはないか考え、マラソン事業を本格的にスタート。

プライベートで大切にしていることは、子どもと遊ぶ時間を作ること。職業柄、土曜日に子どもと会う時間がなかなか作れないため、日曜日には早く起きて子どもとコミュニケーションを取る時間を作っている。

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

設立年月 2012年11月
代表者 山田 靖
従業員数
業務内容

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