ぴあ開講「スポーツビジネスプログラム」が目指す“裏方のプロ化”

ぴあスポーツビジネスマネジメント部・部長 坂井 亮太

ぴあ開講「スポーツビジネスプログラム」が目指す“裏方のプロ化”

ぴあスポーツビジネスマネジメント部・部長 坂井 亮太

スポーツやエンタテインメント関連のサービスを多岐に渡って展開するぴあ株式会社が2021年に開講したスポーツビジネススクール・ぴあスポーツビジネスプログラム(ぴあSBP)。チケッティングはもちろん、ぴあのスタッフがスポーツクラブなどで出向してきた経験なども踏まえた、リアルで実践的なプログラムです。「フィールドやピッチにいる選手がプロの選手だとしたら、裏方のスタッフもプロであるべき」。そう話すのは、ぴあスポーツビジネスプログラム事業責任者で、同社スポーツビジネスマネジメント部・部長の坂井亮太さん。2026年4月に始まる第6期開講を前に、坂井さんに立ち上げの経緯やこれまでの手応え、ぴあスポーツビジネスプログラムの担う役割などを伺いました。

(取材・執筆:小林 千絵、編集:伊藤 知裕、池田 翔太郎)

目指したのは現場ですぐ活躍できる人財を育てること

──まずはぴあスポーツビジネスプログラムを立ち上げた経緯から教えてください。

コロナ禍でスポーツもエンタテインメントもイベント開催が厳しくなったときに、会社として何か新しいものを生み出さなければならないということもあり、有志で集まったメンバー数人で検討を開始しました。当時ぴあは、コロナ禍であらゆるイベントが中止になり大打撃を受けており、ぴあのノウハウを活かしてできることは何かないかと考えに考えて、たどり着いた企画でした。

──その中でスポーツビジネススクールを始めたのはどうしてだったのでしょうか?

スポーツ業界の人財不足というのはずっと深刻な問題でした。実際に私も入社3年目から、Jリーグの横浜F.・マリノスに出向していました。人財不足の原因は、企業は即戦力を求めているのに対して即戦力というのはなかなかいないこと。もう一つは、ギャップですぐに辞めてしまう人が多いこと。スポーツクラブって外から見るとキラキラして見えますよね。だから、入ってみたらそのイメージと違って、すぐに辞めてしまう。そのような現実もあることを目の当たりにして、スキルやノウハウを持つ人財を育てること、そして入ったあとのギャップをなくすということは、事前にやるべきことだと考えました。ぴあからの出向も無尽蔵にできるわけではないので。そこで「だったらスポーツビジネスを学ぶ学校を自分達でつくりましょう」という話になったわけです。

──御社で活躍されている皆さんの経験からのアイデアだったんですね。

はい。もちろんぴあが主催するので、チケッティングについてもしっかり教えます。スポーツビジネスのスクールはいろいろとありますが、チケッティングまで教えてくれるところは意外とないですから。何よりこだわったのは、現場ですぐ活躍できる人財を育てるということ。スポーツビジネスというと、クラブの経営について重点的に学ぶ場所だと考える人が多いと思うのですが、いきなり経営陣を入れたいという会社は少ないと思います。実際に足りていないのは現場で活躍してくれる人。だから“経営視点を持っていて、かつ現場の泥臭いこともできて、新しい発想もある人財を育てる”ということをコンセプトにスクールを始めることにしました。

「即戦力」を送り出すための“三本柱”

──これまでに5期開催していますが手応えとしてはいかがですか?

我々は元々ビジネススクールの専門家ではないので、本当に手探りでした。「粛々と実績を積み重ねています」という感じなのですが、やってみて思ったのは、やはりニーズはあるんだなということでした。第1期の開講前は、受講生の対象として「大学生から25歳くらいの若手で、入社・転職したいという意欲のある人」を想像していたのですが、いざ蓋を開けてみたらニーズはそこだけではなかったのです。もちろん新卒・第二新卒のニーズもありましたが、すでに別のキャリアを持ちながら「スポーツ業界にどう入っていいかわからない」という20~30代の人たちからの応募も多かった。新卒で入れれば一番良いのですが、最近ようやく新卒採用が増えてきたJリーグやプロ野球球団でも、新卒入社は狭き門だと思っています。そこから入れる人は現状ほんの一握りだと思うのです。だから最初の募集前に掲げた年齢制限は早々になくしました

(幅広い年齢層の受講者が集まる)

──もっと上の世代の方々にもニーズがあるのではないですか?

はい。そうすると、40~50代、さらには60代の方からの応募もきました。セカンドキャリア、サードキャリアでスポーツに関わりたい人や、企業の中で決裁権限を持っていて、自分の会社でスポーツ事業を起こしたいと考えている人、スポーツチームの協賛をしたいけど会社を説得できないから受講したい人などもいらっしゃって。あとは、これまでは家族のために仕事をしてきたけど、最後のキャリアとしてスポーツでの社会貢献をしたいといった方も受講してくださいました。もちろん受講されたすべての方が、その夢を叶えられているわけではありませんが、いろいろなニーズがあるんだなということは、開講してみて気づきました。

──あらゆるニーズがあることが分かった上で、実際のプログラム内容はどのような構成にしていったのか、改めて教えてください。

プログラムは、概論・事例・実践の3つで構成されています。概論は座学で、スポーツビジネスの各分野における「原理原則」を学びます。「事例」はパートナーシップなど、その分野専門で活躍されている方をお呼びしてお話を伺うもの。ここまでは、いろいろなスポーツビジネススクールでもよく採用されている内容かと思いますが、我々が目指しているのは、即戦力として活躍する人を育てること。だから、学んだことをアウトプットする場として、「実践」をプログラムに取り入れています。「あなたがクラブ職員だったらこれをどう判断しますか?」といった課題に対するプレゼンテーションなどをし、さらに現場での実地研修やフィールドワークで、実際に現場で働いている人が、それをどう体現しているのかを実際に見て学びます。今「どう体現しているのか」と言いましたが、実際の現場ではできていないことも多い。それも知ってほしいのです。「理想はこうだけど、それができない現状がある」ということを。その上で「じゃあそれをどうやって解決するか」を一緒に考えられる人を育てたいんです。そこが、ぴあSBPの特徴なのかなと思います。

(Jクラブやプロ野球球団などで実地研修を行うのが大きな特徴のひとつ)

──確かに、そこまで知って考えられると、入ったあとのギャップもなくなるでしょうし、より意欲も湧きそうですね。実際の卒業生はどのような進路を進んでいるのでしょうか?

本当に多岐に渡ります。もちろん球団やクラブに就職した方もいらっしゃいますし、一方で、ここで泥臭いことを学んだ結果「今じゃないな」と判断して一旦はスポーツ業界に進まないという選択をした方もいらっしゃいます。スポーツビジネスといってもクラブや球団といった“中”から関わるという方法と、業界の“外”からを支える方法があります。ここで学んだ結果「自分は“外”からだな」と気づいて、自分の会社の中で事業を成長させたり、スポーツに関連する企業を立ち上げた方もいらっしゃいます。我々もこのプログラムのゴールを、協会やクラブ、球団への就職・転職だけに設定しているわけではありません。その人が、そのスポーツとの関わりをどうするかを考えるきっかけとして、ぴあSBPを活かしてほしい。そのために、そこに対するサポートをする体制を取っています。

「一歩踏み出せない人」の背中を押すぴあSBP

──この取材に立ち会っていただいているスポーツビジネスマネジメント部の方も、ぴあSBPの卒業生だと聞きました。このように実際に開講してみて、ぴあにはどのような影響を与えていると思いますか?

その点で、まずは将来のぴあを担う人財へ育てられているというのが一つ。中長期的な目線でいうと、業界の中に我々の仲間が増えることで、情報交換もしやすくなるし、一緒に業界を盛り上げていける。それはすごく理想的な形だなと思います。

──そして2026年4月からは第6期が始まります。第6期はどのような内容になりそうですか?

内容としては基本的にはこれまでを踏襲するので大きくは変わらない想定ですが、スポーツビジネスに携わりたい人や、携わりたいけど一歩踏み出せない人を受け入れられるようなプログラムにレベルアップしていきたいなと常に考えているので、より現場のリアルが伝えられるような構成にしていく予定です。また、別プログラムではありますが、2025年からFCバルセロナが設立した世界有数のスポーツイノベーション機関・Barça Innovation Hubと契約締結をして、海外の学びの提供も始めました。こちらはぴあSBPの卒業生も対象です。そうやって学びをアップデートし続けられる環境を作っていきたいですし、ここに飛び込んできた方がどんどん成長できるようなプログラムに進化させていきたいと思っています。

(卒業生、登壇講師、運営事務局スタッフらが集うホームカミングデーが定期開催される)

──横展開もスタートされているのですね!一方でぴあSBPの規模を大きくしていきたいという思いもあるのでしょうか?

もちろん大きくはしていきたいですが、一方で「一気に100人来てください」とも思っていなくて。一人一人へのサポートができる規模ではありたい。ただ爆発的に受講者を増やすのではなく、質もしっかりと上げていきたいと現時点では思っています。

──先ほど「スポーツビジネスに関わりたいけど一歩踏み出せないという方も受け入れられるプログラムにしていきたい」とおっしゃっていましたが、そういう方に、坂井さんから伝えたいことはありますか?

踏み出せない理由って「スポーツに関わりたいけど、どんな業界なのかわからない」ということが大きいと思っていて。「スポーツに関わる仕事」と考えて最初に思い浮かぶのはクラブや球団だと思うのですが、それってなかなか募集もないし、出ていたとしても相当の人気で、書類選考の時点で落とされてしまうことがほとんど。だけど実際はスポーツのステークホルダーはたくさんある。このプログラムではまず視野を広げてもらいたいと思っています。我々の関わってきた裏側も含めてお伝えしますので、スポーツ業界というものを知ることで、また考え方が変わると思います。まずはそれを見に来るだけ、見にきてみませんか?受けてみて「思ったものとは違った」と感じてもいいんです。違うということが分かればいいので。

──「知るだけでもいい」と言ってくださると安心して受講できますね。

ぴあSBPが私の学生の頃にあったら、また違ったかもしれないなと思います。こういう選択肢があるということだけでも知ってほしいです。もう一つは、人脈作りになるということ。これは私自身が感じていることですが、人とのつながりがキャリアを広げていく。だから人脈を作るためにもお勧めしたいです。私たちはぴあが持っている人的ネットワークを独占するつもりはまったくなくて。むしろどんどん使ってほしい。ぴあSBPを通して、スポーツ業界の広さと深さを知ってもらえたらうれしいです。実は第5期では元サッカー日本代表の選手も受講してくださったんです。僕たちは競技の面ではサポートできないですが、スポーツ選手のセカンドキャリアやデュアルキャリアのお手伝いはできるので、スポーツ選手の方の受講もお待ちしています。フィールドやピッチにいる選手がプロの選手だとしたら、裏方のスタッフもプロでいなければならない。ぴあSBPはその裏方のプロを育てるプログラムだと考えています。

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
ぴあSBP受講へ、一歩踏み出すチャンスは今です!
4月からスタートする第6期ぴあSBP受講に関する、お申し込み詳細などは以下のリンクからご確認ください!

▶▶ぴあSBPの詳細はコチラ

ぴあSBPを主催し、ここまでその魅力を余すことなく語っていただいた坂井さん。一体、どんなキャリアを歩んできたのでしょうか?本編で語られた横浜F.・マリノスへの出向以外にも、数多くのスポーツ現場を経験されてきました。そんなエピソードの数々が興味深く、学びの深まるものばかりでしたので、スポジョバをご利用いただいている皆さんにもぜひお届けしたい。
ということで、後編を公開予定です!
坂井さんの“スポーツ畑”での歩みを振り返ると共に、スポーツとチケットの関係について、そして坂井さんが考えるスポーツビジネスの本質や未来について語ってもらいます。3月中旬公開予定の後編、乞うご期待ください!

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

設立年月 1974年12月
代表者 坂井 亮太
従業員数 517人 (2025年3月31日現在・連結)
業務内容

音楽・スポーツ・演劇・映画・各種イベント等のチケット販売
コンサートやイベントの企画・制作・運営
興行主催者(スポーツ団体・劇団・放送局など)やホール・劇場・スタジアムなどへの各種ソリューションサービスの提供
オリンピックなどの国際的なイベントのチケッティング業務全般の受託
「ぴあアリーナMM」「豊洲PIT」をはじめとするホール・劇場の企画・運営
エンタテインメント・レジャー領域を中心とした出版物の企画・編集、ネットメディアの配信、スマートフォン向けアプリの運営
会員組織「ぴあ会員」の運営、PIAカードをはじめとする各種サービスの提供
「PFF/ぴあフィルムフェスティバル」「ぴあ総研」などのCSR活動への参画
などエンタテインメント全般に付随する各種事業

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