自転車の魅力を伝える伝道師として―― Y's Roadがライダーとともに広げていく、サイクルカルチャーの可能性

株式会社ワイズロード・イエローハット 副店長 平山 冬芽

自転車の魅力を伝える伝道師として―― Y's Roadがライダーとともに広げていく、サイクルカルチャーの可能性

株式会社ワイズロード・イエローハット 副店長 平山 冬芽

国内最大規模のスポーツバイク専門店として、多くのライダーに親しまれているY's Road(ワイズロード)。自転車愛好家であれば、ほとんどの人がその名前を耳にしたことがあると思います。今回は、自転車業界で広く知られるワイズロードで10年のキャリアを積み、現在は川崎店の副店長を務める平山冬芽さんに、自身の経験を活かせる職場の魅力や、扱う自転車への思いなどについて、じっくりとお話を伺いました。

(取材・執筆:斎藤 僚子、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)

クロスバイクにふと乗ったあの日の、忘れられない感動

高校で本格的に自転車競技を始め、インターハイ出場の経験もある平山さん。自転車にのめり込むきっかけとなったのは、仲間たちと気軽に出かけたサイクリングだったそうです。

「中学二年のとき、友達と『江ノ島までサイクリングに行こう』という話になったんです。当時、住んでいたところから江ノ島まではだいたい120kmくらい。友達が道を間違えたせいで、結局200kmくらい走ることになったんですけど(笑)丸一日かけて、朝5時頃に出発して、帰ってきたのが夜の8時くらいでした。そんな道のりを4人で走ったのですが、そのうち2人はママチャリで、僕はそのママチャリ側だったんです。途中で友達が『クロスバイク、乗ってみる?』と言うので、少しだけ乗らせてもらったんですね。そのときの感動が忘れられなくて……!


 中学生にとって、自分が運転して一番早く移動できる乗り物は自転車ですよね。その自転車が、急に今までの倍くらいのスピードで走れる乗り物になったとしたら、誰もがすごく感動すると思います。ペダルをひと踏みするだけで、今までのママチャリとは進む距離も体感速度も重力も、すべてが違うんです。そこから『自転車ってどんな乗り物なんだろう』と思い、自分で購入して、どんどんのめり込んでいったという感じですね。その後、自転車競技を本格的にやりたいと思いまして、自転車競技部のある高校に入学しました。そして3年間、競技に打ち込みました。」

自身の感動体験を通して自転車に魅了され、すっかり夢中になったと話す平山さん。3年間競技に打ち込むなかで、将来は自転車に関わる仕事がしたいという思いが湧いてきたといいます。そして平山さんにとって、ワイズロードへの就職はまさに“縁”から始まったものでした。

「高校卒業後も競技を続けるという選択肢もあったのですが、3年間で得た知識をすぐに活かせる仕事に就いたほうが将来設計として早いのではないかと考えました。そこで、高校卒業と同時に働ける自転車業界の就職先を探し始めました。当時、高校に自転車系の求人票を出している企業はあまりなく、また募集していてもほとんどがスポーツバイク以外の自転車が中心の店舗で、『自分のやりたいこととはちょっと違うな』と感じていました。そんなとき、就職担当の先生が『ワイズロードに一度聞いてみよう』と、本社に直接電話をしてくれたんです。求人票は出ていなかったのですが、ダメ元で問い合わせてみたら、たまたま電話に出たのが当時の社長で。『ちょうどそういう人材を探していたところなので、ぜひ来てほしい。今から求人票を出します』と言ってくださったんです。それから面接の前に会社見学に行きました。『せっかくだから一度働いてみるかい?』と声をかけていただいて、府中多摩川店で1日だけアルバイトをさせてもらったんです。そのときに『就職するならここで決まりかな』と思いました。


そして忘れもしない高校3年生の11月4日。面接を終えて、早速その日の帰りからアルバイトが始まりました。そのとき店長から『君、正社員採用だってね』と言われまして、『面接の日に合否って出るんだ』と驚きましたね(笑)」

商品の印象を変え、その魅力や価値を伝える仕事

ワイズロードに入社してから約10年、現在の川崎店には7年勤務している平山さん。担当しているブランドでは、平山さんならではの接客でファンを増やしてきました。そんな平山さんに、現在の主な業務内容について伺いました。

「いま私が担当しているのは「ピナレロ」というブランドを扱う売り場で、アジアで最初のピナレロ専門コーナーとして7年前にオープンしました。ピナレロはイタリアを代表するブランドで、デザイン性に優れ、かつレースでも結果を出せる、そんな自転車です。国内では数十年前から扱われていましたが、専門コーナーとして公式に展開している店舗はアジアにはなく、そこで本国の承認を得て、この専門コーナーを作ることになったんです。そこで、せっかくなら若手を起用して勢いをつけようと人事部長が配慮してくれまして、私が担当することになりました。正直、当時はピナレロのことはほとんど知りませんでした。価格も高く重量もあるので、競技部時代の頃は手が届かないイメージがあり、あまり自分が乗るイメージはしていませんでした。でも、実際に乗ってみると本当にいい自転車なんですよね。」

最初は手の届かないイメージがあったピナレロも実際に乗ることで良さに気づけたという平山さん。そのピナレロを売る際のお客さんとの接し方でのこだわりがあるそうです。

「だから、自分の仕事はそういう隠れた魅力を伝えることであって、そしてここはその魅力に触れてこなかった人に『敷居は低いんだ』と知ってもらえる場所かなと思っています。『ピナレロの魅力を伝える伝道師』というか『アンバサダー』というか、そのような役割を担っているのかなと思っています。それから、スポーツバイクにメンテナンスが必要といわれても、初めての人にはわかりにくいですよね。そういうときに、ショップとの関わりが必要になってきます。だからこそ、誰でも気軽に相談できる、敷居の低いお店であり続けたいなとは思っています。」

自信に満ちた表情でそう語る平山さん。続けて「自転車の根本的な魅力」についても、次のように話してくれました。

「そもそも、みなさん昔は誰もが“サイクリスト”だったと思うんです。自分で乗って前に進む楽しさ、あの感覚を思い起こさせてくれるのが自転車であり、その“上位互換”が私たちの扱っているスポーツバイクなんです。
そうした楽しさを与えてくれるうえに、体への負担も少なく健康づくりの近道にもなる。生涯続けられるスポーツでもある。それが自転車の大きな魅力だと思います。そして何より、ピナレロのようなかっこいい自転車なら、部屋に飾って眺めるだけでも満足できますよね。本当に好きな方は、それを酒の肴にして楽しむなんていう方もいらっしゃいますからね。」

「好き」も「得意」も後から見つけていける環境がある

専門店というと、「とにかく全てに詳しくないと働けないのでは」と不安に感じる人もいるかもしれません。しかしワイズロードには、これから自分の強みを見つけたり、新しいことに挑戦できたりする環境があるといいます。

「総合店なので、例えば『この分野に興味があるのでやってみたいです』と申し出れば、やらせてもらえるんですね。私も最初はまずは品出しから始めて、そこで商品を覚えていきました。品出しの途中で『このパーツは何だろう?』と分からないものも出てくるんです。そのたびに先輩に教えてもらいながら少しずつ覚えていったんですね。
それから次に担当したのは完成車の販売でした。今度はブランドごとの特徴を覚える必要があり、それらを比較していくと『このブランドはよりこの部分が優れている』とか『こちらはコスパがいい』といった違いを覚えていくことができます。さらにその後は、よりメカニック寄りの知識を深めたいと思い、修理やカスタマイズの担当にも挑戦しました。これらの経験を、最初の三年間に勤めていた府中多摩川店でしっかり積ませていただいたからこそ、今ここでピナレロコーナーも任せてもらえているのかなと思います。
だから、今は特別な“好き”や“得意”がなくても、後から見つけられる環境がここにはあると思います。それはこの会社の大きな魅力のひとつですね。お給料をいただきながら言うのは少し恐縮ですが、本当に学ぶ環境としてはここ以上の場所はないと思っています。お客さんの数も多いし、その分覚えておかないといけないことも多い。そのおかげでより確かな『人財』になっていけるのかなと思います。」

ワイズロードでは、こうして身につけた知識や自転車への熱い思いを、各店舗のスタッフが毎日ブログで発信しています。ひとつの記事を読んでいると、数分後には別の店舗の投稿が上がってくるほどの高い更新頻度です。ひとりひとりが広報の役割も担う、その仕組みもまた、ワイズロードならではの大きな特徴であり強みだといいます。

「私自身もそうですが、『好きこそものの上手なれ』でこの仕事に就いているスタッフは本当に多いんです。だからこそ、自分の好きなものを誰かに伝えたいという熱を持ったスタッフが、至る所にいるんですよね。
例えば、この店舗には『折り畳み自転車に精通したスタッフ』や、『自転車専用アパレルの知識が豊富なスタッフ』がいます。それぞれが、自分の持っている知識をもっと多くの人に伝えたい、その魅力を商売にも活かしたいという思いを持っている。そんな心意気のある人たちがたくさんいるからこそ、毎日のようにそういう記事が上がるんじゃないかなと思います。あとは『検索上位に上がりやすい記事を作るにはどうしたらいいか』という点から、さまざまな指示や枠組みもある程度決まっていたりします。うちには『通販部 ワイズロードオンライン』というものがあるので、商品と紐づけたブログも意識したりしています。まぁ、『スペシャリスト集団』と言えば、かっこいいですけど、『オタクの集団』とも言うかもしれないですね(笑)」

これまで続けてきたスポーツの体力を仕事で活かす

お話を伺い、これほど熱く語れるものを持っているのは本当に素晴らしいことだと感じました。平山さんは、今後もワイズロードで培った知識や自分らしい接客を活かしながら、お客さんにより寄り添った対応をしていきたいと考えているそうです。

「私は『人より仕事が遅い』と上司から言われることもあったんですね。というのは、相手に伝えることに熱心になってしまい、説明を噛み砕いて理解してもらってから次に進むことを大切にしていたので、時間がかかって効率的ではなかったんです。
ところが、販売担当としてお客さんに寄り添う形で経験を積むうちに、うまく話せるようになって、お客さんの反応が180度変わり『平山さんから買ってよかった』と戻ってきてくれる方が増えました。
それから、自分自身が自転車競技部出身ということもあり、高校生や大学生で自転車競技をしている子たちをできるだけサポートしてあげたいと思っています。実技的なことや知識を教えたり、ちょっとしたサービスや自転車を安全に楽しめるように手助けしたり。規則ではなく、人としての優しさをもって接することを意識しています。そうした子たちも、社会人になってから『昔お世話になったから』と戻ってきてくれることが多く、新しい自転車を買ってくれたりもします。こうした経験ができることこそ、お店で働く大きな魅力だと感じています。」

平山さんのファンになってお客さんが戻ってくるということは、単なる接客以上のものがあると感じさせられます。ワイズロードでは今後、競技を引退した方の受け入れ先としての方針などもあるそうです。平山さんはご自身の経験から、ワイズロードはそんなスポーツに打ち込んできた人が培った「体力」を存分に活かせる職場だと話します。

「スポーツをやってきた人というのは、きっと人一倍努力してきていると思います。そういう人なら、この職場でも人一倍活躍できるはずです。これはスポーツ業界全般に言えることですが、自分の好きなスポーツをそのまま仕事にできる場所は意外と少ないのではないでしょうか。


私はもう競技としての自転車は完全にやめていて、今は『ファンライド』といって、人と競わないサイクリングを楽しんでいます。しかし、ある程度走れる人であれば、いくつかの店舗には『サンデーライド』というお客さんと一緒に走れる場もあり、そうしたところでも活躍できると思います。
スポーツを続けてきた人は、努力の仕方を知っていて、他人よりも頑張れる。初めてのことがあってもへこたれないでしょうし、何より基礎体力があります。それは、単に長く起きていられるということではなく、考え続ける力や、何かをやり続けられるバイタリティも備えているということだと思います。最初は誰もが初心者ですが、後から知識を身につけて売上を作れる人にもなれると思います。スポーツ経験者は、そうした力を持っていて、そういう人たちがこの業界に来てくれるのは、まさに願ったり叶ったりです。その体力を是非ここで活かしてもらえたらいいなと、すごく思いますね。」

▼求人を見る▼

【PROFILE】
平山 冬芽(ひらやま とうが)
ワイズロード川崎店副店長
かつては月間2,000km近く走っていたが、最近は少しペースを抑えめに、景色を楽しむ「ファンライド」や、お客さんに教えてもらったというおしゃれなカフェを目的に走る「カフェライド」など、さまざまなスタイルで自転車を楽しんでいる。プライベートでは一児のパパ。

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

設立年月 1898年01月
代表者 田中正信
従業員数 250名(2023年3月1日現在)
業務内容

・スポーツサイクル、自転車部品、用品の国内販売
・オリジナル商品の企画、製造、販売、
・オーダー車の製作
・スポーツサイクルのメインテナンス、チューンナップ
・スポーツサイクルに関するスクール、セミナーの開催

友達追加するとあなたに合ったスポーツ業界情報をおしらせできます

友達追加する!

スポーツ業界の求⼈を探す


スポーツ業界の求⼈を探す

スポジョバについてもっと知る気軽にスポーツ業界の情報を知る

スポジョバ 公式SNS

フォローすればスポーツ業界の情報感度が上がる!