「子ども達に体を動かすことの楽しさを伝える」ことを第一に、幼児から小学生を対象とした体育指導を行う株式会社T.A.C。現在、埼玉県川口市を拠点に「コンフィアンサスポーツクラブ」として、保育園や幼稚園で正課の体育指導やサッカースクール、少人数制を導入した体操教室を運営しています。子ども達と向き合い、体や心の成長を親身になって応援することができるインストラクターの大きなやりがいについて、代表の武笠翼さんにお話を伺いました。
(取材・執筆:斎藤 僚子、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)
幼少期からサッカーを始め、プロチームのジュニアユースも経験された武笠さん。現在もトレイルランの大会に出場されるなど、豊富なスポーツ経験をお持ちです。
「僕はサッカーを幼稚園の頃に始めて、父親はサッカーのコーチをしていました。自分から進んでサッカーをやりたいと思ったというよりは『翼』という僕の名前からもわかるように父親が『キャプテン翼』世代でして(笑)。中学生の時に、プロチームのジュニアユースに入りました。その後も高校、大学とスポーツ推薦で進学したのですが、怪我をしてしまい大学でやめてしまいました。」
元々独立したいという思いが強かったそうですが、前職やご自身の経験を経て現在のスポーツ事業を始めたきっかけを次のように語ります。
「大学を卒業してからは、やりたいことが見つからず、就職はしなかったのですが、1年ほど経った頃今までを振り返り『自分には何ができるかな?』と考えたときに、スポーツならできるじゃないかと。スポーツも子どもも好きでしたので、最初にサッカースクールのコーチを2年間務めました。その後、これからのことを見据え、サッカーだけではなく幼児体育を教える会社に移りました。
独立した当初はサッカースクールだけだったのですが、まずは子ども達に体を動かすことの楽しさを感じてもらいたいと思いました。さらに体操なら多くの子ども達に通ってもらえるのではと考え、体操教室も展開していくことにしました。」
ご自身が豊富なスポーツ経験をお持ちだからこそ、自分たちが子どもの頃に比べると、現代の子ども達は環境問題や生活の変化などで運動をする機会が減っていると感じている武笠さん。ご自身の事業の重要性について次のように語ります。
「そもそも我々が幼いときみたいに、公園などで遊ぶ環境が十分にあるのならこの事業は成り立たないと思っています。公園自体少なくなっているということもありますが、昔は公園でジャングルジムに登ったり鉄棒をしたりしましたよね。今は公園に行ってゲームをしている子どもがいるぐらい運動から離れてしまっていますから。機会を設けないと積極的に体を動かさない時代になってきているからこそ、今僕らがやっている事業に重要性を感じています。」
子ども達にはさまざまな可能性があるからこそ、武笠さんの中でまずは「子ども達のスポーツの入り口を担う」という理念を大切にしているといいます。
「体操の中にある動きは、全スポーツに通じるものがあると思います。専門的なスポーツを始める前に、体の動かし方などを習いたいという保護者も結構いらっしゃるので、そういった声に応えているという面もありますね。
コンフィアンサでまずはマット運動や跳び箱など、土台を作りながら体を動かす楽しさを知って『サッカーをやってみようかな』『バスケットをやってみようかな』というように、うちが他のスポーツへの入り口になればいいなと思っています。」
スポーツへの入り口を目指すコンフィアンサスポーツクラブではインストラクターが「体操の先生」となって保育園や幼稚園に出向き、教育的な面で運動指導にもあたっています。契約している園の数は現在なんと80を超え、幼児体育のニーズの高さを感じているといいます。
「弊社のインストラクターは、主に午前中は契約をしている保育園や幼稚園に出向いて幼児体育の指導にあたり、午後はそれぞれの担当の教室で体操を教えています。
園での指導は、1年をかけて同じ先生が子ども達を見るようにしています。1年の最後に体操発表会を設けていて、10月から3月まではそこに向けて頑張っていくことになります。だからこそ、インストラクターの『1年を通してやり切った』という感覚はものすごく大きいと思います。
交代制で年に数回しか園に行けないというよりも、一貫して教えることで子ども達の成長を見られるというのは、インストラクターにとって大きなやりがいとなっていると思います。また子ども達も園も毎回同じ先生が来てくれることに安心を感じてくれていると思います。」
幼児体育の指導と少人数制を導入した体操教室の指導は、運動の楽しさを伝えるやりがいを感じられると同時に簡単なことばかりではないという武笠さん。ただでさえ集中力が切れやすい子ども達。「楽しませながら伝える」ということは特に難しい点だといいます。
「子どもは素直なので意思をダイレクトに伝えてきます。ただ単に『でんぐりがえしをしてー』と言って教えるのではなく『〇〇をやっつけにいくぞー!』というようにストーリーをつけて教えるなど、会社の中には子ども達に向けた指導指針があります。
難しい点のひとつに、一生懸命教えようとしてつい子ども達への説明が長くなってしまうことがあります。そうすると子ども達は飽きてしまって、注意しなくてはいけなくなって…と悪循環になってしまいます。大人と違って我慢ができませんから、そういった部分は大変ですね。」
法人相手でもある「幼児体育」の指導者は、「体操指導者=教育者」にならないといけないと考えている武笠さん。武笠さん自身、サッカーのコーチから幼児体育の会社に転職されたときは、子ども達への接し方に教育的な面で大きな違いを感じたそうです。
「サッカースクールのコーチをしていたときは、どちらかというと『サッカーのお兄さん』というような感じだったのですが、幼児体育は子ども達に合わせた態度で接しなければならず、スポーツ経験者としてよりも保育士的な要素が大いにあると感じました。なんというか…子ども達に、よりコミカルに表現しなければならないので、インストラクター自身に最初は恥ずかしさが出てしまうこともあると思います。ですが、子どもの前でやってみるとすごく楽しそうな反応をしてくれるので、嬉しくなったり。ですから実際にどんどん表現していくことが大事だと思います。その壁を思い切って越えてしまえばますます楽しくなる職場なのではないかと思います。」
今回の募集にあたり、子どもが好き、スポーツが好き、元気でコミュニケーションを取るのが好き、という人に来ていただきたいという武笠さん。
現在のスタッフは、新卒のスタッフをはじめ、異なる業種から入って来られたスタッフも多くいるそうです。子どもの安全面を第一に、補助の方法や子どもへの言葉遣いなど、しっかりと研修を積みながらインストラクターを目指せる体制を整えています。
「1年目は、まずはこなすことに必死で、楽しくも大変なことも多いかもしれません。しかし2年3年と経験を積むことで子ども達の声にもしっかりとアンサーをだせるようになってくると思います。入社後は技術的な面だけでなく、子ども達の年齢に応じた言葉がけや言葉遣いなどもしっかりと研修を行います。また『幼児体育者検定』という資格を社員全員に取得してもらっており、そのサポートもしているので未経験の方でも安心して来ていただけたら嬉しいです。」
コンフィアンサスポーツクラブでは、これからも競技性だけではないスポーツの楽しさを子ども達に伝えていきたいといいます。
「僕はスポーツの中には、”競技としてのスポーツ”と”楽しむスポーツ”があると思っています。やっぱりこれからも『楽しむスポーツ』を提供したい、広げていきたいという考えがあります。
ある日、僕がコンフィアンサの現場でサッカーを教えていた時に『一番最初にサッカーをやらせるならコンフィアンサだよね!』と保護者から言ってもらえたことがあったんです。その言葉が僕の中で、ものすごく腑に落ちた感覚があったというか。『そうか、一番初めにあるべきスポーツってすごくいいな』と思ったんです。まずはサッカーに対して単純に『楽しい』や『好き』を感じて始めてくれた子ども達は、そのあと競技としての捉え方が変わってもきっと活躍できるだろうな、と思いました。」
運動は得意な子どもだったという武笠さんですが、スポーツに対してネガティブな感情を持っていたこともあったといいます。
「僕は運動が得意な方ではあったのですが、実はスポーツはどちらかというと嫌いだったんです。朝練などもしっかりあったし、スポーツをやらされているという感覚があったということもあって…現在はそれに助けられていますが、10年以上やってきた今、当初と比べて一番変わったところは、運動が苦手な子ども達に向けてもサッカーや体操を提供していきたいと思っているところです。楽しく運動できる環境があるということが大事だと思っています。
さらに、『コンフィアンサ』には『自信』という意味があります。僕の中では『自信を持つ』ということが一番大事だと思っているので、『上手にできたね!』『素敵だね!』といった私たちの言葉がけや指導を通して、子ども達が自信をつけてくれたらいいなと思っていますね。」
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【PROFILE】
武笠 翼(むかさ つばさ)
幼少期からサッカーを経験するなど、豊富なスポーツ経験を活かしてコンフィアンサスポーツクラブを設立。子ども達のスポーツの入り口となるべく、幼児体育指導と少人数制の体操教室で子ども達の笑顔と元気を引き出す活動をしている。
設立年月 | 2012年04月 | |
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代表者 | 武笠 翼 | |
従業員数 | 21名(アルバイト4名含む) | |
業務内容 | ・子どもの健全育成を図る活動(保育園・幼稚園の健康領域に関する教育運動指導)
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