「フィットネス=人生そのもの」。トレーナーの第一人者・齊藤邦秀、「スポーツ業界への関わり方は無限大」

スポジョバ編集長 久下真以子

「フィットネス=人生そのもの」。トレーナーの第一人者・齊藤邦秀、「スポーツ業界への関わり方は無限大」

スポジョバ編集長 久下真以子

空前のフィットネスブーム!

健康やダイエットのためにジムに通う人口が増える中、「スポーツトレーナー」の需要も高まりを見せています。そんなスポーツトレーナーの第一人者が、齊藤邦秀さん(47歳)。アスリートや一般の人々を幅広く指導するだけでなく、全国各地のトレーナーの育成にも力を注いでいます。

この仕事に就いたきっかけや、フィットネス業界のあるべき姿やさまざまな関わり方、今後のビジョンについてインタビューしました。


スポーツトレーナーは「職人の世界」。業界の今と昔


ーー齊藤さんは東京学芸大学在学中にトレーナーについて学び、大学卒業後の1998年、スポーツトレーナーとして本格的に活動をはじめました。

「当時、大リーグ挑戦をしていた野茂英雄さんをサポートする会社(株式会社ストロングス)に就職しました。野茂さん以外にも様々なスポーツのトップアスリートと契約をしている会社だったので、その時所属していたトレーナー達は(私も含め)、日本だけでなく海外での試合やキャンプ等々のサポートで飛び回っていましたね」

ーー当時の仕事について、どんな印象を受けましたか。

「職人の世界でした。職人といえば”石の上にも3年”というイメージがありますが、仕事をする上での心構えや意気込みが強く必要とされていた。その上で、目標を達成するための行動計画の落とし込みがすごかったですね。勉強も実技も含め、毎月必ず計画を立てて実行し続けた6年間でしたね。今でこそそうしたステップを踏むところも増えていますが、それを90年代にすでにやっていたんです」

ーー時代に先駆けていたんですね。行動計画以外に学んだ部分はありますか。

「自分にプレッシャーをかけて成長していくところですかね。いい意味でほらを吹いて、”俺はこれだけできるんだぜ”って言え、でもやれないんだったら陰でやれ。陰で自分を高めろ、みたいなことはよく言われましたね。うそを言うんだったら現実にしろということです。人前での立ち方とかふるまい方はそこでかなり仕込まれました」





”アスリート指導”から”フィットネスへ”。時代の先を読んだ決断とは


ーーその後32歳で独立し、アスリート指導から一般の方向けのフィットネスへと舵を切ります。どんなきっかけがあったのでしょうか。

「もちろんその会社で得るものも大きく、トップアスリートや芸能関係も担当出来てブランドもありました。でももっと高齢社会になってくるし、一般の方々が体作りやいろんなことをやる時代が間違いなく来ると確信していたんです。というのも会社にいる6年間の後半は一般の方向けのトレーニングの提供やフィットネスクラブへの指導をやりはじめていて、手ごたえを感じた。だから飛び出すことに決めたんです」

ーー実際フィットネスの世界に飛び込んでみて、いかがでしたか。

「想像以上に一般の方々からの需要があるなということでした。膝や肩、腰の痛みに関して、病院での治療や治療院での施術しか考えていなかった人が多くて、自分自身で体を整えるということを全く知らない人たちが多かったんです。これはもっともっとやれるな、と当時思いましたね」

ーー今でこそフィットネスに取り組む人が増えましたよね。

「フィットネス業界がトレーニングに関してしっかりと考えるようになったのは、多分2000年の中盤くらい。パーソナルトレーナーをおそらくたくさん配置するようになったことですね。それまでのフィットネス業界のオペレーションというのは、月会費をお客様からもらって、ジムを使ってください、プールで泳いでください、スタジオでレッスンしてくださいという感じでした。でもパーソナルトレーニングは月会費の中だけだとやれないような価値の高いものを提供していく。それができるようになったからこそ、フィットネス業界が膨らんできたんだと思います。ヨガやピラティスが普及してきたのもその頃です」





フィットネス=「フィットさせる」。相手を知ることの大切さ


ーー齊藤さんの考えるフィットネスとはどんなものですか。

「人生をより楽しむために、まずは体を整えることがベース。そのベースを整えた上で鍛えていきましょうというのが私の指導です。フィットネスって本当はその人の生き方とか色々含めてその人に”フィットする”体を作るというイメージなんです」

ーーだから”フィットネス”っていうんですね!

「運動と食事と、ストレスマネジメントの睡眠も含めて、そこの優先順位って人それぞれ違うんですよ。面白いなと思うのは、人って生きていくために食べなくてはいけないし、寝なくてはいけないけど、運動しなくても生きていける。だから必ずしも運動が一番ではないと思っています。その人の今の生活状況や過去の運動歴、取り巻く環境や趣味嗜好の中から優先順位をつけるとたぶんこうですよ、っていうことをちゃんと言ってくれるトレーナーはまだ少ない。そういう”ライフスタイルコーチング”を僕はやろうとしています」

ーー運動ばかり目が行ってしまって、私も睡眠が不規則だったりします。

「食事で言うと、どうしてもみなさん甘くなってついつい夜中にご飯を食べてしまったりとか、健康に悪そうなものをおいしいからって食べてしまったりしますよね。まずはそこを直していく、そこをコーディネートできるのがフィットネストレーナーの仕事だと思います」

ーーフィットネス指導をするためには、その人の生き方やライフスタイルを知ることも大事なのですね。

「世間話や雑談、悩み、全部聞いています。いろんな人たちの価値観を知るのも大事。だから同じ業界よりも他業種の集まる飲み会によく行っています。人脈もできるし、そこから仕事につながる場合もありますしね。次女の通っている小学校には、父親たちが集まる”おやじの会”というのがあって、みんなで夏祭りを作るのに参加しました。”こんな人たちがいるんだ””こんな考え方があるんだ”というのに触れる瞬間がいいんです」





関わり方は無限大。1つの概念に縛られない


ーーフィットネス業界に来てよかったなと思うことはありますか。

「毎日ですね。自分の好きなことでお金をいただけるのがまず1番。そして関わった人たちがいろんなシーンで幸せになれるというのはやりがいがありますよね。自分のプログラムを受けてくれた人たちがどんどん体が変わっていったり、指導したスポーツ選手や学生たちが成績を残したり。それの繰り返しです」

ーーこれからフィットネス業界に携わりたいと思っている人たちは、どんな勉強をしたり、マインドを持っていたらいいのでしょうか。

「とはいえ、一口にフィットネスと言ってもいろいろな働き方があるので、それを見てほしいなと思いますね。現場での指導のイメージが強いし、僕自身も今でもやってはいますが、それはベースであって終わりじゃない。そこで培ったものを1対1の指導だけじゃなくてマスで何ができるかということですね。その視野が少ないと、何年か店舗で働いて辞めたり、独立してパーソナルジムを持つという方向ばかりに流れていく気がします。それはもったいない。例えば今、東急スポーツオアシスが”WEBGYM(ウエブジム)”というのをやっていますよね」

ーー家でできるものですよね。

「そうです。無料会員に加え、課金すればWeb上でパーソナルトレーナーが教えてくれるわけです。そういう仕組みそのものを作ることもフィットネス業界の仕事ですよね。他の業界で培ったスキルを活かせる、ということです。自分は最近IoT業界に関わって、自分の知見を活かしています」

ーーフィットネス業界に挑戦したくても、”もう遅いだろうか”と思う人も多いと思います。

「そう思います?でも全然遅くないですよ。むしろ他の業界でいろんな経験、スキルや人脈があれば、フィットネス業界に活かせるし、逆にフィットネスをもともといた業界に引っ張ってきてジョイントでなにかやるということもできるでしょうし。関わり方は無限大です。”この業界にいたらこの業界だけ”とか、”この会社に入ったらこの会社だけ”という概念が、まだまだ日本は強いような気がします」

ーー今後の齊藤さんのビジョンを聞かせてください。

「もう少し、対法人の仕事で自分の知見を入れられるところを増やしていきたいことと、ライフスタイルのマネジメントの”コミュニティ化”。オンラインとオフラインのコミュニティをそれぞれ作って会員制度にしようと思っていて、これはもうすぐ始めようとしています。あとは学校での取り組み。体のことを子どもたちはあまりにも先生たちから教えられないと感じているので、教育委員会なども関わながら、部活やダイエットも含めて食事から指導していきたいと思っています」




【PROFILE】

齊藤邦秀(さいとう・くにひで)

1972年、山形県生まれ。有限会社Wellness Sports代表。NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会) JAPANエグゼクティブオペレーショナルチーフ。東京学芸大学教育学部生涯スポーツ専攻運動処方専修卒業。学生時代からスポーツトレーナーとしての活動を始め、卒業後に本格的にトレーナーの道に進んだ。2004年に32歳で独立し、Wellness Sportsを設立。現在は、運動・栄養・ストレスマネジメントを統合させた「ライフスタイルコーチング」を提唱し、個人へのトレーニング指導だけでなく、医師や理学療法と連携したメディカルフィットネスプログラムの開発、企業の健康経営のサポート、行政・学校での講演、トレーナー育成、メディア出演などさまざまな活動を行っている。

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