みなさんは、「HADO(ハドー)」って聞いたことがありますか?頭と腕に装具をつけて行うゲーム感覚のARスポーツです。今、このHADOを体育の授業に取り入れてはどうか?という取り組みが広がっています。そもそも体育とスポーツの違いとは?子どもたちの反応は?授業に取り入れるための課題は?世田谷区の小学校で行われた体験会に、スポジョバ編集部が行ってきました。
(取材:構成=元スポジョバ編集部 久下真以子)
HADOは”スポーツ”なの?
HADOは、頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にはアームセンサーを装着し、3人1組になって対戦するゲーム感覚のスポーツです。ゲームが始まるとそれぞれのプレイヤーの体の前に”ライフ”と呼ばれるものが出現し、”エナジーボール”を投げることで相手チームのライフを破壊したり、”バリア”を作ることで相手の攻撃を防ぐことができます。
制限時間内により多くの得点を稼いだチームの勝利。これ、結構体を動かすんです!(実際体験した編集長は、逃げようとして足をつまずきました…)
先月下旬、このHADOを使った教育関係者向けの公開授業が、東京学芸大学附属世田谷小学校(東京・世田谷区)で行われました。
メリットしてあげられるのは、「運動の得意・不得意や年齢、体力差、障害の有無などに左右されずにプレーができること」と「”体を動かすこと”だけではなく、”プレーを楽しむ喜び”を得られること」。懸念材料として挙げられたのは、「あくまでゲームであり、スポーツではない。体が侵食されていくのではないか?」という声でした。
しかし、公開授業に先立って講演した東京学芸大学の松田恵示副学長は、「野球やサッカーも道具を使うし、障害者スポーツにおいても車いすに乗ることで障害者も健常者も同じようにプレーができる。道具を使う、という点ではみんな同じ。体が侵食されていくのか、それとも道具を使って拡大していくのか、考え方1つの問題だ」と新しい視点を投げかけました。
また、現在の学習指導要領に「体力や技能の程度、年齢や性別及び障害の有無等にかかわらず、運動やスポーツの楽しみ方を共有できるよう配慮」と書かれているにもかかわらず、評価基準が今でも体力や技能に偏っていることなどを指摘しました。
実際に子どもたちによる実践開始。「HADOだったら、下級生が上級生に勝てるのか?」というテーマから、集められたのは4年生と6年生。
はじめこそ苦戦していたものの、後半には4年生の劇的勝利が何度もありました!
印象的だったのは、担任の先生が子どもたちにそれぞれのゲーム前後に声をかけていた場面。「どんな作戦で行くの?」「よくやったな!」。放置するでもなく、押し付けるでもなく、しっかり1人1人を見ながら考えさせていく。回を追うごとに試合運びやスペースの使い方などの作戦が奥深くなるだけでなく、接戦になるとクラスが一丸となって応援が盛り上がる瞬間も目の当たりにしました。
6年生に勝利したたいせい君(4年)は「防御2人・攻撃1人の”守備型の作戦”にして、3人がうまく協力し合えたことで勝ちました。エナジーボールを投げる腕の振りはスポーツ。バリアを張るときはまるでゲーム。HADOが体育の授業にあったらいいな」。他のクラスメイト達も「運動は苦手だったけれど、これならみんなで楽しめるし大丈夫!」と大満足でした。
公開授業を終えて、私たち参加者が感じたこと。
それは、子どもたちにとって「体だけでなく、頭も使うこと」「チームプレーの素晴らしさを学べること」でした。
同時に、教育者にとっては「授業に取り入れる資金があるのか」「通知表の評価はどうするのか」などの疑念が浮かびます。
しかし私たちのそんな質問に、先生たちは「そもそも”評価をしなければいけない”というのが、私たちの既存の意識なのかもしれない。物差しにとらわれず、子どもたちが素晴らしい体験を通して成長していくこと。それこそが、私たちの役目だと思っています」と答えてくれました。
社会で生きていくうえで、教科書よりも、通知表よりも大切なことがある。
私たち大人が、今一度立ち止まって考えるべきなのかもしれません。
設立年月 | 2014年01月 | |
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代表者 | 福田 浩士 | |
従業員数 | 40名 | |
業務内容 | ◎ウエアラブルデバイスとAR技術で実現するテクノスポーツHADOの開発および運営
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