「好きなことを仕事にすると、嫌いになる?」よく聞くこの疑問に対し、株式会社イースリーの代表取締役社長・小野寺徹也さんは1つの答えを出した。
「好きなことでも、思いを実現できないと“嫌い”に近づいてしまうのではないでしょうか。だから「好きなこと」と「主体的に動けること」、この2つがセットであることが大事だと思うんです」
数あるスポーツ系の会社のなかで、イースリーはサッカー選手・保護者・コーチ向けのメディアを運営している。自社メディアの広告営業で扱うのは無形商材。入社4年目の福澤宏亮さんも、企画から納品まで“一気通貫”で行い、自分の考えを実現できる環境があると話す。だからこそ求められるのは、相手の課題を解決するアイデアだ。
「自分の思うようなサービスを、形にしやすい環境だと思います」
好きなことを、好きなまま仕事に。目に見えない“思い”をくみ取っていくイースリーの仕事内容とは。そして彼らが目指す「スポーツ価値創造カンパニー」とは。お二人に話を聞いた。
(取材・執筆:伊藤 千梅、編集:伊藤 知裕)
――本日はよろしくお願いいたします!始めに、会社設立の背景を小野寺さんに伺ってもよいでしょうか。
小野寺:前職がIT系だったので、その強みを活かしてサッカー界に貢献したいという思いがありました。2003年に会社を設立したときはまだインターネットが普及していない時代でしたが、ネット上でのフットサル大会のマッチメイクや参加申し込みなどを先駆けて行っていました。
当時はフットサルに携わっていましたが、サッカーメディア事業を15年前くらいに始めて、今はほとんどサッカーです。僕自身サッカーがずっと好きで、今も毎週やっています。
――ITでサッカーに貢献したいという思いで始まったのですね。福澤さんは入社4年目だそうですが、どういったきっかけで入社したのですか?
福澤:元々私は、人生で1番大切な“職”をサポートできる仕事がしたいと思い、新卒から4年半人材業界で求人広告の営業をしていました。
でも、続ける中で「もっと自分が興味のある業界に行きたいな」と思って、スポーツのマネジメント会社を経て、イースリーに入社したんです。
実は、当時働いていたマネジメント会社が人材紹介もやっていて。そこに求人を載せていたのがイースリーでした。そのときに「紹介するより自分が入社したい」と思ったのがきっかけです。
――イースリーのどんなところに惹かれましたか?
福澤:直感で「とにかく面白そう」と思いました。色々と挑戦できそうだなと感じたのが大きいです。
あとは自分の経験も活かせて、かつ仕事の幅も広がるかなと思いました。求人広告の営業だと「求人」だけなんですけど、広告にも色々種類があります。自分の興味のある業界で多様な広告を扱えるのはいいなと思いましたね。
――働いている人たちはどういう人が多いですか?
小野寺:うちは採用基準を3つ挙げています。1つは、知的好奇心が強い人。2つ目は、チャレンジ精神が旺盛な人。3つ目が精神的にタフな人。これらを掲げていて、新しく入る人には色んな問いかけをしてチェックしています。
でも最近は、社歴が長い人が多くなってきていますね。10数年選手が半分ぐらいかな。
――10年以上の方が半分近くいるのはすごいですね……!
小野寺:居心地がいいんじゃないですかね。好きなことでお客さんから喜ばれていることが1番だと思いますし。できるだけ社員の理想を叶えられるような環境を用意したいなとは思っていますね。
福澤:営業には自分ともう一人、カラッとした関西の人もいるのですが、その人も10年選手です。
自分の持ち込み企画をイースリーに売り込んだのをきっかけに「活躍できる場がありそうだ」と感じて入社したそうです。「数字さえあげればやりたいことができる部分を気に入っている」という話は前にしていました。
――福澤さんは今、主に媒体の広告の営業をされているのですよね。
福澤:メインはそうですね。うちの会社ではサッカー少年少女、保護者向けのメディア「サカイク」や、部活応援メディア「ヤンサカ」など、幅広くウェブメディアを運営していて、その広告の営業をしています。
他にもイベントのご提案やサンプリングも行っていて、広く言うと「企業様のマーケティングのプロモーション領域」を担当しています。
――実際にどういう流れで仕事を行うのでしょうか?
福澤:まずはクライアントとお話をして、何のブランドをどんな層に対してリーチしていきたいかを聞きます。ターゲット層にアプローチする上で感じている「課題感」を聞きながら、「こういう風に訴求していきたい」というクライアントの要望を形にして提案します。
例えば、大塚製薬さんの「ポカリスエットをプロモーションしたい」という案件です。その時は、強豪校のホペイロとしてチームを支える用具係として密着をして「頑張る学生のそばにポカリスエット」というテーマでブランディングムービーを作り『ヤンサカ』で配信しました。
他にもスポーツメーカーだと「スパイクを選手に履いてもらって、プレーする動画を作って配信しましょう」といった話もあります。クライアントの課題と、実現したい方向性、訴求内容を聞いて、それをコンテンツに落としこんで提案していく感じですね。
――企画から提案まで、福澤さんが全部されるのですか?
福澤:基本的には全部「一気通貫」でやります。もちろんわからないところは社内で助け合い、ブレストの時間を設けてアドバイスやアイデアをもらいますが、最終的にそれを形にして提案するのは営業がやりますね。
なので、無形商材だからこそ、クライアントと話をしながら課題に合わせてクイックに動くこともできるし、自分の提案したいサービスにしやすいのはあるとは思います。
――かなり柔軟に対応することができるのですね!
福澤:そうですね。この規模感だからなのかなという風にも思っていて。大手だと、間にいろんな人が関わってくるので、完成したときに「こんなはずじゃなかったな」みたいなこともあると思います。
自分の仕事の範囲以上に何かをやりたい場合、半年くらいかけて役員まで話をして、事業責任者にならないとサービスを作れない。でもうちは、基本的に小野寺と話をして「やろう」となったら実行していけるのはいいですね。
――仕事をしていて、楽しいなと思う瞬間はどんなときでしょうか。
福澤:色々ありますが、やっぱり興味のある「サッカー」という分野で仕事ができているところは、楽しさの1つかなとは思います。
人材業界ではよく「『名詞』じゃなくて『動詞』で仕事を選べ」ということを言うと思うんですよ。例えば「服」が好きだから「アパレル業界」ではなく、「接客」が好きだからアパレルの「販売員」になるといった感じで。
でも僕は「名詞」も大切だと思っていて。あくまで僕自身の感覚では、売る対象に興味が沸かないと、馬力が出ないんです。だから、自分の興味のある名詞である「サッカー業界」でやれているのは、すごくいいと思っています。
――好きなことを仕事にしていくことにはさまざまな意見があると思いますが、長年サッカー業界で働いてきた小野寺さんはどのようなお考えですか?
小野寺:もう20年もやっていると、逆にそうじゃない想像がつきにくいですけど。僕はきっとサッカー業界じゃないと仕事ができないですね。
元々ITの会社で営業部長をやっていたので、会社を設立した頃は「なんでサッカーにくるの?絶対ITのほうが儲かるよ」と周りから言われたんですよ。
でも興味がないと熱心に仕事をできないですし、好きじゃないと辛いことがあったときに乗り越えられないというのが実感です。
――例えば「サッカーを仕事にしたら嫌いになっちゃうかも」と思う人に向けて、伝えたいことはありますか?
小野寺:スポーツ界だと、外から見て華やかな世界に見える分、ギャップがあるのかもしれません。そのため、待遇も含めてしんどさを感じて辞めていく人が多いのは、事実ではあると思います。
好きなことでも、思いを実現できないと“嫌い”に近づいてしまうのではないでしょうか。だから「好きなこと」と「主体的に動けること」、この2つがセットであることが大事だと思うんです。
――確かに。好きなことがなぜ嫌いになるのかを考えたら、そういった側面はありそうですね。
小野寺:好きなのに義務感が出てきたり、自由に動けないから嫌になるんですよ。気持ちとミスマッチが起こるんでしょうね。だからうちでは、好きなことだからこそ主体的に動いてもらいたいなという風には考えています。
結局、何をやってもしんどいことはありますから。それなら好きなことをやっていた方がいいですし、「お客さんから感謝されること」をやっていれば、辛いことも乗り切れるんじゃないかなという気はします。
――それでは最後に、今後、福澤さんがこの会社でやりたいことを教えてください。
福澤:個人としては、営業なのでまずは数字を上げたいです。利益を運ぶことによって会社が新しいことにチャレンジしやすくなると思うので、そういった活発な空気感を作りたいですね。
あと自分は動画のクリエイティブがすごく好きなので、その知識を会社のみんなに共有、還元して、会社全体のシナジーを生むような何かを作りたいです。それで会社の事業を加速させたいなと思っています。
社内的には、コミュニケーションの活性化みたいなところはやりたいですね。社員が何百人、何千人といるわけではないので、もっと各部門間で連携させて、みんながより一層生き生き楽しくやっていければいいかなと思っています。
――福澤さん、ありがとうございます。小野寺さんは、代表取締役社長のお立場から、どういう会社にしていきたいですか?
小野寺:イースリーは20期を超えました。30期に向けては「スポーツ価値創造カンパニー」といって、スポーツをすることで、人生がハッピーだという人を増やしたいです。
世の中には、スポーツの価値を感じている人もいれば、全然伝わっていない人もいます。企業や行政にもまだまだ知られていない。「スポーツ嫌い」という言葉もあるように、学校体育で運動には関わっていたけれど、大人になったらスポーツに関心がなく、日常会話に出てこない人はいっぱいいますよね。誰しも健康でいたいと思いながらも、運動するきっかけがなかったり、続かなかったりと、足が遠のいている人もたくさんいます。
なので、自分たちがきっかけとして「人生がハッピーになるようなスポーツの使い方があるよ」と伝えたり、価値を新たに創造したりする。しっかりコミュニケーションをとって、スポーツの素晴らしさをたくさんの人に提供していきたいと思います。
自分たちが1番にサッカーやスポーツの“楽しさ”を感じながら、それを今度は多くの人に伝えていく。イースリーの「スポーツ価値創造カンパニー」への道のりは、まだ始まったばかりだ。
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【PROFILE】
小野寺 徹也(写真右)
代表取締役。2003年8月8日大安の日にイースリーを創業。今年で21期目を迎える。毎週サッカーをプレーするほどのサッカー好きで、現役のシニアサッカー選手でもある。
福澤 宏亮(写真左)
セールス担当。幼少期から大のスポーツ好きだが、数あるスポーツの中でも、教育面やエンタメ面においてサッカーは最高だと考えている。