受け継がれる「本物志向」。 マシンピラティスで世界基準の指導を目指す“BDC PILATESの”本質とは

オープンロードアソシエイツ株式会社 最高執行責任者 樋口 知香

受け継がれる「本物志向」。 マシンピラティスで世界基準の指導を目指す“BDC PILATESの”本質とは

オープンロードアソシエイツ株式会社 最高執行責任者 樋口 知香

「全ての人に本質的で最適なピラティスを!」という言葉を掲げるマシンピラティス専門スタジオ『BDC PILATES』。日本で初めてグループで行うマシンピラティススタジオを設立し、現在は表参道や銀座、吉祥寺など都内8箇所に店舗をもつ。

この会社の最高執行責任者を務めるのが、樋口知香さん。約10年間、アメリカで金融業界やインターネット業界での仕事を経験した後、新しい学校の立ち上げなども経験。2014年に世界で活躍するダンサーを育成するダンススタジオ、ブロードウェイダンスセンター(BDC)の運営に携わるために帰国し、その中で新たな事業であるBDC PILATESをスタートさせた。

本質を捉えているからこそ言葉をストレートに表現することも多く、厳しさも垣間見える樋口さん。しかし、「目の前の人に気持ちよくいて欲しいから、陽のオーラを出すようにしています」と、その厳しさの本質は優しさなのかもしれない。

そんな彼女が、“本質的なピラティス事業”を提供するために根本に持ち合わせていることは「自分が見えていることが全てだと思わない。その上でコミュニケーションを取り合うこと」。

自分だけの視点に捉われず、人との対話を通してより良いものを作り出していく。プロフェッショナルな仕事をするために、樋口さんが大切にしていることを聞いた。

(取材・執筆:伊藤 千梅、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)

「憧れられないといけない」の裏にある意外な意味

ピラティスインストラクターのお仕事は、まずは人前に出るお仕事だからこそ「憧れられるような存在であってほしい」と樋口さんはいう。

「高級なものを身に着けるというわけではなく、自分が素敵に見えるメイクや服装、立ち姿を考えてみてほしいです。見た目だけではなく、第三者から見たらどう見えるのか、自分の発言はどう聞こえるのかという意識をインストラクターとしては意識してほしいです。だからこのスタジオにいるインストラクターへのフィードバックはなるべく率直にするようにしています」

ズバリと切り込む樋口さんが「憧れられる」ことに重きを置くのは、自分を良く見せるためではない。あくまでもお客様や目の前の相手が気分よく過ごせることを1番に考えた結果だ。

樋口さん自身は、人と接するときに意識をしているのが「陽のオーラ」だという。

「周りの人には気分良くいてほしいから、なるべく陽のオーラは出したい。私がその部屋にいれば、その場が明るくなるようにしたいとは思っています」

称賛を受けるためではなく、相手を尊重するために。「オーラは考えて出せるのかわからないけど」と笑う樋口さんからは、厳しさの中にある他人への優しさが感じられた。

「骨」でみる動きの本質

そもそもBDC PILATESが掲げる「本質」とは、一体何なのか。社内でもよく議論するというこの問いかけに、樋口さんは自身の考え方を教えてくれた。

「私がこの話をするときには、まず『何の』本質かを聞きます。必ずそこの絞り込みが必要です。例えば体に痛みがあるときに、薬やマッサージなどで一時的に改善しても、何度も繰り返してしまうのであれば根本的な解決に至っていない。だから『ピラティスの』本質でいうと、自分が本来持っているべき筋肉を強化したり、必要な部位をリリースすることで、長期的に自分の力で痛みを軽減していくこと。お客様のお悩みに寄り添って、一人ひとりの最適解を見つけていきます」

もう一つ会社でよく話すのが「動きの」本質。BDC PILATESのピラティスでは解剖学や運動力学の知識を用いて、本来のあるべき動き方に近づけるための筋肉をつけていくことを目指している。体の動きを突き詰めた結果、トレーナーを育てるマスターインストラクターたちは、人の動きを「骨」で見るそうだ。



「インストラクターたちは、動いている人たちをそのまま見るのではなく『骨がどういう動きをしているか』で見ています。そうすると、骨の動きが良くないところから筋肉のつき方を確認し、改善するべきことが見えてくる。その上で解剖学の知識から論理的にエクササイズを組み立てることで、お客様の悩みを解決していくんです」

BDC PILATESのレッスンでは、どんなことを意識して1時間のレッスンを行うかを、骨の模型を用いて説明。お客様が持つ身体のイメージを可視化するなど、小さな工夫で、より効果的なトレーニングにつなげていく。

ブロードウェイダンスセンターから引き継ぐ本物志向

樋口さんは、BDC PILATESが“マシンピラティス”を導入した理由に、本来のピラティスの目的の得やすさを挙げる。元々ピラティスは、第一次世界大戦中に捕虜としてイギリスで収容されたジョセフ・ピラティスが、戦争中に負傷した兵士のリハビリのために開発したもの。負傷して寝ている人たちが、あるべき筋肉をつけて立位で歩行できるように、ベッドを改造したマシンが作られた。

「そもそもピラティスはマシンを使うことが原点なのだから、ピラティスをするのであればマシンの上で行った方がより良いと思いました。実際に道具なしでやると、勢いに任せて動いてしまうためインナーマッスルを使うのが難しくなったりします。マシンがあることで、本来使いたい筋肉に働きかけやすくしてくれるんです」

BDC PILATES は、1984年から世界の第一線で活躍するダンサーや振付師を海外から招いているダンススタジオ『ブロードウェイダンスセンター(BDC)』の「本物志向」を引き継いで設立した。

本物を学ぶには、時間もお金も労力もかかる。それでも「どうせやるんだったら、突き詰めていくのがかっこいい」と思う人たちが集まり、40年にわたり世界で活躍できるダンサーの育成を目標に、数多くのダンサーを輩出してきた。人生をかけて臨んでいるプロフェッショナルたちの体に触れるからこそ、ピラティスの指導も生半可なものはできない。

「プロダンサー養成校のつながりから、バレエ団や歌劇団に所属の方やプロスポーツ選手も多く通ってくださっているので、世界基準のティーチングレベルを維持していかなければいけないという目線があります。このエクササイズは何のためにやっているのか、本当に今のその人の身体や目的に合っているのかという自問自答をして、より良いものを突き詰めていける環境にしています」

目線は常に世界レベルへ。「日本国内だけではなく、世界を見て、そのレベルで仕事をしてほしい」という樋口さんの思いもあり、海外研修も実施しながらBDCの文化を引き継いでいる。

フィードバックを求めている姿勢をみる

ピラティスのお仕事はあくまでもお客様のためにやっていること。だからこそ、インストラクターの面接で最初に伝えることがあるそうだ。

「うちでは、私やバックオフィスの社員もレッスンを受けてお客様目線でフィードバックをします。『意味が分かりにくかった』『触られ方が少し気持ち悪かった』など伝えることもあります。もちろんそれを改善し、お客様にとってより良いレッスンをご提供できるようにするためです。そういうフィードバックが欲しいインストラクターにとっては、恵まれている環境だと思います。でも『自分は今までこうだったから、それしかやりたくない』という人は、ここは合わないとはっきりお伝えしますね」

今までのやり方や考え方に固執せずに、自分をアップデートさせていけるかどうか。

数年前から始めた「インストラクター候補生制度」への応募者を面接する際は、逆にその姿勢を持つことができていたら、事前知識は重要視しない。

「技術や知識は教えられます。それよりも『前向きで』『好奇心があって』『真面目で』『良い人間』であることを大事にしています」と樋口さんはまっすぐに目を見て語る。

知識がない状態からでもBDC PILATESのインストラクターになるために3年前から始めた制度が、「インストラクター候補生制度」。業務をしながら、マシンピラティスの資格をとるために勉強する。お客様一人一人の身体や目的に合わせてメニューを組み立てられるようになるまで指導練習をし、最終的には正指導員としてデビューする。

「入社時はゼロスタートで問題ないです。ただ正指導員になるまでの時間はかけますね。お客様の悩みに合わせてメニューをカスタマイズしてあげられないと、ピラティスをやる意味がないので1年半くらいはかかります。人間の体は奥が深いし、指導も100人のお客様がいれば100通りのやり方がある。だからこそ常に勉強です。そのレベルでピラティスを仕事にしたい人には向いている制度だと思います。ピラティスインストラクターを目指すのであれば、その目線を持っていてほしいなと思います」

そう言い切る樋口さんの言葉には、トップレベルでやっているからこその力強さがあった。

自分に提供できる価値はあるのか?多様な価値とその環境

現在のBDC PILATESはキャリアの形も多様だ。候補生からインストラクターの道を突き進むことも、マスターインストラクターになって後輩のインストラクターを育てる役割もある。また、アルバイトスタッフを採用して教育する、お客様の予約の管理をする、新店舗を立ち上げるといったスタジオのオペレーション部隊に異動することも可能。キャリアパスはいかようにもなると樋口さんは太鼓判を押した。

一方で、制度以外の部分で「自分をアップデートして、チームにいてほしいと思われる人財でいる意識があるかどうかは大事」と仕事への厳しさも覗かせる。

「私はアメリカで仕事をしてきて同僚が解雇されていく姿をたくさん見てきました。アメリカでは職場で欲される人間でないと、本当に解雇されるから必死ですよね。だからこそ『あなたはどういう人財で、何を提供できますか?』という質問に答えられる必要があると思うようになりました。自分が何を提供できるかがわかっていたら、女性だろうと男性だろうと関係なくお仕事はあると思います」

昨今は産休や育休など、女性特有のキャリアのあり方が問われる中「お互いにWin-Winになる形で勤務形態を選べばいいと思います。戻ってきてほしいと思われる人財でいることは大事ですし、戻ってこられる環境を用意することは当たり前だとも思います」と樋口さんは笑いながら答えてくれた。

初めからスキルを持ち合わせている人はいない。だからこそ学び、知識を深めて力をつける。どのようなキャリアを築いていくかは、自分次第だ。

樋口さんはBDC PILATESを通して「お客様には健康でも美容でも、その方が目的としていることを少しでも達成をするお手伝いしたい」と意気込む。

いいことをして、いい連鎖を。自分が見えていないものを少しずつ認知し、世界に広がる価値観を取り入れる。日々の勉強を積み重ねることで、BDC PILATESはより「本質」に近いサービスを提供していく。

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【PROFILE】

樋口 知香

国際基督教大学を卒業後、スタンフォード大学にて修士号を取得。10年間のアメリカでの生活を経る間、軽井沢のインターナショナルスクールの立ち上げも行った。2014年に日本へ帰国してからは、現職のオープンロードアソシエイツ株式会社の執行役員COOに就任。

 

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

設立年月 2014年02月
代表者 山本 公哉
従業員数
業務内容

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