現役ダンサーからインストラクターへ。
国内最大級のテーマパークで踊っていた経験をもつ谷﨑さとみさん。
どのようなきっかけで教えるという道に進もうと思ったのか。谷﨑さんが描くスタジオ像とはどんなものなのか。
ダンスを愛しダンスに全てを捧げる谷﨑さんが立ち上げたWILDKIDSの未来について話を伺った。
(取材・執筆:伊藤 千梅、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)
―――本日はどうぞよろしくお願いいたします!早速ですが、どうしてダンスを仕事にしようと思われたのですか?
ぶっちゃけて言うと、仕事だからと言って踊っていたかったんです(笑)とにかく一生ダンスを続けていたかったし、関わっていたかったです。ダンスで人生の全てを学びました。だからもうそれを仕事にするしかないなと思いました。
―――プロダンサーとしてもご活躍されていたと伺いましたが、ご自身が表現しているときの楽しさはどんなところにあると感じていますか?
昔はテーマパーク等でも踊っていました。やっぱり喜んでくださる方々を目の前で感じられることですかね。あとは、色々な人たちが携わって1つの作品を創りあげることも好きです。衣装さんがいて、音響さんがいて、振付師さんがいて、それぞれの力を集結させて1つのものを作るのが大好きですね。
―――一生ダンスに関わっていきたいという思いなら、趣味程度に続けてもよかったのかなと思うのですが、なぜ教えるという立場に転換されたのですか?
一生ダンスに関わっていくとしても趣味では違うと思っていました。そうなったときに自分は「子ども」と「教えること」が大好きだったので、ダンススクールだったら一生ダンスに関わっていられるかなと思いました。
―――他には何かきっかけがあったのでしょうか?
若いころ、Disney映画である「High School Musical」を見たんです。学生たちがミュージカルのように歌ったり踊ったりしている映画なんですけど、活き活きとした姿になんて素晴らしい映画なんだ!と思ったと同時にこんな子どもたちを育てたいと思いました。その思いも込め、その映画に出てくるバスケットボールチーム「WILD CATS」から取って「WILD KIDS」にしたんです。結果的に今はこれが天職だと思えています。
―――どうして天職だと思えたのでしょうか?
今まではダンサーになりたくて仕事をしていたので大きなステージに立たせてもらえることも楽しかったです。ですが、それ以上に自分の好きなことを教えて喜んでくれる人たちがいるという実感をもてたり、自分の大好きなダンスをこんなに楽しんでくれる子たちがいると感じられたりできたからです。やっぱり何をする時間よりもレッスンをみんなでやっている時間が人生で一番楽しいからですかね。
小さいころから本番よりもレッスンが大好きだったんです。基礎トレーニングをしながら自分と向き合うみたいなレッスンが良かったです。だから今もレッスンをしているときが一番楽しいのかもしれないですね。
―――天職に出会えた谷﨑さんですが、スタジオを立ち上げたきっかけは何だったのですか?
もともとは私の地元である亀戸を盛り上げようとレンタルスタジオを借りて始めたのがきっかけです。レンタルスタジオを私が受け継ぐ形になったのですが、ちょうどコロナウイルスが流行し始めて。かなり苦しかったですが、クラウドファンディングをしたらお金が集まったのでこれならいけると思って発表会をしたんです。そしたら、生徒数が60人から100人に増えて。ここでは狭くて入りきらなかったので新しいスタジオを立てようという流れになりました。だから、計画的に会社を作ろうみたいな形で進んだわけではなく、流れでここまで来ちゃったって感じです(笑)
―――コロナウイルスの流行もあって大変だったと思いますが、夢が形となったんですね。
そうですね。地域の子たちが通える環境を作れたというのが嬉しいです。色々な先生が亀戸に来てくれて、みんなが学べる環境を提供できたっていうことだけで達成感がありますね。
―――ご自身が子どもだったら通っていましたか?
もう絶対通いたいです!そういうところを目指して作っているところもあるので。
―――谷﨑さんが夢見ていたダンス教室ができて本当に良かったです!どんなダンス教室を目指していらっしゃいますか?
ダンス自体のイメージとして、昔はあまりいいイメージではなかったんですよね。今ではこんなにもみんながヒップホップをやる世の中になるなんて思っていなかったですから。また、私たちは3歳から15歳までの子たちにダンスを教えています。高校生はもっと色々なジャンルにも挑戦できるし違う教室にも行けると思ったので入れていません。だからこそ、子どもたちのダンス教室となったときにやっぱり親が安心して通わせられる場が大切だなと思いました。特に幼少期の子どもたちには誰かにちゃんと見ていてもらえる環境があることは大切なことだと思います。だから、ダンスを教える先生がいることはもちろんですが、受付にもちゃんと人がいてサポートできるようにしたいです。そんな場でのびのびとダンスに集中にしてほしいですね。
―――先ほど谷﨑さんが考える理想の教室像を伺いましたが、ダンスを通じてどんなことを伝えていきたいですか?
WILDKIDSのキャッチコピーでもあるんですが、頑張った先にある最高の景色を子どもたちに見せたいなと考えています。
―――頑張った先にある最高の景色…?もう少し詳しく教えてください!
ダンスを教え始めたときは、子どもたちが将来の夢としてダンサーになりたいと思ってくれていると考えていました。でもなかなかダンサーとして生きていくという子どもたちはいないし、親にもならせたくないと言われてしまって。じゃあ私は何のためにダンスを教えているんだろうと、何をやっているんだろうと悩んだことがあったんです。
―――確かに自分が教えた子たちがダンサーとしての夢を描いてくれていたら嬉しいですね。
でも私は「頑張った先にある最高の景色」を子どもたちに見せたいんだと思ったんです。自分が一生懸命練習して、お客さんのためにステージに立ったときに見える景色って一生懸命やった人にしか見えないと思うんです。客席から「感動したよ」「ありがとう」って言ってもらえて嬉しいじゃないですか。だから、熱心に頑張ることや人のために取り組むということを知ってほしいなと思っています。それはきっと、社会人になってどの仕事をしたときにも活きるだろうなと考えています。
―――ダンスをすることだけが目的だったところから、ダンスを通して得られたことを伝えるようになっていったんですね。これだけダンスにのめり込む谷﨑さんだから伝えられることですね。
ダンスが私の全てですね。この人生しかやってきてないから分からないですが、頑張ることや限界を突破すること、人としてのあり方全てを学んできました。
―――谷﨑さんが経験された「頑張った先にある最高の景色」はどんな景色だったのですか?
一番記憶にあるのは、某有名テーマパークで踊っていたときのことですかね。頑張れないなと思う時もあったのですが、その度に仲間と声を掛け合いながら鼓舞していました。毎日同じショーをしているのですが、お客さんと私たちが一つとなった忘れられない会があるんです。素晴らしい景色が見られたなと思っています。
―――困難や壁の先には素晴らしい景色が待っているということを子どもたちにも伝えたいのですね。
そうですね。やったらやった分だけ返ってくるし、諦めなければ夢は叶うと思っています。ダンスを通して私が子どもたちに伝えていきたいです。
―――信念をもって取り組まれている谷﨑さんですが、ここに通う子どもたちにとってどんな場であってほしいと考えていますか?
ここが日常になってほしいです。ダンスを毎週ここで学ぶことが生活の一部となって、楽しい時間が過ごせる場であることがいいんじゃないかなと考えています。自分が中学生だったころはあまり学校が楽しくなかったですし、嫌なこともたくさんありました。でもダンスをやっているときだけは忘れられたんです。だから今の子どもたちにもそんな風に使ってほしいですね。ここにいれば無になれるというか。
―――子どもたちの心のよりどころになってほしいということですね。そのために今後スタジオ運営について取り組んでみたいことはありますか?
これから生徒数をもっと増やしていきたい!とか店舗数を増やしていきたい!とは思っていないですし、それが自分の幸せには繋がらない気がしています。それよりも今ある場所でできることを増やしたいです。今も色々やっているのですが。
―――やはり地元を盛り上げたいという思いが強いのですね。例えばどんなことに取り組まれているのですか?
赤ちゃんのレッスンを行ったり、宣材写真の撮影も行っています。あとはダンスイベントがあったときに飲食が必要かなと考えて、キッチンカーを買ってしまいました(笑)クレープを売り始めるんですよ!
―――ダンス教室から様々な分野に派生していっているんですね!なぜそこまで挑戦されるのですか?
私たちは「人生エンターテインメント」としてやっているので、亀戸を盛り上げられることであれば挑戦をして、たくさんの人を喜ばせたいんです。だからこそここで働いてくれる人には、色々なことを一緒に挑戦できる人に来てほしいです。もちろんベースはダンスです。スタジオのフロントスタッフとして先生や子ども、保護者のサポートをし、スタジオを回せるように守っていってほしいです。その傍らでエンターテインメントとして色々なことを楽しめるように手伝ってもらえると嬉しいです。私たちと一緒にWILDKIDS事業全体を盛り上げていきたいですね!
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【PROFILE】
谷﨑 さとみ(たにざき さとみ)
株式会社studio WILDKIDS代表。
小学5年生からダンスを始め、高校からダンサーとしての活動をスタートさせた。20代はPV出演、武道館ライブ、紅白歌合戦など、さまざまなアーティストのバックダンサーとして活動し、ミュージカルやお芝居にも挑戦。20代前半に映画『High School Musical』を観たこときっかけに指導の道を志した。体で音を表現するリトミックも学び「リトミック研究センターディプロマA」の資格も取得している。