プロバスケ『B.LEAGUE』は今、まさに戦国時代。2026年に始まる新リーグでは、これまでのように[B2]→[B1] ないしは [B1]→[B2]といった昇降格がなくなり、NPBのようにトップチームだけで構成されることになる。まさに新B1参入に向けて、B1～B3までの各クラブが群雄割拠の時代を生き残るため、バスケットボールを通じた新たな価値創出に向けて歩みを続けている。
さて、あなたはB3リーグに所属する『横浜エクセレンス』というクラブをご存知だろうか。
2012年～2021年まで『東京エクセレンス』として、東京都板橋区をホームとして活動。2021年から神奈川県横浜市に移転し名称変更したことで『横浜エクセレンス』になったクラブだ。Bリーグ創設前のNBDLで3連覇を成し遂げた注目株が、Bリーグ開幕以降に歩んできたこれまでと、2026年の新B1参入に向けた採用計画について、今回は『横浜エクセレンス』の代表取締役・向井昇氏に話を伺った。スポジョバ初の連載企画として、8週にわたり掲載する。
競技に関係なく、プロチームが本拠地を移転したケースは非常に珍しいと言えるだろう。また、クラブ存続の危機にもあったにも関わらず、全てをクリアにできたクラブの歴史は涙無くして見られないだろう。そして何より、向井氏の想いを知り、同クラブに興味を持たない人はほぼいないだろう。これはきっと、あなたの未来にも繋がる物語だ。
(取材：構成=スポジョバ編集部 小林亘)
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＿＿ところで向井さん、事前情報によると、向井さんはバスケットとは縁がなかったと伺っているのですが、生い立ちって伺ってもよろしいでしょうか？
向井：なかなか話す機会がなかったので嬉しいです(笑)。私、大学時代は実はアナウンサーになりたかったんです。日本大学芸術学部放送学科の出身なんですが、結局その夢は叶いませんでした。ただ、大学時代の広告の先生が非常に親身になって下さり、その結果、広告業界に飛び込んだのが最初です。
最初はテレビのADを3年やって、フランスのパリにあるCMの制作会社で4年プロデューサーとして働いて、帰国してTVCMのプロデューサー、いわゆるナショナルクライアントのCMを作っていたんです。ずっと広告畑で育ってきたんですよ。それまでは、バスケットはもちろんスポーツとご縁がありませんでしたね。
＿＿あ、そうなんですか！どんなキッカケで、スポーツ業界に入られたんですか？
向井：当時住んでいたマンションの大家さんが、サッカーの奥寺康彦(元日本代表)さんと凄く仲が良くて。2009年でしたか、奥寺さんが飲みの席で「このままだったらJクラブが潰れてしまうから、新しい血を入れたい」って話を大家さんに相談したみたいなんです。その話を聞いて私を繋いでくださったんですよ。
最初は、私が広告代理店の営業で、奥寺さん(クライアント)の横浜FCさんっていう立場でやっていたんですが、1年経って「ウチで一緒にやらないか」と声をかけていただいたのが、スポーツ業界に入る最初のキッカケです。その後2011年末までクラブにいたんですが「スポーツチームの中でこういう仕事があったらいいのに」「こんな仕事をやってくれる人がいたら良いのに」という仕事をやろうと思って独立したんですよね。そのときに外注で色んなスポーツの仕事をお手伝いしていたんですけれど、その働きを見ていてくださった方が「今後バスケのクラブの運営の仕事があるんだけど、どうかな？」と声をかけてくださいました。その方を通じてバスケットと出逢った形ですね。
＿＿その話をいただいて、向井さんはどんなアクションをされたんですか？
向井：当然バスケチームの運営はやったことありませんし、バスケ自体も学校の体育でしかやったことがなかったので(笑)「一度観戦してみたい」とお伝えして、当時のbjリーグのファイナルを有明アリーナに観に行ったんです。一番前の席を用意いただいたんですが、まぁ……衝撃で。
私がいた『横浜FC』の競技場も、お客さんとの距離がかなり近くて、それがベースになっていたんですが、それにしても強烈でした。ボールをつくドリブルの、床から来る振動が足に響く感じとか、選手が目の前を走ったときに感じる風とか、会場で流れる応援、音楽も凄い……って、本当に圧倒されて。加えて「これからBリーグができる」って話も聞いていたので「間違いなくこの業界は伸びていくな」「これはぜひとも関わりたい」と。さらに話を聞いてみると、どうやら、アウトプットがサッカーかバスケなのかって違いだけで、クラブの経営は同じじゃないかって、自分の中で腹落ちしたと言いますか。だったら尚更やってみたい！と思い、バスケ業界、当時の『東京エクセレンス』に入団したという形です。
＿＿『横浜FC』にいらっしゃった、というご経験が、良い意味でも大きな衝撃に繋がったということですね！
向井：ルールも、僕が知っていたものとは、大きく異なってました(笑)。昔はスリーポイントもなかったですし、10分ｘ4Qではなく前後半でしたし、ましてゼロステップなんてありませんでしたから(笑)。
もちろん今ではルールも覚えましたし、バスケ業界は今年で7年目になりますけど、過去の在籍した会社の中でも一番長く働かせていただいてます。お話した通り、大変なことは多々ありましたが、ここまで来られたことが本当に幸せです。バスケット業界はまだまだ伸びる業界ですから、これからも頑張り続けたい。そしてエクセレンスを通じて、横浜市と板橋区に恩返ししていくことが、今、一番の目標です！
＿＿向井さん、ご多忙の中、さまざまな角度でお話いただきありがとうございました！来シーズン以降の活躍、期待しています！Let's GO EXCELLENCE！！
【PROFILE】
向井昇｜株式会社横浜エクセレンス：代表取締役社長
元々はアナウンサー志望。日本大学芸術学部放送学科を卒業後、TVCMのプロデューサーとして、世界を股にかけて活躍した。帰国後、住んでいたマンションの大家さんとのつながりで、元サッカー日本代表の奥寺康彦氏と出会い、営業とクライアントという関係で『横浜FC』に携わる。その後、独立し、ラグビー、サッカー、モータースポーツ、ロードレースなどさまざまなスポーツにまつわる様々な仕事を手掛けた。その活躍を見た方から「プロバスケチームの運営の仕事があるんだが、興味はないか？」と声をかけられたことから、当時bjリーグの決勝を有明アリーナにて観戦。その時に衝撃を受けたこと、またBリーグが開幕するということでチャンスを感じ、当時の『東京エクセレンス』の運営を担う形で社長就任。数々の困難を乗り越え、現在の『横浜エクセレンス』でも引き続き代表取締役として活躍中。
大切にしていることは、とにかくインプット。映画も本も人と会って話を聞くことも、何でも吸収し仕事に活かしているという。「いま何流行ってるかを知らないと、お客さんが喜ぶモノって提供できないじゃないですか」と、優しく語る姿が印象的。
| 設立年月 | 2016年07月 | |
|---|---|---|
| 代表者 | 桜井直哉 | |
| 従業員数 | 25 | |
| 業務内容 | バスケットボールクラブの運営
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