業界は“スポーツ好き”を欲していない?スポジョバが挑むスポーツ人材の改革

スポジョバ事業部長 伊藤知裕

業界は“スポーツ好き”を欲していない?スポジョバが挑むスポーツ人材の改革

スポジョバ事業部長 伊藤知裕

「スポーツ業界はただ単にコンテンツがスポーツなだけで、他業種と業務内容は変わらないと考えています。他業界で上手くいってる業務内容を持ってきて、コンテンツをスポーツに変えれば良いだけの話。ですから、もっともっと他の外の人が活躍すべき土壌はあると思いますし、言ってしまえばまだ更地なので。他業種の方が活躍できる見込みはあると思っています。」(伊藤知裕)


野球やランニングなどの小売店を展開するスポーツマリオが、8月23日にこれらの事業とは全く異なるサービスをスタートさせた。それが、スポーツ業界に特化した求人サイト「スポジョバ」です。

ここの責任者を務める伊藤知裕さんは大学卒業後に大手総合スポーツ小売店でバイヤーを務めマーケティングに従事。その後、大手の外資保険会社で営業マン、スポーツイベントの予約サイトでの責任者を経て現在の職にたどり着きます。


新卒からスポーツ業界に入りそこで感じた違和感と課題が、この新たな事業につながっていると伊藤さんは語ります。


では、人材サービスからどのように業界の発展へ寄与していきたいと考えているのでしょうか。



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中学時代の怪我で、スポーツ界を目指す


自分の両親はバドミントンをやってたというのもあって、幼い頃からスパルタで教えられていました。3歳ぐらいでラリーをやっていましたよ。ただ、親が厳しすぎて辞めて。そこから野球へ転身して大学まで続けました。


スポーツ業界で働きたいと思ったのは中学校2年生のとき。腰椎分離症になってしまったことがあって、新人戦の前3ヶ月ぐらいの期間、運動できなかったのですが、腹筋さえして入れば防げたというのを整形外科の先生に言われて衝撃を受けたんです。「それぐらいだったらなんで周りの人教えてくれなかったんだろう」と。そこから自分のような人を救いたいと思い、トレーナーを目指すようになりました。


ただ、現実を見るとトレーナーの世界も大変だということに気づいたんです。ハードワークな割に給料も高くないと。そこで、自分がこういったスポーツの労働環境を変える立場に立たないとダメだなと思ったんです。とはいえ何をするかというのは明確ではなかったです。


高校を卒業をして東京学芸大に進学したのですが、そこでいろいろなスポーツの専門家がいて多くを教えてくれたことで、スポーツへの興味関心が更に深まっていきました。元日本サッカー協会の理事の方が教授として学校にいて、サッカー実習でサッカーの奥深さを教えてくれたり。


野球以外にも興味を持つようになったという点で大学生活は大きかったなと思っています。「なぜ今まで知ることができなかったんだろう、もっと知る機会がほしいな」と何度も思って。そこから本格的にスポーツ業界を目指しました。


進路の候補としてはメーカーに入るか全国規模のスポーツ系の会社に入るかのどちらかを考えていました。後者だと小売系か施設系となるのですが、そこで本社に行けば世の中に影響力の与えられる仕事ができるんじゃないかなと考えました。そういう意味で大手しか受けず、結果的にメーカーは全落ちだったのですが、スポーツ小売で(当時)ナンバーワンのアルペンから内定をいただきました。


実績を積むために休日返上で働く


入社後には本社に行くためにひたすら努力をしましたね。新人は店舗に入るのですが、そこで実績を残したら本社へいけると。ただ通常だとずっと店舗で、本社に行くとしても10年ぐらいかかると言われていました。


でも、「“店舗で実績を残す”ってなんだろう」と。


その中で会社に認められて実績の残している人、自分の場合は上長の上長に、アピールすることが重要だなと思ったんです。月1回、その方が巡回で来るので、その時に月次報告書みたいな5枚くらいのレポートをしれっと見えやすいところに置いて、それを読んでもらうように仕向けました(笑)。


もちろんそれだけではありません。


野球コーナーを任されていたときに売上を上げるために要素を細分化したんですよ。その中で顧客を新規とリピーターに分けて、「(店舗で)新規の顧客のコントロールはなかなか難しい。でも、リピーターをコントロールしようと思っても彼等が来る理由はなんだろうか」と考えたんです。結果、加工・修理の取り扱いだなと。


「破れたグローブを直してくれ」と店舗に来る人って多いんです。その人達の満足度を高める、要望に答えることが重要だと考えました。店員である僕が加工・修理をするのですが、他の競合店では”できない”と断られるレベルの加工・修理をできるようにしようと。そのために休み返上で岐阜の職人さんのところやミズノさんの講習会に行って技術を学んで、アルバイトの子たちに教えて…ということを行っていました。


入社して1年経ったあたりからこれらの動きを始めて、約半年後に本社から声がかかりました。同期の中では最短でしたし、たしか1つ上の1番早かった人と同じタイミングでした。


本社には5年務めました。


バイヤーという立ち位置だったのですが、実際にやっていたことはマーケティングでしたね。どういう商品を、どこで、いくらで、どういう方法で提供するという4Pをすると。そこでもプライシング、市場の需要、供給のマーケット感覚などを身につけるために自主的に研修会にも足を運んでいました。“戦略マネジメントゲーム(MG)”という経営を学べるものが一番勉強になりました。自腹で100万くらいは注ぎ込んだと思います。


在庫がどれぐらいで、どれくらい仕入れて、どういうタイミングで、いくつぐらい売るのか。そして、それが定価で売れるようであればこれぐらいの利益が出る。利益が出れば次のシーズンでこれぐらい買い入れでき。こういう話を1年間ずっとやっていくのですが、それはとても面白かったです。


20億ぐらいをアルペンの商品部で動かせたので、それは楽しかったです。でも、規模が大きすぎてちょっと勘違いすることもあります。小規模のスポーツメーカーの社長さんが20代後半の僕みたいな若造にすごく頭を下げてくれるんです。アルペンの看板を持たせてもらっていただけだったんですけどね。


ホワイト企業に身を置くのは違った


充実感はあった中で辞めた理由として“外に出てみたかった”というのももちろんあるのですが、ホワイト企業20選に選ばれるような会社になったということが大きかったです。「20時には完全退社してください。朝の8時より前には来ちゃダメですよ」という環境になった。


20代のうちはゴリゴリ働きたいと思っていて本社に来れた。その中で仕事が残っていてもやれないというときにストレスを感じましたね。あと、僕はイーロンマスクが好きだったので、週100時間働きたかったんですよ。


「8時間×5日だと、60時間足らないな…」なんて思って。こんな状況になったので、じゃあ週100時間ぐらい働ける会社に行きたいなと思い転職活動をしようと思ったタイミングで、たまたまプルデンシャル生命保険からスカウトがあったんです。


そこで迷わず転職を決めたのですけど、いざ働き始めたら僕だけでなく他の人もみんなめちゃくちゃ働いている。26時から営業の練習しようと言っても誰かしらいるのでそれができる。そこから28時までやって、8時には若手が全員集まって研修をする。


平均睡眠時間は4時間とかです。これが1人だと辛いんですけどみんなそういった生活をしているので、「まあこんなものか」とネジが外れていくんです(笑)


プルデンシャルではクオリティの担保というところに対して全員がプライドを持って、モチベーション高く仕事に励んでいる環境で、これは自分にとって刺激でした。渡されている商材をもってどうやって相手の気持ちコントロールし、モチベートして買いたいと思わせるか。


この仕事でもとても勉強にはなり、得たスキルをスポーツ界に活かそうと思い、1年程で退職しました。その次の会社で、子供向けスポーツイベントの予約サイト事業を立ち上げて今の職場に来ました。


ちょうど新規事業の責任者を探しているとのことで応募をしたんです。それがスポジョバです。


もともと「スポーツ環境を変える立場に立たないと」と思った中で、人材面の課題解決のためにこういう角度からアプローチしてみるのは面白いかもしれないと考えて、ジョインすることに決めました。


スポーツが好きかどうかは二の次


人材関連の話でいうと、少しトレンドになっていますが、僕は”アスリートがセカンドキャリアでスポーツ業界へ入る”があまり好きではないんです。言い方が悪いのですが、ビジネス経験のないアスリートがビジネスマンになっても、いきなり成果を求めるのは無理があると思うんですよ。


でも、スポーツ業界には元アスリートが多くいます。それ自体は悪いことではないと思うのですが、ビジネスで実績や結果を出せる人がもっといた方が良い。全部ではありませんが、結果を出せない人を結果が必要な役職に結びつけようとしているようなセカンドキャリア支援には疑問を持っています。


アスリートにとってスポーツという商材はもちろん1番馴染みがあると思いますし、馴染みがある商材の事業へ貢献できることはたくさんあるでしょう。まして、今まで何かを頑張って来て成功させたという体験もあり、その経験値を新しいことへ活かすことのできる環境が必要なのは間違いないです。


ただ同時に、実績がない中でのキャリアの転職を普通はできないのに、なぜかアスリートはOKという風潮に疑問は持っていました。




スポーツ業界は“特別”ではない


スポーツ業界はただ単にコンテンツがスポーツなだけで、他業種と業務内容は変わらないと考えています。プロダクトやマーケットの特徴などをしっかり捉えてビジネスを展開したり、法律などを踏まえて労務環境を整えたり、こういったことはスポーツ業界かどうかは関係ありません。他業界で上手くいってる業務内容を持ってきて、コンテンツをスポーツに変えれば良いだけの話。ですから、もっともっと他の外の人が活躍すべき土壌はあると思いますし、言ってしまえばまだ更地なので。他業種の方が活躍できる見込みはあると思っています。スポーツ業界で過ごした中の人だけで回すと進展はないのかなと。


スポーツ業界の交流会で、例えばJクラブのクラブスタッフとか独立リーグの球団職員の方がいたとして、前職が同業種で同職種という人が多いんです。そして、マネジメントスキルのような、どの業界でも通用するはずのポータブルスキルに、スポーツ業界では他業界とのマイナスのギャップを感じています。逆に、スポーツ業界で働いている人はプロダクトへの愛情が深く、業界慣習に精通している印象を受け、ドメスティックな業界なんだということを新卒2,3年目ぐらいに感じました。


外部からの血がなかなか入ってきていなくて、本当の意味で流動的ではない。


やはりそういうところは変えていかないとなと思っています。好きか嫌いかだったらもちろんスポーツが好きな人の方が良いと思いますが、本当に大事なのはそこではないなと。ビジネスでいうと「これは売れる」と思ったものに対して、売るためにどういう戦略を立て計算をし、アクションを起こせるか。こういうスキルを持った人が求められていると。


スポーツが好きかどうかはその次の話かなと思います。


今は国としても特にこれからスポーツ業界を伸ばそうという方針なのでお金は出やすいと思いますし、便乗している企業があればあるほどマーケット自体は絶対に活性化します。これはチャンスだと思っていて、ビジネスとして循環する仕組みさえちゃんと作れば、もっともっと大きくなるんじゃないかなと。


うちは良くも悪くも小売業を30年やっていて、この期間にちゃんと会社として成り立ってきたという強みがある。何もないところからぽんと急に人材サービスを立ち上げたわけではないので、一般的な企業にもアプローチしやすいですし、取引先に求人をという形でもアプローチをしやすい。ローンチにあたって多くの企業にご協力いただきました。


スポーツ業界にもたくさんの会社があります。有名なサッカー選手の肖像を使ったマーケティングをする会社や、スタジアムの指定管理を行っている会社。全国にあるスタジアムの約8割ぐらいのスタジアムを作っている設計会社さんなんかもあります。チケットのもぎりを電子化してデータマーケティングをする会社も。


スポーツ界で働くことの選択肢って思ったより多くあるんです。関わり方も多様。ただ、その中で人材が足りていない。だからこそ、スポジョバを通じて「こんな仕事があるんだ」ということを知ってもらって、スポーツに少しでも興味のある人が業界に入ってくれることを願っています。






株式会社スポーツマリオ スポジョバ事業部長 伊藤知裕


1987年宮城県出身。新卒で入社した最大手スポーツ小売では同期最短で主要の商品部へ異動し、年間売上20億円程度を管理、マーケティング全般を学ぶ。その後、セールスの修行として外資系金融へ。Doスポーツ予約サイトの会社では新規事業を立ち上げ、形を整えたところでバトンタッチ。2019年6月より株式会社スポーツマリオの新規事業部長としてスポジョバを立ち上げ、現在は立ち上げたスポジョバの事業部長。東京学芸大学では体育会の硬式野球部に所属し、守備の人としてリーグ戦へ出場。受講講義は地域スポーツ論やスポーツ行政論、スポーツ経営論などで、総合型地域スポーツクラブとスポーツビジネスのマネタイズが興味事項。日本のスポーツ産業を主要輸出産業にすることを目論む。

Text:竹中玲央奈(Link Sports)/Photo:竹中玲央奈(Link Sports)



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