オーナーは元プロ野球選手のハイアルチが子どもたちに愛される理由

ハイアルチ大井町スタジオ 井納 雅美、大橋 淳

オーナーは元プロ野球選手のハイアルチが子どもたちに愛される理由

ハイアルチ大井町スタジオ 井納 雅美、大橋 淳

スポーツで結果を出したい。競技を長く楽しみたい。ケガを予防し、いつまでも思い通りに体を動かしたい。スポーツに親しむ人の体づくりへの思いはさまざまです。
近年注目を集めているのが、平地にいながら高地環境を再現する「低酸素トレーニング」です。全国展開する「ハイアルチ」は、専用の低酸素環境を再現した施設を備え、30分のトレーニングで2時間分の運動量に相当する、効率的なトレーニングに取り組める場を提供しています。
今回はその中でも、ジュニア会員が全体の約半数を占める「ハイアルチ大井町スタジオ」にフォーカス。元プロ野球選手で横浜DeNAベイスターズや読売ジャイアンツで活躍した井納翔一氏がオーナーを務め、幅広い層から支持を集めています。
なぜ多くの子どもたちに選ばれ、愛されているのか?低酸素トレーニングの魅力や、大井町スタジオ独自のアプローチなどについて紐解いてみます。

(取材・執筆:齊藤 僚子、編集:小西 秀人、池田 翔太郎)

「先発投手だったので…」低酸素環境の魅力とは

低酸素トレーニングという専門性の高い分野で支持を集める「ハイアルチ」。フランチャイズ展開を行い、各スタジオが地域性や利用者層に合わせた運営を行っていることも特徴です。まずは、オーナーである井納翔一氏の妻であり、「ハイアルチ大井町スタジオ」を運営する井納雅美さんに、事業を始めた経緯や低酸素トレーニングの魅力について伺いました。

井納 主人がそろそろ引退するとなった頃、セカンドキャリアについて考えるようになりました。私自身も経営は初めてでしたが、いろいろな可能性を探す中で、スポーツであれば主人が培ってきた経験や強みを生かせるのではないかと思いました。ただ、何もない状態から自分たちで新しいものをつくるとなると、相当な労力になります。

そこでまずは、仕組みや実績のあるフランチャイズという形でスタートすることを考えました。その中で出会ったのがハイアルチでした。低酸素環境を活用した特殊なジムという業態に「これは面白い」と感じたのがきっかけでした。

また、井納翔一氏が現役時代に培ってきた経験も、競技を支える体力や体の土台づくりという面で、ハイアルチのコンセプトと通じる部分があったと振り返ります。

井納 正直、野球という競技とハイアルチが直接結びついていたわけではありませんでした。ただ、スポーツをするうえで大切な体力や体の土台づくりという部分では、通じるところがあったと思います。

現役時代の主人は先発投手だったので体力も必要でしたし、年齢とともに体の状態が変化していく中で、低酸素環境を活用して体を活性化させるという考え方は、ハイアルチのコンセプトを実感できた部分だったなと思います。

サッカー指導経験が活きる“お兄ちゃん”の距離感

続いて、現場の最前線に立つ店長・大橋淳さんにも、ハイアルチで働くようになったきっかけについて伺いました。

大橋 前職でコーチをしていたサッカーチームがきっかけでした。そのチームの代表の方が井納さんと交流があり、そこから関わらせてもらうことになりました。当時は、サッカーコーチとして子どもたちを指導することを本業としながら、もう一つの仕事として短時間携わるという形でした。それが続いて、気づけば今に至るという感じですね。

完全にこちらにシフトしたのは、サッカーコーチを続ける中で、良い意味で少し刺激が足りなくなってきたというか、学びや成長が止まっているように感じる部分があったことでした。

ハイアルチでは、これまで関わったことのない一般の会員様や、さまざまな考えを持つ子どもたちと接する機会がありました。そうした中で感じる刺激や学びも多く、自分自身が成長できているなと感じたことが大きかったです。そこから「ここで挑戦してみたい」と思うようになり、思い切ってこちらに移ってきました。また、もともとずっと子どもたちの指導をしてきたので、自分が入るタイミングでジュニア会員が増えてきていたことも魅力に感じました。

現在、入社3年目を迎えた大橋店長。前職で培ったサッカーコーチとしての経験は、現在の子どもたちへの指導にも活かされていると語ります。

そしてその経験が、大井町スタジオならではの特徴につながっていきます。約400名いる会員の約半分が、主にサッカーに励むジュニアアスリート。他のハイアルチのスタジオにはない会員構成を生んだのは、大橋店長をはじめスタッフとジュニア会員との“距離感”にありました。

大橋 僕は元々サッカーをやっていて、サッカーコーチを始めたのはスポーツの専門学校時代からでした。友人から「楽しいよ」と聞いたことがきっかけで、自分が好きなスポーツに関われて、時間があれば子どもたちとボールを蹴れる環境がいいなと思い、始めました。なので、最初から「子どもたちに教えたい」という思いがあったわけではなくて、どちらかというと「自分の好きなことを仕事にしたい」という気持ちが大きかったんです。

そういった経験から、ハイアルチで指導する子どもたちとは、お兄ちゃんのような感覚で接しています。スタッフの中でも、子どもたちから「じゃあね!」とか、フランクに言われることが一番多いと思います(笑)。僕は全然気にしないので、なるべく自分から積極的に距離を縮めにいっています。その方が子どもたちも話を聞いてくれますし、やってほしいことも素直に取り組んでくれます。

そうした取り組みのおかげなのか、子どもたちの方から「辞めたい」と言ってくることが一切ないんです。もちろん、保護者の方のご都合や、ほかの習い事との兼ね合いなどの理由で退会されることはありますが、子どもたちは「辞めたくない」と言ってくれるんです。

そうした大橋店長らスタッフの取り組みに、雅美さんも「良い意味で友達のような関係性を築けていることも大きいのかな」と目を細めます。スタッフ全員が子どもたちとしっかり向き合い、指導に励んでいるからこそ。こうした取り組みがモデルケースとなり、今では他のスタジオの責任者が大井町スタジオを見学に来るそうです。

「好きなスポーツを嫌いになってほしくない」

多くのJR線が乗り入れる大井町の駅前にあるスタジオ。施設の規模としては他店舗と比べて大きくないそうですが、現在はハイアルチ全店舗の中で会員数はトップ。その中で前述の通り半数を占めるジュニア会員や、仕事帰りの一般会員まで、幅広い層が通っています。「スタッフみんなの積み重ねがあってこその結果ですし、自分たちがやってきたことは間違っていなかった」と雅美さんが力を込めた通り、相手に合わせたコミュニケーションを大切にする姿勢からは、トレーニングの提供だけではない、スタッフの熱意が感じられます。
利用者それぞれが様々な目的を持って通う中で、大井町スタジオとして、そしてトレーナーとして大切にしている考え方や雰囲気づくりについて大橋店長に伺いました。

大橋 ここに来て良かったと思ってもらえる場所にはしたいなと思っています。ただ声をかけるだけではなく、その方のことを考えて関わることを意識しています。その考え方はスタッフにも伝えていて、「何のために来てくれているのか」を理解してほしいと思っています。

特に心がけているのは、いろいろな会員様とコミュニケーションを取るようにしていることです。せっかくの30分という時間を使っていただいているので、良いトレーニングをして、気持ちよく帰っていただけるように気をつけています。一つでも嫌な出来事があると、どうしても強く印象に残ってしまうと思うので、そうならないように意識しています。

会員様一人ひとりとのコミュニケーションをするハイアルチ大井町スタジオは、社会的な課題にも挑んでいます。現在、定期的な運動習慣がある人は2割程度と言われている日本人。フィットネス産業が拡大していく中で、24時間営業や無人型など、さまざまな形のジムが展開されていますが、継続できるかどうかはその人次第。雅美さんは「結果が出る前に辞めてしまうことが理由の一つ」と分析します。

一方で、短時間で効率的な運動を提供するという専門性と強みを生かすハイアルチ。その役割は、地域の方々の健康を支えるだけでなく、日本人の運動不足の改善や、運動習慣の定着にも向き合おうとしています。

大橋 ハイアルチは30分で2時間分の運動量という特徴と、トレーナーのサポートがあり、結果も出やすい。忙しい方でも通いやすく継続しやすいところが良さだと思っています。

あとは子どもたちを指導する立場として考えていることはあります。それは「自分が好きなスポーツを嫌いになってほしくない」ということです。やっぱり、楽しいということがまず大前提に必要だと思うので、「楽しい」の中に「きつい」があるという感覚を持っていてほしいと思っています。それは、どのトレーニングもそうですが、ただ追い込むというよりかは「やり切った」という達成感だったり、自然に出る笑顔だったり、「楽しい」という気持ちをなくさないようにしてあげたいと思っています。

必ずしもプロになってほしいと思っているわけではありません。その子がプロになれなかったとしても、サッカー、野球、バスケットボールを、ずっと続けてくれたらいいなと思っています。もちろんその先でプロになれたらいいですし、その夢の後押しをできるようなジムになれたら良いなとは思いますが、誰もがなれる世界ではありません。だからこそ、楽しみながらここも続けてくれたらいいなと思っています。

変化の実感が大きなやりがいに

大橋店長が挙げる「楽しさ」を会員様に追求してもらうためにも、安全管理や一人ひとりに合わせた接客など、業務の中で細やかな配慮が求められます。その中で感じる、トレーナーとしてのやりがいや仕事の面白さはどのようなところなのでしょうか。

大橋 普段の生活では関わる機会がなかったような方が会員様として来てくださるので、「なるほど」と思うようなことを教えていただいたりします。普段は見えないような世界の話を聞けたり、見ることができるのは楽しいですね。自分自身も学べますし、成長できているなと感じることは多いですね。

あとはやっぱり、変化を報告してくださることはすごく嬉しいです!子どもであれば、「足が速くなった」とか、「走りのフォームが良くなった」「動きが良くなった」という報告はとても嬉しいですね。親御さんから「大橋さんのおかげでセレクションに受かりました」と言っていただいたり、一般の会員様から「体の調子が良くなった!」「痩せた!」といった報告が聞けることも同様に嬉しいです。このような関係性を築けていることはこの仕事のやりがいの一つかなと思います。こちらが会員様を思って関わっている分、返していただけるものがあるのはすごく嬉しいですね。

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筆者自身、取材前は低酸素トレーニングという専門性の高さから、ハイアルチはアスリートや競技力向上を目指す方に向けた施設という印象を持っていました。しかし、実際にお話を伺う中で感じたのは、一人ひとりの目的や悩みに向き合い体づくりを支える、幅広い世代が通える場所であるということでした。

最後に、今後のハイアルチ大井町スタジオの展望とともに、大橋店長と雅美さんご自身がこれから目指していく姿について伺いました。

大橋 現在、一般の方から子どもまで含めて400名ほどの会員様に通っていただいていますが、まずはそういった方たちの満足度を落とさないことが大切だと思っています。そのうえで、今後どれだけ会員様を増やしていけるかというところや、大井町スタジオとしてのサービスの質、指導の部分も、今の状態に満足することなく、さらに良くしていけるよう取り組んでいきたいです。

また、スタッフとしては、チャレンジすることを怖がらない人と一緒に働けたらいいなと思っています。基本的に、ミスをしない人はいないと思っていますし、失敗しても周りがカバーできる環境があります。まずは挑戦してみようという気持ちを持っている方が、この環境には合っているのかなと思います。

井納 会員様を大事に思う気持ちを忘れないことを第一に。そのうえで、もっと大井町で認知度を高めて、多くの方に選ばれる店舗にできたらいいなと思っています。また、女性の方やご年配の方など、まだ届いていない層にも、もっとアプローチしていけるといいなと思っています。低酸素トレーニングというと、まだ少し専門的なイメージがあるかもしれませんが、もっと敷居を低くして、「日常のトレーニングの一つとして取り入れられるもの」と知っていただけるように、その良さを広めていけたらいいなと思っています。

あとは私の中で、一生懸命働いてくれているスタッフを本当に大事にしています。資格の援助だったりとか、何かやりたいことが出てきた時には本気で応援しようと思います。そういった相談をしやすい環境は整えています。

【PROFILE】

井納 雅美(いのう まさみ)

2022年、「ハイアルチ大井町スタジオ」をオープン。
元プロ野球選手・井納翔一氏とともに運営を担い、現在は400名以上の会員が通う店舗へと成長させている。学生時代はバドミントン部に所属。

大橋 淳(おおはし あつし)

「ハイアルチ大井町スタジオ」店長・トレーナー。スポーツ歴はサッカーで、小中学生を対象としたサッカーコーチを8年間経験。現在はトレーナーとして子どもから大人まで幅広い会員の体づくりをサポートしている。

趣味はサッカーをすること・観ること。野球も好きで、野球観戦やキャッチボールも楽しんでいる。

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

設立年月 2017年07月
代表者 井納雅美
従業員数 9名(アルバイト含む)
業務内容

・『ハイアルチ大井町』のフランチャイズ運営

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