『裏切らない価値』と『ワクワク感』を日本へ —— SMITHの真価を広める、エス・エム・ジェイの挑戦

株式会社エス・エム・ジェイ 代表取締役 福地 良

『裏切らない価値』と『ワクワク感』を日本へ —— SMITHの真価を広める、エス・エム・ジェイの挑戦

株式会社エス・エム・ジェイ 代表取締役 福地 良

スノースポーツに興味がある人なら、一度は耳にしたことがあるだろうブランド、SMITH(スミス)。1965年にアメリカで誕生し、機能性と信頼性を武器に、ゴーグルやヘルメットといったウィンタースポーツに欠かせないツールを展開し、世界中で高い評価と人気を誇る老舗ブランドです。そのSMITHの輸入総代理店を務めるのが、株式会社エス・エム・ジェイ(SMITH JAPAN)。富士山を望む自然豊かな小田原市に本社を構え、広々としたショールームも併設しています。
今回お話を伺ったのは、代表取締役の福地良さん。ご自身の競技経験を背景に、SMITHというブランドの魅力、そして今後のさらなる展開を見据えたビジョンについて語っていただきました。

(取材・執筆:齊藤 僚子、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)

使う人の笑顔のために──スミスプロダクトの“ワクワク感”を届けたい

1997年に設立された株式会社エス・エム・ジェイ。前代表から事業を引き継ぎ、現在は福地さんが二代目としてその舵取りを担っています。組織を率いる立場として多忙な日々を送るなかでどのような経緯で同社に加わり、現在に至ったのでしょうか。まずはその歩みについて伺いました。

「私は2011年に入社し、もうすぐ丸15年になります。先代はこの会社の創業者で、定年を迎えたことを機に退任し、そのタイミングで私が事業を引き継ぎました。正確に言うと、現在はもう一人の代表とともに、共同代表という形で経営を担っています。それぞれの分野を活かしながら、二人で会社を引き継ぎました。
私はもともとスノーボードの選手として活動していました。ただ、選手としては思うような結果を残すことができず、30歳頃まで続けたのち、一度区切りをつけて競技から離れました。でもやはり、自分がこれまで経験してきたことを伝えられる仕事に携わりたいという思いが強くあり、スノースポーツ業界へと進みました。実は当社に入る前に、別のスノーボードウェアの会社に入社したのですが、入社から10ヶ月ほどで倒産してしまったんです。当時は会社を立て直せるような状況でもなく、自分自身も業界では未熟だったこともあり、悔しさが残る経験となりました。

その後、転職活動を経て当社に入社しました。前職で会社がなくなるという経験をしたことで、『簡単な仕事ではない』という現実も理解していましたし、だからこそ一年一年を大切に、必死にやっていこうという思いが強くありました。自分にできることはすべてやろうと決め、当時は休みもほとんどないような働き方で、がむしゃらに仕事に向き合っていましたね。」

当時のスノースポーツ業界では、スミスというブランド自体の認知はあったものの、そのテクノロジーや魅力は十分に伝わっていなかったと福地さんは振り返ります。競技者として道具にこだわってきたからこそ、ゴーグルは「ただかけるだけのもの」ではなく、「高度な機能が詰まったギア」であるということを広く伝えていきたいと考えたといいます。

「スミスを扱うお店の方も、購入されるお客様も、デザインや価格など、自分の好みに合うかどうかをすごく大事にされています。その中で、スミスは双方に幅広いバリエーションがあるブランドだと思います。ゴーグルから始まって60年以上続いている会社なので、その歴史やこだわりをしっかり伝えていきたいなと考えています。


ゴーグルやヘルメットは、ただ『使ってください』というものではなく、スポーツを楽しむための重要なアイテムです。たとえば山の頂上まで行って大雪の中で滑るとき、視界が見えづらいと意味がないですよね。お客様はそこを快適に過ごすためにわざわざ足を運んでくださるので、期待を裏切らないアイテムを届けたいんです。ヘルメットは、万が一転んでも頭を守り、翌日普通に仕事に行けて、家族と生活できて、そしてまた来週も滑りにいける――そんな安心感を考えて作っています。ゴーグルやサングラスも同じで、紫外線や太陽光から目をしっかり守ります。そしてスミス独自の技術で、鮮やかで“ワクワクする見え方”をするんですよ。体の一部のように自然に溶け込む道具というのかな、そんなふうに使ってもらいたいですね。」

スミスを日本に根付かせるための工夫と、そこに込める思い

株式会社エス・エム・ジェイでは、ジャパンモデルの提案なども積極的に行い、長年にわたり日本でブランドを根付かせる工夫を続けてきました。私たち日本ユーザーの特性を活かした製品づくりにも、同社は大きな役割を果たしています。

「日本人特有の体格や顔立ちに合わせた『ジャパンフィット』は必須です。特に接眼するスポンジ部分に隙間があると、曇ったり雪が入り込んだりしてしまいます。こうした課題に対して、先代から日本向け仕様をアメリカ本社にフィードバックし、プレゼン資料を作って交渉してきました。
アメリカは晴天かストームかといった極端な気候が多く、さらにユーザーの目の色の違いもあり、濃いレンズが主流となっています。一方、日本では晴れていたと思ったら急に雪が降ったりガスがかかったりと天候が変わりやすく、オリジナルでは不十分です。そこで、日本で快適に使えるレンズ設計を提案しています。スミスの調光レンズは太陽光で色が変わりどんな天気でも見やすく、10年以上前から進化を続けています。上位モデルは視界が30%広くなる設計を取り入れていたり、マグネットで簡単にレンズ交換もできるなど、コンディションに合わせて使い分けられたりします。価格は7万円ほどしますが、結構選んでいただけるんです。

だからといって、明日初めてスノーボードやスキーをする人が使ってはいけないアイテムではないというのもポイントです。スキーやスノーボードの板は、上級者向けのものを初めて滑る人がいきなり乗れるかといったら、やっぱり難しいじゃないですか。
だからこそ、初心者からベテランの方まで、幅広い層に気に入ってもらえるようなラインナップを意識しています。
気軽に試着してもらって、『ちょっといいな』と思ったら、ゆっくりじっくり考えて購入してもらう。そんな距離感で接してもらえるブランドでありたいですね。特にこういうアイテムって、板やブーツと違ってお店では、接客されることが少ないポジショニングのアイテムなんですよね。だからこそ商品の正しい知識と、この熱い思いをお客様に伝えてもらえるよう、お店側に情報をしっかり届けることも私たちの大切な仕事だと考えています。」

ジャンルを越えてつながる、スミスのコミュニティ

スミスへの思いを、穏やかな語り口の中に熱を込めて語る福地さん。その姿からは、商品を通じて関係性を築きながらブランドを育てていく、長年の丁寧な向き合い方が伝わってきます。その積み重ねが、お店とお客様の距離を縮め、ファンの広がりへとつながっているように感じます。

「嬉しいことに、お店で販売のお手伝いをしたお客様が、翌年もまた来てくれたりするんです。まだまだゴーグルは使える状態なのに『次のモデルも欲しくなった』と買っていただいた瞬間や、ゲレンデでの試着会で毎年会いに来てくれるお客様の姿を見ると、本当に嬉しくなります。そういうときはお店のスタッフを飛び越えて直接動くことは避けるようにしていて、必ずスタッフの方と協力しながら対応するようにしています。そうしていくうちに、お店のスタッフの方とも自然と仲良くなれる。皆さん、本当に楽しんでいて、笑顔があふれているんですよね。その様子を見られることがこの仕事の楽しさであり、やりがいでもあります。


また、現場に出向くという点では、競技をしている方々のサポートにも関わっていますので、ピリピリした緊張感のある会場に行くこともあります。選手たちが商品を本当に気に入って使ってくれているのを見るのは嬉しいですし、これまでもファミリーのような関係でやってきました。サポートしている戸塚選手がオリンピックで金メダルを取ったときは、『我々もますます頑張らなくては』と思いました。そうした場で、渾身の滑走がうまくいく手助けができていると思うと、とても誇らしいですね。」

ブランドの広がりを支えているのは、プロダクトの魅力だけではありません。福地さんは、さまざまな競技や選手とのつながりを大切にしながら、ジャンルを超えた関係性づくりにも積極的に取り組んでいます。

「年に一度、“スミスライダーミーティング”といってサポートしている選手に集まってもらう機会があるんです。現在だいたい70人くらいですかね。スノー系だけでなく、自転車や釣り、サーフィン、トライアスロンなどの選手や、さらには日本にマウンテンバイクを広めたレジェンドの方まで、本当にいろんな人に集まっていただいているんです。そこでバーベキューを楽しみながら、懇親の場を設けているのですが、異なるジャンル同士で自然とコミュニケーションを取れる場になるんですよね。こういう場をつくれるのは、ゴーグルやヘルメット、サングラスといったアイテムを通して幅広いスポーツに関わっている、うちのブランドならではだと思っています。こうした取り組みも、大切にしていることの一つですね。」

スミスのイメージを守りつつも、新たな挑戦は積極的に

この先50年、100年後にも、ウィンタースポーツを通じて楽しさを伝えられるアイテムを提供していきたい――。そう語る福地さん。その思いを実現するために、社内でアイデアを出し合い、スタッフたちが新しいことにチャレンジできる場も積極的に作っていきたいと話します。

「私たちの業界は、どうしても自然環境に左右される部分が大きく、もし来年、雪が降らなければゲレンデも開かず、商売としては難しくなってしまいます。それが2年、3年と続いてしまうと、スノー関連の売上が取れなくなる可能性もあります。だからこそ、新しい売上の軸をつくっていく必要があると感じています。何ができるのか、何をやっていくべきなのかは常に考えていますし、社員の意見も聞きながらさまざまなアイデアを出してもらっています。技術の詰まったサングラスは、ファッションや他のスポーツ分野にもさらに広げていけると思っていますし、今あるプロダクトをどう展開していくかというのは、比較的取り組みやすい部分かなと思っています。」

自然という大きな存在と向き合い続けてきたからこその福地さんの言葉。ブランドの伝統を守りながら、いかに新しい風を吹き込むかを考え続ける福地さんが次に取り組みたいことは、競技の枠を跳び越えたものとなっています。

「それから、チャレンジしたいことで言うと、バスケットボールのチームをサポートするなど、これまでにない切り口も面白いのではないかと考えています。室内競技でサングラスをかけるわけではないですが、インパクトはありますし、面白いじゃないですか(笑)。どれだけ反響があるかはもちろんわかりませんが、やってみたいですね。
さらに、今の若い世代はスキー場に行って『滑る』というよりも、グラウンドトリックのような遊び方を楽しんでいる人たちも増えています。そうした層はゴーグルではなく、サングラスを選ぶことも多いんですよね。そういったスタイルの変化にどうアプローチしていくかも考えています。無理に一箇所に寄せすぎず、癖をつけすぎないプロダクトをつくっていく。そのあたりは常に意識していますね。
これからは、こうしたチャレンジを積み重ねていく時代だと思います。『こうしなければならない』というマニュアルはないので、仲間になっていただける方にも、まずは自分なりのやり方でチャレンジしてもらえたらと思います。広い視野を持って一緒に取り組んでくれる仲間とブランドを広めていけたら嬉しいですね。」

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【PROFILE】
福地 良 (ふくち りょう)
株式会社エス・エム・ジェイ代表取締役。
高校時代にスノーボードと出会い、ハーフパイプ選手として活動。年齢を重ねるにつれて、滑る楽しさだけでなく、山の自然や空気に触れる時間そのものにも魅力を感じるように。 一児の父として、仕事とプライベートの両立を大切にしている。

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

設立年月 1997年05月
代表者 福地良
従業員数 7名
業務内容

スポーツ用品卸業

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