スポーツクラブを「毎日のように行く場所ですが、非日常を味わえる場所でもありたい」と語るのは、ビバスポーツアカデミー南草津の副支配人。新卒で株式会社ビバに入社し、今年で10年目になる。体を動かすことが好きで、「好きなことばかりできそう」という理由で決めた就職先でしたが、今は来店する会員とのコミュニケーションを何よりも楽しんでいるといいます。何度も辞めようと思ったこともあるという副支配人が、今日も楽しくビバスポーツアカデミーで働いている理由は何なのでしょうか。
(取材・執筆:小林 千絵、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)
──新卒でビバに入社されたということですが、ビバに入社した経緯を教えてください。
フィットネス系の専門学校に通っていたときにビバの人事の方が会社説明に来て。幼少期、ビバスポーツアカデミーのスイミングスクールに通っていたのでもともとビバという会社は知っていたこともあって、受けてみようと思ったのがきっかけです。
──もともとビバさまとは幼いころに出会われていたのですね!学生のころは、インストラクターなど、フィットネス関連のお仕事に就きたかったのでしょうか?
インストラクターになりたいというわけではなく……。水泳やダンスを習っていたこともあり、漠然と「好きなことばかりできそう」という考えで専門学校に通っていました。
──では具体的に将来像が見えてきたのはいつ頃だったのでしょうか?
専門学校の授業の一環としてインストラクターの実習に行ったとき。そこで楽しさを知って、やってみたいなと思うようになりました。
──インストラクターになりたいとは思わなかったところから考えが変わるほどの実習だったのですね。どういうところが楽しかったのでしょうか?
人とのコミュニケーションですね。当時、飲食店でアルバイトをしていたのですが、ジムだと会員制だから一度きりのコミュニケーションにならないんです。何度も顔を合わせているうちに仲良くなったり、認知していただけたりするじゃないですか。そういったところが楽しいなと感じました。
──そしてビバのインストラクターとして働き始めたわけですね。働き始めた頃、「こういうインストラクターになりたい」などといった目標や夢は何かありましたか?
専門学校に通っていたので、学んだことを活かして働いてみようというくらいで入社を決めたんですよ。だから目標や夢は全然持っていなかったです。
──そこから10年間ビバで働いているわけですが、具体的にどのようなことをされてきたのか教えてください。
入社した当初は現場に立つことが多かったです。半年経つとレッスンを1人で持たせてもらえるようになって、そこから、商品業務、売上業務などにも少しずつ携わるようになりました。そのあとはエリア長をさせてもらいながら、スタジオインストラクターのオーディションの委員会にも入らせてもらえるようになりまして。先輩と一緒に、オーディションに来られるインストラクターさんを見させてもらうようになって、少しずつ育成にも携わらせてもらうようになりました。4年目のときには子ども向けのスイミングスクールの立ち上げに加わらせてもらって、7年目くらいで副支配人になり、経営なども見るようになって、今に至ります。
──ご入社されてから幅広くお仕事をされているのですね。ご自身では想像していなかった業務はありますか?
入ってすぐにインストラクターさんのオーディションに携わらせていただいたのにはびっくりしました。そういうオーディションは本社の人がやるイメージで、現場のスタッフがやるとは思わなかったので、早々に見させていただく機会があるというのは考えていなかったですね。
──実際にやってみて、現場のスタッフがオーディションに携わることの良さは何か感じましたか?
インストラクターに対してどういうことが求められているのかというのは、現場で会員さんを見ているとわかるんですよね。「この雰囲気だったら会員の方にも好かれるんじゃないか」みたいなものって店舗によって少しずつ違ったりもするので。実際に今働いていらっしゃるインストラクターさんのカラーもわかるので、「ここの会員さんにはこういうところがあると気が合いそうだな」と、的確な判断ができるのが良いなと思います。
──確かにそれは、現場にいるからこそ判断できることですよね。
現場を見ていない人がオーディションをやろうとすると、出来る/出来ないというところだけを見ちゃうと思うんです。だけど、実際に教えるには、スキルだけでなくて人柄や雰囲気、物の言い方なども大切で。そういうところが自分たちで見られるというのは良いですね。
──数々のお仕事をされてきて特にうれしかったことや喜びを感じたことを教えてください。
やっぱり、会員さんがクラブに来てくださることが1番うれしいです。自分のスタジオレッスンに有給を使って来てくれたり、うちのクラブのイベントの優先順位を高くしてくださっていたりすることもあって。それは当たり前のことではないですし、ものすごくありがたいことやなと感じています。実際に「仕事を早く終わらせて行くね」とか「この日は絶対に他の予定を入れへん」とか直接言っていただけることもあり、本当にありがたいです。
──とはいえ、大勢の方々が通うスポーツクラブで信頼関係を築くことは簡単なことではないと思うのですが、信頼されるために何かしていることや心掛けていることはあるのでしょうか?
入ってくださる方のお名前はできるだけ覚えるようにして、「○○さん!」と名前を呼んでから話しかけるようにしています。今だとシステムで、会員の方と顔写真とお名前が連動して出てくるようになっているのですが、入社した当初は顔写真が出るシステムではなかったので、先輩のスタッフに「あの方のお名前、何ですか?」と聞いたりしていました。インプットしては、なるべくすぐアウトプットすることで忘れへんようにということはしていますね。
──インストラクターに興味を持ったのも、実習でインストラクター業務をやった際に会員の方とコミュニケーションを取ったのが楽しかったからとおっしゃっていましたもんね。
そうですね。スポーツクラブの会員の方って、年配の方もいらっしゃれば、会社帰りの方もいらっしゃるし、お子さんもいる。こんなに幅広い年齢層の方と関わらせてもらう仕事ってなかなかないと思うんです。それも面白さの一つですね。
──働く中での喜びや面白さを感じられていらっしゃいますが、10年間続けているなかで、正直、辞めたいなと思ったことって……ありますか?
いっぱいあります(笑)。
──それでも続けられたのはどうしてなのでしょうか?
働くスタッフのことを考え、臨機応変に対応してくれるからですね。中小企業なので、上司と距離がすごく近くて、すぐに連絡が取れるし、気軽に相談できるんです。それに、「会社としてこう決まっているから」と一辺倒な対応ではなく、「じゃあこうしてみよう」と提案もしてくれます。
──何か具体的なエピソードがあったのですか?
子どもが生まれたときに当時の業務形態だと育児の時間があまり取れないので、辞めて別の仕事をしないといけないなと思っていたんですが、上司に相談して働く時間や条件を変えてもらうことができました。
──生活にあわせて働き方を相談できるというのは働くうえですごく大切なことですよね。そのほかに、ビバという会社の働きやすさや居心地の良さを、どのように感じていますか?
先ほどの内容と近いことではありますが、上の人との距離が近いがゆえに、自分たちで、ある程度いろんなことを考えられるということですね。他社さんだと、イベントをやるにしても、全社で統一して「こういうイベントをします」となると思うんですが、ビバはイベントの内容はもちろん、キャンペーン内容も配布するチラシも、会費も、全部店舗によって違うんですよ。全部、店舗ごとに決められるんです。
──店舗ごとということは現場で働くスタッフが決められるということですか⁉
はい。会員さんへどうアプローチするのかというところも店舗スタッフで考えられる。それはすごくやりがいでもありますし、意見を聞いてもらいやすいという点で働きやすさにもつながっているのかなと思います。
──自分たちが主体となって動けるからこその働きやすさに繋がっているのですね。ビバスポーツアカデミー南草津で行ったイベントやサービスで、特に印象的なものがあれば教えてください。
南草津の会員の方々は、スタジオのレッスンを入れている方がすごく多いんです。予約数が他の店舗と比べて圧倒的に違う。だからこそ、外部のインストラクターさんを呼んでイベントを実施するなど、スタジオレッスンには力を入れています。あとは駅前にあるので、会社帰りの会員の方も多く、体脂肪率を下げた分だけ商品券をプレゼントするという、通いやすくなるキャンペーンを実施したこともありました。
──その施設の会員の方々の傾向に合わせた企画で面白いです!ちなみに、スタジオの熱が高いのはどうしてなのでしょうか?
一番の転機はコロナの流行ですね。コロナ禍で近隣のジムは、営業時間を短くしたり、レッスンの本数を減らしたり、オンラインに切り替えたりしていたんですが、うちは一切オンラインを取り入れませんでした。対策をしながら、リアルにこだわって通常営業を続けました。それが大きかったのかなと思います。
──ビバスポーツアカデミーというクラブを、この先どういう場所にしていきたいと考えていますか?
南草津店で言うと、やはり会員さんを増やしていきたい。そのためには、初めての人でも安心して来てもらえる場所にしたいと思っています。来た方が、誰でもいいのでスタッフ一人としっかり話すことができるクラブにして、「ここのクラブはスタッフがちゃんと教えてくれるし、サポートしてくれる」と思ってもらえるような場所にしたい。「この人に会いに来た」と思えるようなスタッフやインストラクターが揃うジムが理想ですね。
──ビバに入社した当初は理想像や将来像はなかったとおっしゃっていましたが、現在の個人の夢として、今後ビバでやってみたいことや成し遂げたいことはありますか?
新店舗を一から立ち上げてみたいです。どういうコンセプトで、どういう外観で、どういうプログラムをするか、導線はどうするかなどすべてを自分の手で一から考えてみたいです。
──実際に実現できるとしたら、どんなクラブを作りたいですか?
日常を忘れてもらえるような場所にしたいです。スポーツクラブは毎日のように来る場所ですが、少しでも非日常を感じてもらえる場所でもありたいんです。例えばスタジオレッスンだと、音楽にあわせて体を動かしますが、日常のなかで音楽を全身で感じることってなかなかないじゃないですか。だから、そういう「非日常感を味わいにいく」と思ってもらえるような場所を作れたらいいなと思っています。
【PROFILE】
ビバスポーツアカデミー南草津の副支配人
幼少期にビバスポーツアカデミーに通っており、学生時代に再び出会い新卒入社。10年間で幅広い業務に携わり、今では新店舗の立ち上げをしてみたいそう。
設立年月 | 1973年04月 | |
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代表者 | 小森敏史 | |
従業員数 | 正社員:64名/契約社員:6名/パートナー社員:292名 | |
業務内容 | 〇スポーツクラブ事業
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