「女子サッカーの役に立ちたい」12年前に芽生えた思いをつないだ、JFAからの手紙。

𝗪𝗢𝗠𝗘𝗡'𝗦 𝗙𝗢𝗢𝗧𝗕𝗔𝗟𝗟 𝗽𝗵𝗼𝘁𝗼𝗴𝗿𝗮𝗽𝗵𝗲𝗿 まゆ/Mayu

「女子サッカーの役に立ちたい」12年前に芽生えた思いをつないだ、JFAからの手紙。

𝗪𝗢𝗠𝗘𝗡'𝗦 𝗙𝗢𝗢𝗧𝗕𝗔𝗟𝗟 𝗽𝗵𝗼𝘁𝗼𝗴𝗿𝗮𝗽𝗵𝗲𝗿 まゆ/Mayu

女子サッカーを観戦するため、大学進学と同時に福岡から上京した、川中真優さん。2011年に、サッカー日本女子代表の「なでしこジャパン」がFIFA女子ワールドカップで初優勝を果たしてから12年間、変わらない熱で女子サッカーを応援し続けている。シーズン中はカメラを片手に毎週末スタジアムへ足を運び、選手たちの姿を撮影。女子サッカー選手の写真だけで構成されるインスタグラムのフォロワーは、3500人を超えた。

小学生のときに女子サッカーの仕事に関わりたいと思った川中さんは、公益財団法人日本サッカー協会、JFAに手紙を書いたことがあるという。そのときにもらった返事は今も手元に残っている。来年の春に社会人になる川中さんが、女子サッカーにかかわり続ける中で決めた今後の進路。決断したその道は、小学生の頃に抱いた「女子サッカーの役に立ちたい」という思いとつながっていた。

(取材:伊藤千梅 編集:伊藤知裕)

テレビにいる遠い存在から、実際に「見たい」に変わったきっかけ

川中さんが観戦する女子サッカーの試合は、プロリーグであるWEリーグから、アマチュアリーグのなでしこリーグ、大学サッカーにユース年代と、カテゴリーは幅広い。また、日本各地に好きな選手がいることから、東京から北海道へ応援に駆け付けることもある。

「選手はいつ引退するかわからないので、応援できる間に試合を見に行かないと」

そう話す川中さんは、2023年7月に開催されたFIFA女子ワールドカップにも、開催国であるオーストラリアとニュージーランドに足を運んだ。

選手のためであればどこへでも向かう川中さんが、初めて女子サッカーと出会ったのは、なでしこジャパンが世界一になった12年前。10歳だった川中さんは、当時水泳を習っていた。平日5日間練習をし、土日は試合に出場するなど、休みなく競技に打ち込む毎日。世界の舞台で初優勝を飾ったなでしこジャパンに、競技者としての自分を重ねていた部分もあるそうだ。

「私自身は水泳で、九州大会までは突破できたけれど、その先の全国大会にはなかなか出場することができませんでした。結果を出すには、それだけ努力を積み重ねないといけないことを知っていたからこそ、世界の舞台で結果を出していた女子サッカー選手たちがかっこいいと思いました」

川中さんが、実際に試合へ足を運んだのは、なでしこジャパンが優勝した翌年。きっかけは世界一になったときの代表メンバーで、現在もアメリカのリーグで競技を続ける、川澄奈穂美選手のブログだった。

「サッカーの中継だと、試合結果やプレーしかわからないので、サッカー選手は競技しかしていないイメージが生まれていました。でも、なほさん(川澄選手)はブログで、練習前後のチームメイトとの様子や、自炊の写真をアップしていたのが新鮮で。それによって、テレビの中の遠い存在だったのが身近に感じるようになり、実際のプレーも見に行ってみたいと思うようになりました」

そして、川澄選手が川中さんの地元、福岡県のチームと対戦したときに初めて女子サッカーの試合を観戦した。その日、川澄選手の出場機会はなかったが、川中さんは満足だったという。

「そもそもサッカーの詳しいルールもわからなかったので、競技を見に行くというよりも、なほさんを見に行く感覚でした。試合には出ていなかったけれど、好きな選手を直接見ることができただけで舞い上がっていましたね」

女子サッカーが日常を頑張る源

川澄選手のチームは観戦するには遠かったことから、地元のチームの選手たちも応援するようになった。大学に進学する際は、女子サッカーを応援したいがために、いきたい学部のあった大学の中から、東京にキャンパスのある大学を選択。大学4年生になった今でも、女子サッカーを中心とした生活を送っている。

サッカーの試合中は、決してうまくいくことばかりではない。それでもピッチで必死に走っている姿そのものに、力をもらっていると川中さんはいう。

「応援している選手が、1試合の中で何本もシュートが決まらなかったり、裏へ走り込んでいるのに味方からのパスが来なかったりすることもあります。それでも、うまくいくまでチャレンジし続ける姿がかっこいいです。それでゴールが決まったときには、胸がいっぱいになります。また、試合には勝てなかったとしても、体を張って守備するところなどにも心を動かされています」

寝る前や日常から選手たちのことを考え「今週末もみんな頑張っていたから、私も頑張ろう」と自分を奮い立たせているという川中さん。女子サッカー選手の存在が、1週間頑張る源だとうれしそうに話してくれた。

選択肢をくれたJFAからの返事

川中さんが初めて女子サッカーの仕事に就きたいと思ったのは、小学生の頃。

「女子サッカー、なでしこジャパンのことがとにかく好きで。将来は、女子サッカーの役に立つことをしたいと思っていました」

しかし、女子サッカーにかかわるためには、どんな仕事についたら良いのかがわからなかった川中さんは、JFAに手紙を書いたのだという。

それから少し時間をあけて、JFAのコミュニケーション部から、サッカーに関わる仕事の冊子と、手紙の返事がきた。JFAは大きな組織ではないため新卒採用はしていないけれど、JFA以外にもサッカーに関わる仕事はたくさんあるということ。それから「これからも楽しんで応援していただけたら幸いです」と書いてあったそうだ。

「手紙を送ってから少し時間が空いていたので、返事が返ってきたことにびっくりしました。送ってもらった冊子をみて、こんなに色んな職業があるんだと思った記憶があります。あのときJFAの方から返事をいただいたからこそ『女子サッカーを仕事にできるんだ』ということを知ることができました」

女子サッカーの写真を撮る仕事に

あれから10年の時を経て、一介のサポーターだった川中さんは、2021年になでしこリーグのチームのオフィシャルカメラマンを担当。翌年7月にはEAFFE-1 サッカー選手権2022決勝大会に向けた練習で、なでしこジャパンの写真も初めて撮影した。

初めて試合を見に行ったときから、自然とカメラを持っていた川中さんが写す選手たちの写真には、楽しそうな表情が多い。

「真剣勝負だけれど、プレー中も笑顔をみせる選手が意外と多いです。試合が楽しくてたまらないという表情をしています。試合中だけでなく、アップとかでも楽しそうにボールを蹴っている選手をみると『サッカーが好きなんだな』と思って撮りたくなりますね。選手たちがサッカーをしている時間は過ぎてしまうけれど、写真を撮っていたら残ります。だから、選手たちがプレーしているかけがえのない時間を、残していきたいです」

そして大学4年生の今、川中さんは「女子サッカーのフォトグラファー」としての道を進むことに決めたそうだ。

「女子サッカー以外の分野に就職しようと思った時期もあったけれど、女子サッカーの役に立ちたいという思いは、この年までずっと持っていました。JFAからの返事をもらわなかったら、幼いころからの気持ちを、ここまではっきり覚えていなかったと思います」

JFAからの返事によって、女子サッカー関係の仕事をするという目標がずっと側にあったという川中さん。その後、多くの女子サッカー選手と関わる中で、最終的に「好きなことを仕事にしよう」と気持ちを固めた。もしあのときに返事をくれたJFAの方に会えるとしたら「今でも、女子サッカーが好きですと伝えたい」と笑みをこぼした。

女子サッカーがあったから、夢を持てた

来年の春から女子サッカーのフォトグラファーとして活動していく上で、今後はこの業界で出会った人たちに恩返しをしていきたいという。

「写真は、カメラがあれば誰でも撮れるものだけど、より選手と向き合って、その人が1番かっこいい瞬間を届けていきたいです。これまで、選手から元気をもらい、サポーターさんたちにも可愛がってもらって、女子サッカーに関わる人たちに本当にお世話になった12年間でした。今後は仕事として、女子サッカー界の役に立てたら、そんなうれしいことはないなと思います」

12年前、JFAから手紙の返事をもらった封筒には「夢があるから強くなる」と書かれたロゴが入っていた。そして、初めてなでしこジャパンのカメラマンをしたときに渡された関係者の札にも、同じ言葉があったそうだ。

「女子サッカーには夢があると思います」と川中さんはきっぱりと言う。サポーターから、前例のない女子サッカーのフォトグラファーへ。これからは自分の夢に挑戦していく。

【PROFILE】川中 真優(かわなか まゆ)

2011年になでしこジャパンがW杯で優勝したときから12年間、女子サッカーを応援している女子大生。川澄奈穂美選手のブログを読んだことが観戦のきっかけ。2023年7月にオーストラリア&ニュージーランドで行われたW杯は、初戦から決勝まで観戦した。女子サッカー選手の写真だけを投稿しているインスタグラムのフォロワーは3500人を越している。今後は女子サッカーのフォトグラファーを目指していく。

Instagram:まゆ/Mayu⚽️📸(@ndskmayu9_photo_) • Instagram写真と動画

Twitter:まゆ/Mayu

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