プロバスケ『B.LEAGUE』は今、まさに戦国時代。2026年に始まる新リーグでは、これまでのように[B2]→[B1] ないしは [B1]→[B2]といった昇降格がなくなり、NPBのようにトップチームだけで構成されることになる。まさに新B1参入に向けて、B1~B3までの各クラブが群雄割拠の時代を生き残るため、バスケットボールを通じた新たな価値創出に向けて歩みを続けている。
さて、あなたはB3リーグに所属する『横浜エクセレンス』というクラブをご存知だろうか。
2012年~2021年まで『東京エクセレンス』として、東京都板橋区をホームとして活動。2021年から神奈川県横浜市に移転し名称変更したことで『横浜エクセレンス』になったクラブだ。Bリーグ創設前のNBDLで3連覇を成し遂げた注目株が、Bリーグ開幕以降に歩んできたこれまでと、2026年の新B1参入に向けた採用計画について、今回は『横浜エクセレンス』の代表取締役・向井昇氏に話を伺った。スポジョバ初の連載企画として、8週にわたり掲載する。
競技に関係なく、プロチームが本拠地を移転したケースは非常に珍しいと言えるだろう。また、クラブ存続の危機にもあったにも関わらず、全てをクリアにできたクラブの歴史は涙無くして見られないだろう。そして何より、向井氏の想いを知り、同クラブに興味を持たない人はほぼいないだろう。これはきっと、あなたの未来にも繋がる物語だ。
(取材:構成=スポジョバ編集部 小林亘)
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__リミットが迫る中で、経営改革を行えた向井さんの行動の賜物だと思うので、お話を聞いててこちらもホッとすると言いますか。
向井:はい、加藤製作所の100%子会社になることにより、経営面の安定が見えてきたので、一安心したというのが正直な気持ちでした。そして、クラブ経営にとって、選手に資金を費やすのはもちろん重要ですが、それを支えるフロント陣の補強も非常に大事な要素です。そこも納得いく強化が出来、秋から始まる2018-19シーズンを無事に迎えることができたんです。
__ただ、次はホームアリーナ問題ですよね……?
向井:そうです。経営改革はできたものの、ホームアリーナ問題は解決に至りませんでした。それこそ小豆沢体育館の増改築・板橋区内の新アリーナ構想は白紙のままで、経営改革と同じタイミングでアリーナ問題解消に向けて動き、多方面との折衝は続けていました。
そんな中で、アリーナは公設公営(公共施設:建設や管理運営ともに行政が行う施設)のものが多いのですが、お金を投資して民設民営(民間施設:建設や管理運営ともに民間に委ねる施設)のアリーナを造ってしまえば、話が早いのではないかという結論に至ったんです。最終的に『東京23区内に民設民営のアリーナ建設計画』というものを、加藤製作所も入って立ち上げ、リーグに申請して認められたんです。
__無いものはもう、造るしかない!と、非常にシンプルな結論になったわけですか。
向井:「もう経営も、アリーナも大丈夫だ!」って安堵しましたし、お陰様で迎えた2018-19シーズンは、54勝6敗。ホームは30連勝で負けなし。本当に負けなくて、強いエクセレンスのまま、ぶっちぎりでB3優勝。経営改革もアリーナ問題も解消されB2ライセンスも交付となったことから、2019-20シーズンから再びB2を舞台に活動できることになったんです。あのシーズンは、本当に印象的ですね。
__ようやく大丈夫!となったとは思うのですが、すみません、蓋を空けて見ると今横浜にいらっしゃいますよね。23区内の新アリーナは……。
向井:仰る通りで、再び壁が立ちはだかるんです。2019年7月に『2026年からの新Bリーグ構想』が発表されたのですが、それにおける新B1加入の基準が、「5,000席以上のアリーナ確保」となっておりました。
……その時に計画していた『23区内の民設民営の新アリーナ』は、どう多く見積もっても3,000席が限界でした。「3,000席では新B1加入は認められず」というのがリーグの見解でしたので「もうこのアリーナを建てても仕方がない」という事になり、民設民営の新アリーナ計画を白紙に戻しました。また、2019年は新型コロナウイルスによるパンデミックが起き始めた年で、B.LEAGUE自体も興行が中断、そのままシーズン終了した形になった1年だったんです。そこで「アリーナ計画が白紙になった」ということで、またB2ライセンスが不交付になり、成績も経営状況も関係なく、2回目のB3降格となりました。いつも私たちの前には大きな壁が立ちはだかります。ただ、そんな中、一筋の光が差し込んで来ました。
>>>次回『関内・関外エリア再開発という超目玉に飛び込む"余所者"』につづく
設立年月 | 2016年07月 | |
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代表者 | 桜井直哉 | |
従業員数 | 25 | |
業務内容 | バスケットボールクラブの運営
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