「カメラマンの〜……もとです!」はこうして生まれた!川崎ブレイブサンダースを盛り上げるクリエイターの”仕事論”【前編】

川崎ブレイブサンダース 石川 元 (広報部・カメラマン)

「カメラマンの〜……もとです!」はこうして生まれた!川崎ブレイブサンダースを盛り上げるクリエイターの”仕事論”【前編】

川崎ブレイブサンダース 石川 元 (広報部・カメラマン)

2021年3月の第96回天皇杯優勝。しかし叶わなかったB.LEAGUE制覇。オフには辻直人選手の移籍、前田悟選手の獲得などビッグニュースも飛び込んできた。感動も涙も笑顔も。選手と一緒に間近に感じてきた人物が、川崎ブレイブサンダースにはいる。

今回密着したのは同チームのYouTubeでもお馴染み「カメラマンのもとでーす!」の石川元さん。前編では、彼の仕事論にスポジョバ編集部が迫ります!「面白いものを作ろう!」とつい意気込んでしまう私ですが、取材を通してもっと大切なことを学んだ気がしています。

(取材:構成=スポジョバ編集部 小林亘)


思い出深い撮影は、やっぱり〇〇企画

__元さんにお話伺えて嬉しいです!今回はやっぱり読者の皆さんが(私も)聞きたいであろう「撮影の裏話」みたいなところから、元さんがどんな思いで撮影されているのかを紐解いていければと思います。ということで、去年1年とか直近のものでも、思い出深い撮影をズバリ教えてください!

石川:思い出深いのはやっぱり、「川崎のYouTubeと言えば神回だよね」って言われるようになった神回(動画タイトル:『プロバスケ選手はどれくらい後ろからシュートが決まるのか検証した結果……』)ですね。あれは撮ってて「こんなにすごいとやらせに見えちゃうよな」っていう(笑)動画の中でも言ってるんですけど「こんなにはダメだろ」っていうくらい奇跡が何回も起きて。選手もすごい楽しんでやってくれて、はしゃいでて。印象的ですね。もちろん台本とかはありませんし、最後の後ろ向きで投げるとかは計画していなかったんですよ。ハーフラインぐらいからやって「そこからどれくらい(遠くから)入るかの検証」ですよね。だから選手はほとんど遊びでやってて。でも初めてバスケ見る方には距離がわかりにくいからって「何ゆうま」だって楽しみながら、しかもブザービーターで時間の設定も「未知なんで1分で」とかって言って、結局1分のブザーで入って……。もう、本当にこんなことあるんだって思いましたね(笑)

__私は特に、最後の長谷川選手の後ろ向きシュートにビックリしました(笑)

石川:一個ね、初出しの裏話なんですけど。あの撮影の一番最初、ハーフコートの一投目で、実は長谷川選手が決めちゃったんですよ。ただ、僕まだカメラをスタンバイしてなくて(笑)。それだけ再撮させてもらったんです。なので幻の一投目があるっていう。長谷川選手が「じゃあやりましょうか」って始めてて、その時僕、篠山選手に喋ってもらってたんですよね。そのときに「やった!」とかって(笑)「いや撮れてないない撮れてないw」って(笑)結局、あの動画は長谷川選手と藤井選手だけ決めてたんですけど、長谷川選手がよりすごいっていう裏話だけ、初出しですけど(笑)。

__お話聞いててこっちがワクワクしますね(笑)撮影中のオフショットもぜひ見てみたいなと思います(笑)

石川:あとは『OVER TIME』ってドキュメンタリーの撮影もやらせてもらってて。なんでも印象に残っていますけど、僕としてはやっぱり天皇杯優勝のときに、みんながセンターサークルで優勝の喜びを分かち合っていた瞬間は忘れられないですね。で、控室に戻ったときに米須選手(当時特別指定選手・現日本大学1年生)が、「僕、初優勝なんすよ」って言ってて「そういうのがあるのか」って思って。彼の嬉しそうな顔を見ていたときに、大塚選手(現アルティーリ千葉・プロ12年目(JBL時代含む))が「僕、学生時代も含めてキャリアで初優勝なんすよ」って目を潤ませてたのを見て、本当に感動しました。

__初優勝の2人は私も見ていて同じように心がアツくなりました。特に大塚選手はずっとそれを言ってたと思うので。

石川:本当そうですよね。それから嬉しかった話は、賢次さん(佐藤HC)が仰ってくれた言葉だったんですけれど。あるとき「『OVER TIME』は特別だと思ってる」って言ってくださって。やっぱり嬉しいじゃないですか。ファンの方、サンダースファミリーの方が喜んでくれるかなって思って撮ってるんですけど、優勝する・しないに関わらず、時間が経ってから選手が見てもきっと面白いだろうし。それくらい中に入らせてもらってるなっていうのは、やっててすごく誇りに思います。




地域限定で映画化もされた『OVER TIME』


根底にあるのは選手へのリスペクト。撮影は、感謝の気持ちを持ちながら。

__ほかのチームで中に入って撮影されてるカメラマンはいないだろうなって思うので。元さんの存在は貴重だし川崎の魅力だとも思います。

石川:出してないだけかもしれないですけど、チームの方が受け入れてくれてるっていうのが何より大きいのかなって。ただ、リアルタイムでプラスに働くことはほぼないんですよね。マイナスに働くことのほうが多いって僕も理解してて。それこそ負けたときに「どうでした?」って、そんなの言われたくないに決まってるし、練習のときもちょろちょろして。そんな中で協力してくれているからこそ、感謝しかないんですよ。

__以前千葉ジェッツのイケメン広報さんにお話を伺う機会があって、選手との距離感に気を遣ってるって話もあったんです。負けたときに聞きにくいって話もありましたが、元さんの中でそういう距離の作り方というか、気を付けてることとかがあればぜひ。

石川:負けたときも聞くんですけどね。聞くしかないので(笑)

__そうですよね(笑)

石川:特に心掛けていることはなくて、やっぱり僕バスケットめちゃめちゃ好きなので、選手は無条件に尊敬の対象なんです。その尊敬の気持ちが伝わってればいいなって思うんです。やっぱり雲の上の人なので。あと、上手くやろうとして上手くやれるわけないので「考えて」とかはないです。もちろん「今は話しかけられたくないだろうな」っていう常識の範囲内のことはやりますし、練習とかは優先で考えていますけど、隣に座って話しかけて良さそうだったら、話を聞く感じですね。

__元さんの選手に対するリスペクトがあるからこそですね。

石川:あと選手の接し方で、必ず1人ひとりの選手に挨拶はしています。元気よく「こんにちは!」っていうよりは会釈くらいですけど、目が合ったら挨拶。そういうめちゃくちゃ普通のことですね。「いつもありがとうございます」とか色んなことを含めて、選手に対しては感謝と尊敬を伝えられるようにしているつもりです。





実は考えてもいなかった?動画撮影の裏話

__元さんの川崎愛があるからこそ、面白い動画が撮れるんじゃないかなってお話を伺っていて思います。

石川:面白いっすよね。「面白いなー」っていつも思ってます(笑)もう2on2のミニゴールのとき(動画タイトル:『【ダンク連発】プロが子ども用ゴールで本気で2vs2をしたら想像以上に大迫力だったwwwww』)とかは、撮影しているとき本当に笑いすぎてめちゃくちゃ疲れました(笑)ずっとお腹に力入ってたので。正直ここまでやってくれるかっていう驚きもあったんですけどね。

__企画力とかもあるとは思いますけど、おいしく仕上げてくれるのは選手たち、ということですね?

石川:「川崎のYouTubeの秘訣は?」って話にもちょこちょこなるんですけど、なによりも選手なんですよね。選手が一生懸命やっている。「これガチでお願いします」とか言ってるわけじゃないんですよ。本当に始まるとガチになったりとか空気を掴んでやってくれるので、そこが何より大きいです。だから僕がどうっていうよりは、選手たちが楽しんでやっている様子を撮らせてもらってるというか。

__ちなみに撮影だけではなくて、動画の編集も元さんがされてるんですか?

石川:ドキュメンタリーの『OVER TIME』は僕がやっていて、企画系のYouTubeは別のスタッフが指揮をとっています。どっちにしてもYouTubeの目的は、一番は選手それぞれの魅力を知ってもらいたい、人間性を知ってもらいたいっていう想いがあって。そんな中で見てくれる方に受け入れられやすいような企画、見て楽しい企画をやっていこうってなったとしても、打合せを選手と綿密にできるわけじゃないんですよ。だからこそ企画系の撮影をするときは進行役みたいな形で喋るようになったのが元々ですね。経緯はそういうところで。で、正直笑い声が入ってていいとか、ツッコミがいいとかって言われるまで「喋っちゃダメ」「普通は喋らない」ってことに気が付いてなくて(笑)

__ええ!?そうだったんですか(笑)でも確かに、すごくナチュラルに元さんのコメントって入ってますよね(笑)

石川:あんまり撮影者が笑ったりしないんだって。なので気づいたときは「あ、ヤバw」くらいの感覚だったんですけど(笑)とはいえ、つられて笑っちゃうとか感想を言っちゃうとかは、純粋に楽しくてやっちゃってるだけですね。意図的にこうしたいとか、こう見せたいとかそういうのもないんですよ。で、まぁ別に僕は自己紹介とかも姿出すわけじゃないので、基本的に表に出るつもりは全くなくて。選手の動画を「見てて楽しいな」って思う手助けになっていれば、それだけで幸せだなっていう感覚です。





嬉しい反響も、選手たちの心の機微も。専属カメラマンだから味わえるやりがい

__選手たちも純粋に楽しんでいるからこその動画だとは思うんですけど、実際どんな反響があるんですか?

石川:そうですね。めちゃくちゃ早く終わろうって雰囲気だし、めちゃくちゃ楽しんでるしって感じですね。「これが俺たちの楽しみなんだ!」ってことも全然ないし、ニュートラルな感じでやってくれてて。実際のリアクションとしては、初めてとどろきアリーナに来てくれた方にアンケート取ると、認知経路としてはYouTubeがダントツ1位なんですよ。だからただやっているだけではなくて、そういう効果があるってことも選手たちに伝えてて。……正直、ここまで効果があるとは思ってませんでしたけどね。そういった意味ではドキュメンタリーとか出すとコメントに「りゅーせー(篠山選手)ってバスケ上手いんだ」とか「ゆうま(藤井選手)のカッコいい姿が見れてよかった」とか書いてあると、ビビります(笑)逆ぎゃく!って(笑)

__それ、本当ですか?(笑)

石川:いやー本当なんですよ(笑)。でもYouTubeでたとえば藤井選手を認識してもらえたからこそ、試合も「あ、ゆうまだ!」って楽しめるのかなって。だから好循環だなって思っています。バスケ知っている選手は「あの選手がこんな面白企画やってる」ってなるし、知らない人は2on2の動画でシュート決められて「まじかよ!!!」ってコートに倒れこんでる人が「プロのこんな凄い選手なんだ」って思えるのは、凄い好循環だなって。

__まさに裾野を広げるような活動をされているからこそ、昨年はSNSアワードも受賞されたんじゃないかなって思います。

石川:先ほどの話にも通ずるところはありますが、やっぱり今リアルタイムでコメントをいただくことが多くて。そういう意味では日々充実しています。好意的なコメントをいただくことも多いので、アワードはめちゃめちゃ嬉しいですね。もっと言うと、ファンの方々、サンダースファミリーの方からも「SNSアワードは川崎でしょ」って声をいただけることが何より嬉しいです。ただ、広報・マーケティングチームみんなで頑張ってて、凄く面白い情報配信をしているとも思うので、動画だけではなくて他のSNSとかも含めて川崎のSNSが評価されていることも嬉しいことです。

__元さんはプロスポーツクラブ専属のカメラマンという珍しい存在だと思います。それこそ広報部として社内の色んな人との関わりもあるでしょうけれど、元さんの中でクラブなどに所属するカメラマンとして働く面白さを、最後ズバリ教えていただけますか?

石川:一番はやっぱり、めちゃめちゃチームの一員になってる感覚はあるので、大好きなバスケットを応援する上でこの上ないポジションだなって思っています。今は川崎が負けると機嫌悪くなるくらいに仕上がってきてるので、そういった選手たちの心の機微とか戦いに向かう前の段階とか、バスケファンの人誰もが知りたがるような状況を、生で体験できるのはすごく貴重です。それをどうにかして伝えなきゃいけない仕事で、伝えた時に色んな方が盛り上がってくれたりクラブを好きになってくれたり、新しく興味を持ってくれた方がいいねって思ってくれたり。インプットもアウトプットも良いことばっかりなので、そういった意味ではやりがいは本当にMAX。やりがいを求めてバスケットの仕事をやっているようなものですけれど、ここまで感じられるのは、やっぱり専属のカメラマンじゃなきゃ味わえなかったと思いますね。

>>>次回、後編は元さんのこれまでの丸裸にします!本邦初公開の内容、お楽しみに★






【PROFILE】石川元|川崎ブレイブサンダース 広報部・カメラマン

日本大学芸術学部放送学科出身。カメラマンだった父親の影響で、学生時代から写真をずっと撮り続けていた。当時から写真が高い評価を受けており、バスケ仲間からのオーダーで様々なバスケシーンの撮影を手掛けてきた。バスケ界でカメラマンとして知名度を徐々に上げていく中で、ご友人から「川崎が結構面白いことやるみたいよ」と話を聞き「せっかくだから挑戦してみよう」と決意し川崎ブレイブサンダースの広報部に入社し、ドキュメンタリー『OVER TIME』の撮影・編集から大人気の面白系YouTubeの撮影担当として活躍中。

趣味はとにかくラジオを聞くこと。週に20番組くらいは聞いているとのことで、オススメは『空気階段の踊り場』と『蛙亭のトノサマラジオ』。


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