収入0の時代もあった、元アイスホッケー日本代表選手が見る世界線。今この瞬間を勝ち抜くために必要な〇〇とは

元アイスホッケー日本代表|RedBull Ice Cross 日本代表 鈴木雅仁

収入0の時代もあった、元アイスホッケー日本代表選手が見る世界線。今この瞬間を勝ち抜くために必要な〇〇とは

元アイスホッケー日本代表|RedBull Ice Cross 日本代表 鈴木雅仁

「いずれ自分もフリーになりたい」「会社に属さずに自由に活躍したい」

昨今、自由な働き方を望む人が増えている世の中。社会的にも副業解禁など法律の改定があったことで、より個人の力で食べていけるよう自己成長・自己実現し、プラスアルファの収入を得ている人も多くなっていると思います。ただし「フリーにはなりたいけど、生計を立てられるか不安……」という方も少なくないでしょう。……ところであなたは『業務委託』という働き方をご存知ですか?

今回お話を伺ったのは、アイスクロス日本代表・元アイスホッケー日本代表の鈴木 雅仁(すずき まさひと)さん。現在進行形でデュアルキャリアをされている鈴木さんは、会社やチームに属することなく収入を得続けています。「自分が百貨店をやっているようなものです」と語る彼の活動とは?スポーツとの上手な関わり方、ビジネスの作り方とは……?そこには、フリーになりたい人、業務委託を始めたい人に向けた、ものすごく貴重なアドバイスがありました。

(取材:構成=スポジョバ編集部 小林亘)


日本ではまだまだマイナースポーツ。アイスホッケー・アイスクロスで食べていくために

__鈴木さんは、チームを介してお金を稼ぐのではなく、個人の活動を通じてご自身がお金を生み出しているという、スポーツ選手としては非常にユニークな存在と伺っています。まず、どんな活動をされているのか教えていただけますか?

鈴木:競技としてはアイスホッケーを一筋でやっていて、今はアイスクロスをやっているんですが、結構、多趣味で。車もプロ手前くらいまでやってましたし、ミニ四駆とかラジコンもやってましたよ。それ以外にも、当時アメブロが始まったばかりのときに自分のことを記事にしてみたり、SNSもそうですし、スポンサー企業さんのお店で販売したり、食品系のECサイト作ったり……まぁ、今はアイスホッケーのスクールコーチとか業務委託でスポーツ関係の仕事もいただいてますけど、そんな感じですね。

__すみません、想像以上の回答で驚いています(笑)。ものすごく手広く活動されてきたわけですね。

鈴木:手広いですけど、何かのスペシャリストではないですよ。スペシャリストだったのはアイスホッケーだけなんで(笑)(元日本代表)。

__ははは(笑)それだけでも素晴らしいですよ!(笑)。とはいえそもそも、なぜその活動を始めようと思ったんですか?代表選手であれば、お金もそこそこもらえてたと思うんですけれど……?

鈴木:アイスホッケーのときは、会社員からプロ契約になっていたこともあって、結構もらってた方だと思います。ただマイナースポーツなので、野球とかサッカーに比べたら全然ですし、億万長者ではないですから(笑)。それにアイスクロスは当時日本に参入したばかりということもあって、競技を始めたときは収入がなかったので、その間に貯金を切り崩すだけじゃしんどいなってことで、活動を始めた感じです。

__ちょっと待ってください、アイスクロスでは最初収入が0だったんですか!?

鈴木:そうですよ(笑)。それに、ブログも今みたいにSEOとかアフィリエイトみたいな媒体じゃなかったので、純粋に「見ている人に楽しんでもらえるコンテンツをつくろう!」と思って始めただけでしたから収入は本当に(笑)。もちろん根底には「アイスホッケーをもっと広めたい」って気持ちがあったんですけれど。まぁ、お金になるかならないかは別で、なんなら基本ついてこないですから。お金にならないブログだったけど2日に1つ配信したりとかして、セルフブランディングしてましたね。その結果っていうか、コネクションも徐々に増えてきて、ちなみに最近だと裏方の仕事もお手伝いさせていただきましたね!

__え……。どこまで手広いんですか?(笑)





「自分が百貨店みたいなものですかね。なんでもやってきたから」

__すみません、裏方の仕事ってどういうことですか??倉庫作業とかをイメージしてしまったんですが……?

鈴木:この前はバスケの千葉ジェッツのハーフタイムショーで、エアトリックショーって自転車を使ったショーがあって。そこでジャンプ台の設置を一緒にやらせてもらったんです。クラブハウスでそのイベントを主宰している社長さんと知り合ったことがキッカケなんですけれど、マイナースポーツで境遇が似てるなって、社長の話に物凄く共感できるなってことで、手伝わせてもらったんです。そこで「凄いな」って思ったことがあって。たった10分くらいのショーを一発で決めるために、裏方さんは頑張ってるわけですよね。で、無事それが終わると全員泣いてるわけですよ。無事に成功できてよかったって。最高のショーができて感動したって。……これ凄いなと思って。だって自分たちは言ってしまえば設置だけでショーしたわけでもないのに、涙を流しているわけですよ。驚きました。だから僕も選手をずっとやってきましたけど、これを経験させてもらえたことで、より裏側を支える人たちの気持ちも理解できるようになりましたね。知れば知るほど、人が活躍できる場所は、たとえばスポーツにしても選手だけじゃないよなって。改めて思ったんですよね。

__そこまで関わっているアスリートの方って、なかなかいらっしゃらないですよ!ちなみに、話を一旦グイっと戻しちゃいますけれど、アスリートでありながら色んなことに興味を持って挑戦して収入を得ようって思ったのは、アイスクロスへの転身が結構大きかったりしますか?幅広い活動をすることになったルーツはどこにあったのかな……と。

鈴木:そうですね。まぁ元をたどると、29歳の時にアイスホッケーでアメリカにトライアウト行ったのが大きいかもしれません。代表のときもそうでしたけど、全て用意されているんですよ。飛行機も新幹線も、ホテルもバスも全部、チケットから何まで。でもトライアウト行ったときは何もない。航空券の手配すらわからない。格安があるのかとかもわからなくて「自分、何も知らないぞ」って。結局挑戦とか新しいことを始める際には、自分が知ってないと何もできないなって。それが大きかったかなぁ。

__1人の人間として色んなことを知らないと、今後のためにならないんじゃないかということで、それこそ先ほどの裏方の仕事とかも携わるようになったわけですね。いずれにしても、何に対しても「やってみる」というマインドは、海外挑戦を通じて培ったものということですね。

鈴木:日本はやっぱりサービスもいいですし、お金で裏切られることってまずない。でも海外はザラにあります。って考えると、やっぱり自分でなんとかする能力は身に付いたと思います。このスキルはアイスクロスへ転身してからもだいぶ役に立っていますね、当時は大変でしたけど(笑)。だからブログもそうですけど、新しいことに対しては物怖じしなくなりました。そこからは、だいぶ選択肢を広げられるようになったなって思いますね。YouTubeとかもそうですけれど。結果、色んなことをやりすぎて自分が百貨店みたいなもんですって言ったりもしてますから(笑)。

__武井壮さんが「陸上の人たちってパフォーマンスめちゃめちゃ高いけどお金を稼げない。これはなぜかって、人を集めるとか喜ばせることにベクトルが向いてないからだ」ってよく仰ってますけれど、鈴木さんのお話を伺っていると、競技レベルはもちろんどういう情報を発信したら喜んでもらえるか、裏側まで考えて行動されているというのがわかります。結果、巡り巡ってご自身の収入に代わってるんじゃないかなって。

鈴木:まぁでも、悲しいですが超一流の選手であるほどやらなくていいんですよ。中途半端な選手だからこそ、競技が無くなったときのことってすごく考えるので。僕は中途半端な選手だったんで考えなきゃいけなかった感じですけれど、とはいえ目立つとトップ選手からすると「成績低いのにアイツなんだ」ってなると思うんです(笑)。その辺りは難しいなって思ったりしますけれど(笑)。とはいえ後悔のない選択はし続けたいし、競技以外でも挑戦は続けたいので。それを発信して誰かの力になれたら嬉しいですよね。だからこそ、アイスホッケーをもっと広めることも大切なんですけれど、スポーツ以外のコンテンツでも、感動って味わえると思っていて。成功とか挑戦ができる場所を作りたいなって思っていて、活動の幅を今後も広げたいなって気持ちです。





どうしても、挑戦と成功体験のできる場所をつくりたい

__な、なるほど……。悲しいかな、現実ですね。活動の幅を広げたいというお話ですけれど、今後はどんな領域にトライしたいとかお考えなんですか?それこそ、やっぱりアイスホッケーの元代表選手ですし、今もアイスホッケーのスクールコーチされてるというお話だったと思うのですが「成功や挑戦できる場所をつくる」と言いますと……?

鈴木:僕の場合は、競技とかを1つに絞るってすごく勿体ないって思うんですよ。あくまでスポーツは、人生が豊かになるツールだと思っています。だからこそ、アイスホッケーを好きになってくれたら嬉しいですけど、押し付けることだけはしたくないんですよね。将来的にはまだアカデミーか何なのか明確ではないんですけれど、大人子ども関係なく感動とか挑戦ができて喜べる場所は創りたい。だから色んな種目のスポーツ選手が集まって、各スポーツを楽しめるような場所、選択肢を広げられるような環境を創っていきたいし、それがすごく大事だとも思うんですよね。

__結構、アスリートを引退した後って、そのまま自分がやっていた競技に携わるケースが多いと思うんですが、鈴木さんはそうじゃない。色んなスポーツを始め成功体験や挑戦ができる場所を創りたいと思ったキッカケは、何かあるんですか?

鈴木:アイスクロスやったのが大きかったかもしれないですね。当初収入はなかったですけれど(笑)。2つのスポーツをやったことで、アイスホッケー選手時代には知り合えなかった人とも多く出会えた。あと僕の場合は趣味も強烈に関係していて、車、草レースですけど、活動をブログで発信していたら東京の車好きな方に声かけていただいて、自分の全く知らない世界を見せていただいた。代わりにアイスホッケー教えたんですけど、でもそれ以上の価値ある経験をさせてもらったんですよ。シャンパン空けるとかではなくて、礼儀を始め上級なサービスを見て学べたりとか、ビジネスの作り方をタダで教えてくれたりとか。こんな感じで、僕がアイスホッケー以外で色々経験できたからこそ、スポーツを通じて多くの人に、同じような体験する機会を提供できたら、めちゃめちゃ嬉しいだろうなって。

__まさにギブアンドテイクですね!選手をやってきたからこそできた経験でもあると思いますが、その仕組みって得意分野がある人であれば、やり方次第で鈴木さんのように色んな取り組みを良い状態で作っていけるんじゃないかなって思います!それに通常プロスポーツビジネスって、選手を使ってチームが売上を創るわけじゃないですか。でも鈴木さんのように自分をコンテンツ化できれば、所属する以外の方法で収入はどうにでもなるんだってことを証明されてるのが、本当にすごいです!

鈴木:うーん、考え方と言いますか、どうしたらその状況を突破できるかですよね。たとえば所属している会社とかチーム、スポンサーとかの縛りがあって、中々思うようにできない場合でも、良い活動をしている分には何も言われないと思っていて。その上で、たとえば制約があってできないことであれば、一緒にどうにかできる方法を探したり、色んな企画を提案したりとか、できることっていっぱいあると思うんですよ。そこの一歩目を動くか動かないかが、大きな差だとも思いますけれど。それに今ってデータ取れるじゃないですか。プロモーションも物販もSNSも。自分をサンプルに使って、自分で1つのコンテンツは作れる時代ですから、きっと誰にでもできると思うんですよね。少なからず試すことは誰にだってできますから。

__お話を聞けば聞くほど、やっぱりアスリートというよりはビジネスマンっぽいですよね(笑)。ちなみにその辺りのきゅう覚って、鈴木さんはどう養っているんですか?

鈴木:いやいや僕なんて(笑)。でも、始めたての頃は特にそうですけど、僕もですけれど、やっぱり営業活動とか商品企画って何をどうすればいいかわからないし、予算をどこまで保てるかってわからないわけですよ。でも今の世の中、学ぼうと思えばいくらでもツールはある。そこを見抜くためには、今伸びてる人のマネをどれだけできるかが大切だと思ってて。伸びきった人じゃなくて伸びそうな人。その人を手本にしていけば、ある程度まではきっと行けると思います。YouTubeでもクラブハウスでもInstagramでも、情報はいっぱいありますよ。……色々話しましたけど、そういう色んな経験ができたからこそ、それをさらに、色んな挑戦をしてきた人たちが集まれば、きっと大人にも子どもにも良い影響を与えられると思っていて。その場所を創って、その中の1人として、僕も活動していきたいですね。





業務委託やフリーとして働き、競技時間もしっかり確保したいアスリートへ

__鈴木さんのお話を伺っていると「興味のあることは何でも挑戦した方が、自分の価値を高められる」というメッセージ性も強く感じています。とはいえ、現在進行形でデュアルキャリアとか、仕事をしながらアスリートをされている方も多いと思うんです。そんな方に、改めて言葉を贈っていただけませんか?

鈴木:いやー、僕もアイスクロスやっててデュアルキャリアは現在進行形なので(笑)。でも、結局問題は競技に集中できないところですよね。時間もってかれるじゃないですか。たとえばカッツカツだけど自分が将来やりたいことのための学習だと思ってそこにいるのか、そうじゃないのかでも全然違うので、どこに目的を置くかによると思います。それに、上司とか環境って選べないので、だったら選べるように生きていくしかないかなって思います。目の前のことで精いっぱいになっちゃうのもわかるんですが、大事なのはその先ですからね。

__私が言うまでもないですが、今の時代は発信すれば協力してくれる人も現れやすいと思うので、だからこそ鈴木さんのようにSNSやブログなど、セルフブランディングとか自分をコンテンツ化することが大切ということですよね。

鈴木:トップアスリートであればInstagramにカッコいい写真上げてるだけでフォロワー爆増したりしますけど、そういうわけにはいかないので(笑)。だからそれも、クラブハウスとかYouTube、ブログもそうですけど、ある程度「こういう人間です」って自分をコンテンツ化できていたからこそ、色んなお仕事をいただけたり繋がりができたのかなって。それで関わった人たちと一緒に何か仕事をして創り上げていけたら尚更良いですよね。僕は結構遠回りしたかもしれないですけれど、でもやっぱり、後悔しない選択をし続けていくことが大切だと思いますよ。

__色んな活動をされている鈴木さんなので、それが答えなんじゃないかなって思ってしまいます。スポーツの新たな関わり方が、鈴木さんを中心にできていくんじゃないかなって、お話聞いててワクワクでした!

鈴木:あと個人的には、競技をやっている人みんなが手を取り合っていかないと、スポーツそのものが選ばれにくくなってしまうのかなってちょっと思ってて。やっぱりデュアルキャリアとかの成功事例って少ないと思うんです。だからこそみんなで力を合わせてコンテンツ作ることが必要かなって思いますね。マンパワーじゃ限界が来るし影響力も人それぞれなので、コツコツにはなってしまうかもしれないですけど。だから次世代だけではなくて、同年代とか若いアスリートに対しても、何かしらアプローチしていければなって考えてます!

__めちゃめちゃいいですね!そして考え方や物事の捉え方は非常に勉強になりました。では最後に、スポーツも仕事も努力されている方々へ、一言メッセージをお願いします!

鈴木:僕の場合はSNSで道切り開いていった形になりますけれど、やっぱり興味を持ったことはなんでも挑戦してみるのが良いと思います。それこそ0円Jリーガーさんとかも出てきたじゃないですか。どんな形でもいいので自分をコンテンツ化させることが重要かなって思います。だから将来やりたいことのために、目の前の生活や収入をどうするか。週5で正社員するのか、業務委託とかフリーでやるのか。いずれにしてもやってみないとわからない。成功して目立ったら批判もされるでしょうけど、でも一緒に手を取り合ってやっていけたらいいですよね。そこに手を差し伸べられるように僕も自己実現、頑張っていきます!

__鈴木さんのこれからの活躍も応援しています。今日は本当にありがとうございました!





【PROFILE】

鈴木 雅仁 (すずき まさひと) | 北海道苫小牧市出身

RedBullアイスクロス日本代表。アイスホッケー元日本代表。アイスホッケースキルコーチ。肩書を並べると物凄い経歴であるが、2児のパパであり非常に多趣味で温厚な性格の持ち主。

アイスホッケーをやっていた父の影響で4歳の頃に競技をスタート。日本代表、海外挑戦など含め30年近く活動した後、股関節の怪我から坐骨神経痛となりドクターストップ。しかしリハビリを経て34歳のときにアイスクロスへ転身。その後、横浜で初開催されたアイスクロスの大会で結果を残し、続くオーストラリアの大会で日本人初のファイナリストへ入る。時を同じくして「アイスホッケーが終わったら世界中を旅したい」という夢を叶えるべく、世界中を旅しながら競技生活を送っていたとのこと。また選手以外の活動も積極的で、ブログやSNSでの情報発信、スポンサーでの店舗スタッフやECサイトでの商品づくり、カーレースへの参戦など、さまざまな経験を経て現在に至る。目標は「アイスホッケー業界だけでなく、スポーツをはじめ挑戦と成功体験で人生が豊かになる場所をつくる」こと。

「趣味やマイブームは?」と聞けば「ありすぎて困る(笑)」と語ってくれた。「大人にアイスホッケーを教えるのは、感覚的ではなくて頭で考えて上達するから、見ててすごく面白い」とのこと。「家も自分で建てたい」とユニークでありつつ本気で回答してくれた姿も印象的。


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