「いらっしゃいませ」「どうされましたか?」
ゴルフパートナー 青梅フレンドシップゴルフ店に入ると、店長の畑中 理雄さんが笑顔で迎えてくれます。彼はゴルフパートナーの社内資格であるクラブセッティング診断士、買取マイスターを持つスゴ腕の店員。しかし、もともとは本社・東洋米菓株式会社の和菓子製造販売部門で、煎餅の営業に勤しんでいたという。そんな畑中さんが、ゴルフパートナーで表彰されるほどの優秀なゴルフショップ店員へと駆け上がったのはどうしてなのか。畑中さんと、彼を入社当時から知る総務部長の山際 裕里さんに伺いました。
(取材・執筆:小林 千絵、編集:伊藤 知裕、中田 初葵)
──畑中さんがゴルフパートナー青梅フレンドシップゴルフ店の店長になった経緯を教えてください。
畑中:もともとは本社で米菓の営業をしていたのですが、練習場(青梅フレンドシップゴルフ)にゴルフショップを作ることになって。そこの店長を誰か……という話があり、僕が異動することになりました。
──和菓子の営業!職種も業界も全く違うと思うのですが、最初ゴルフパートナーの話を聞いたときはどう感じましたか?
畑中:不安はありました。だけど、社員は年齢的に上の人が多かったので、「まぁ僕がやるしかないか」という感じで覚悟を決めました。
──当時、ゴルフの経験や知識はあったのですか?
畑中:全く。だから、勉強はしっかりしました。まずはゴルフパートナーの研修から。基本的な知識をさらっと学んで、その後、実践的な研修へ。早々に「売ってこい」みたいな感じで現場に行かされるんです。最初は「マジかよ」と思ったのですが、やってみると、結局やる気のある人が結果を出していきました。そのときは数十人が研修を受けていたのですが、そこでトップになり自信がついたので、自分のお店のオープンに向けて突き進むことができました。
──知識や経験よりも、売りたいという気持ちややる気のほうが必要だとわかってのめり込めたということですか?
畑中:そうですね。「結局たくさん提案すれば売れるんだ」とわかって、やる気になりました。しかもうちのお店は特殊で、練習場にショップが併設されています。つまりゴルフクラブを売るときに、練習場で試してもらうことができるのでこちらとしても提案しやすいんですよ。そこで大切になってくるのは提案する積極性。物怖じせずに提案できれば売れるということがわかって、さらにのめり込んでいきました。
──お店が軌道にのってきたなと感じたのはいつ頃ですか?
畑中:いつなんだろう? 年々、売り上げが上がっていっているので……。最初はやっぱり苦戦しましたよ。売り上げにおいても、やり方においても、右も左もわからない状態からいろいろチャレンジして、失敗と成功を繰り返してきました。どこかが起点というよりも、「先月よりも良くしよう」「去年よりも良くしよう」とちょっとずつ積み上げてきた感じですね。
山際:外から見ている私としては、畑中くんがゴルフパートナーで受賞され始めたあたりからなんじゃないかなという気がします。今はなくなってしまったんですが、ゴルフパートナーの中で、中古クラブ年間販売本数や前年の売り上げを更新している店舗を表彰する制度がありました。オープン後数年経ってから、毎年のように表彰されるようになったんですよ。その頃から目に見える結果がどんどんついてくるようになったなと感じますね。
──お店の立ち上げから、さまざまなトライアンドエラーを繰り返してきたとおっしゃっていましたが、特に力を入れて取り組んだことがあれば教えてください。
畑中:ゴルフパートナーには社内資格がいろいろとあったので、ゴルフクラブアドバイザー、買取マイスターといった社内資格を積極的に取りました。資格を持っていることで、お客様に対して、丁寧に説明できることや安心して売買していただけることというのはもちろんなのですが、店員として新しく人が入ってきた場合にも、僕が資格を持っていると説得力が増すかなと思いました。
──資格を取得するのも簡単ではないと思います。そこまで畑中さんを奮い立たせたのはゴルフの面白さに気づいたから?それとも売ることが面白かったからでしょうか?
畑中:どちらもありますね。ゴルフクラブって高価なイメージがあるじゃないですか。だからそんなに毎回買い換えるものでもないし、こんなに売れるものだって思わなくて。もちろん買取も簡単ではないと思っていました。だけど実際にやってみたら、こちらの努力ややる気次第でできることがわかり、そこに面白さを感じてのめり込んでいったのかなと思いますね。
──これまでお仕事をしていて、やりがいを感じた瞬間やすごくうれしかった出来事を教えてください。
畑中:この仕事は、お客様との距離感が近い。だからこそ、もちろん厳しい言葉をいただくこともあります。「勧められて買ったのに思ったように飛ばないじゃないか」など。実際、販売した数日後に「自分に合わなかった」と戻ってきてしまうクラブもあります。だけど、逆にこちらの提案がピタッとハマって感謝の声をいただくことも、厳しいお言葉以上に多いんです。それはやはりすごくうれしいですね。
──直接感謝の言葉をもらえるのは励みになりそうですね。
畑中:はい。それと……たとえばブックオフなどで本を売る場合、売りたい本を渡して「査定が終わったらお呼びしますね」という形が多いじゃないですか。でも、うちでの買取はそうではありません。どうして売りに出したいのかなど、お客様からしっかりお話を聞くんです。クラブが合わなかったということは、逆にその悩みを解決できるクラブがあるかもしれない。つまり、お話を伺うことは、今お客様が求めているクラブをおすすめするというチャンスにもなるんです。逆にお話を伺いながら「このクラブはあの方に合いそうだな」と思うこともあります。そうやって買取をしていくと、モチベーションも上がりますし、実際にそれがハマると気持ち良いんですよね。もちろん、それが会社の利益になるわけで。そこもやりがいの一つですね。
──それにはもともと営業をされていた経験が活きているのでしょうか?
畑中:どうなんでしょうか……。それよりも、ゴルフパートナーでの経験が積み重なってできるようになっていったことなのかなとは思いますね。
山際:正直、米菓の営業をやっていたときは畑中くんがこんなに頭がいい人だとは思わなかったんですよ(笑)。
畑中:あはは(笑)。
山際:だからお煎餅を売っていたときよりも能力が活きているなと思いますね。もちろん本人の努力ですけど。実際お客様からの評価も、社内のスタッフからの評価も高いですし。
畑中:ありがとうございます。販売はまだしも、買取はやったことがなかったので、とにかく勉強しないといけないと思っていたので。
山際:そうそう。だから新しいことを勉強してくれる人にお願いしたいなと思って畑中くんにお願いしたんです。あのときよく決断してくれたなと思います。
──新しいことに挑戦し続けている畑中さんですが現在の具体的な業務内容を教えてください。
畑中:全部、です(笑)。販売、接客、買取はもちろん非常に重要な業務ですし、それに付随して、販売や買い取りを促進するイベントを考えることも我々の仕事。実は私は練習場の副支配人も兼務しているので、練習場と一緒になってできるイベントを考えたり、練習場のイベントの手伝いをしたりすることもあります。すべてはお店の利益を上げるためなのですが、そのためにも練習場と、練習場が行っているスクールと、我々ショップとが、三位一体で良くなっていくことが重要だと考えています。わかりやすく言うと、スクールや練習場に多くの方に来ていただくこと、練習場で多く打ってもらうこと。それが結果的にショップの売り上げにもつながります。
それにゴルフパートナーで売っているクラブを練習場で試打してもらって、お話をすることで、練習場にとっても「そういうことを教えてもらえる練習場なんだ」って思ってもらえる。それが常連になってもらうきっかけになったりするので。
──来場者数や打数を増やすうえで、現在感じている課題はありますか?
畑中:それこそ、人を集めるためのアイディアが不足していることですね。今はどうしても社長、練習場の支配人、僕の3人で考えることが多いのですが、もっと新しいアイデアがあったほうがいい。そういうことも含めて、アイデアを持った人が働いてくれるとうれしいなと思っています。
──現在、スポジョバでゴルフパートナー 青梅フレンドシップゴルフ店の社員を募集していますが、それこそ販売・買取の接客だけでなく、練習場やスクールに人を呼ぶためのイベント企画や運営にも関われるのですか?
畑中:はい。いろいろやってもらおうと思っています。ただの接客と思わないで仕事をしてほしいんです。ただクラブを売るということではなくて、どうやって売り上げが成り立っているのかを意識するだけでも、すごく良い成長ができると思うので。
──和菓子の製造販売とゴルフ事業を兼業しているメリットはどのように感じていますか?
山際:お客様が行き来するといった、それぞれの事業に対しての具体的なメリットはあまりないかもしれないですが、会社としては異なる事業を手掛けていることは強みになっていると思います。それこそ会社としての信頼なども高まりますし従業員同士もライバル意識みたいなものが芽生えているような気がして、それは面白いなと思いながら見ています。
──両方を経験された畑中さんは、どのように感じますか?
畑中:そうですね。社長から「あっちではこんなことを始めたぞ」と言われて、「じゃあこっちも頑張らなきゃ」と思わされるとか、「あの部署は今、こんなことを頑張っているぞ」と言われて焦る、みたいなことはありますね。
山際:表立ってバチバチやるわけではないですが、心の中ではライバル意識を持ってそれぞれが売り上げを立てるために頑張っていると思います。
──全く別の事業に複数取り組まれている東洋米菓さまとしての今後のビジョンを教えてください。
山際:この地域には練習場がいくつかあって、その中でうちが一番だなと思っていますが、さらに、実績としてもお客様の体験としても「青梅フレンドシップゴルフが一番だよね」と言っていただける練習場にしていきたいです。ゴルフパートナー 青梅フレンドシップゴルフ店も、全国のゴルフパートナーから目標にされているくらいのお店。これからもずっとそういうお店でいられたらと思っています。
畑中:そういうお店で働きたいと思っている仲間が増えてくれたらさらにうれしいです。一緒にてっぺんを目指すぞ!と気概を持った方をお待ちしています!
──成長を続けていくゴルフパートナー 青梅フレンドシップゴルフ店で一緒に働く仲間が増える中で大切にしている考えがあれば教えてください。
畑中:ホスピタリティですね。やはり、お客様が喜んでくださることをするというのも我々の仕事だと思うんです。練習場の受付ひとつとっても、無人で券売機制になっているところも増えてきていますが、時代と逆行しているかもしれないけど、うちはぬくもりみたいなものを大切にしていて。たとえば雨の日に、車から降りてキャリーバッグを手に出てくるお客様を見かけたら、傘をさしてあげるとか。そういうちょっとしたことが、人の心に響くと思うんです。
ゴルフに限らず、本社でどら焼きを売っていても同じこと。買ってくださった後、傘をさして一緒に車まで行くとか。そうすると、お客様は「助かった」って思うじゃないですか。それだけでいいと思うんです。別に、その場でどら焼きがもう一つ売れなくてもいい。その「良かった」「助かった」という気持ちが、次また来てくださる理由になるかもしれないので。
──売り上げを出すだけではない大切な考え方ですね。畑中さん個人の今後の目標や展望はありますか?
畑中:ゴルフ業界が廃れてしまうかもしれないという恐れもある中で、生き残っていかないといけない。今も十分、他の練習場と比べていい練習場だとは思っていますが、それでもまだやっていないこと、やれていないことがたくさんあるので、そういうものにどんどん着手していきたいです。
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【PROFILE】
畑中 理雄(写真右)
ゴルフパートナーの店長を継続しつつ、ゴルフ練習場の副支配人を兼任。ゴルフパートナー社内資格クラブセッティング診断士、買取マイスターの資格を保持。地元の新聞に取り上げられるほどお客様からの信頼も厚い。
山際 裕里(写真左)
総務部長。高校のモットーだった「こころの健康 からだの健康」が今でも自分の礎になっているそう。
設立年月 | 1952年07月 | |
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代表者 | 山際由光 | |
従業員数 | 52名(パートタイマー含む) | |
業務内容 | ・和菓子製造販売
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