流行りのファントークンってなに???『ギラコイン』『ホーリーコイン』を発行している『エールタム』の創業者に聞いてみた!

canow株式会社 COO|大坂 亮平

流行りのファントークンってなに???『ギラコイン』『ホーリーコイン』を発行している『エールタム』の創業者に聞いてみた!

canow株式会社 COO|大坂 亮平

クラウドファンディングやスーパーチャットなど、デジタル上でお金を受け取ったり贈ったりできるのは、比較的最近メジャーになってきたこと。スポーツ業界でも「ファントークン」という、当該クラブのファンが投資をして、VIPシートの利用権や限定グッズの獲得権などの特典を得られるというサービスがある。ただ正直、まだまだ浸透しきっていないことは挙げられるだろう。私も「深く理解しているか?」と聞かれれば、すぐに首を縦に振れるわけではない。

今回は『エールタム』というファントークン発行サービスを運営している『canow株式会社』のCOO:大坂亮平氏にインタビュー。現在同社はJリーグ『ギラヴァンツ北九州』『水戸ホーリーホック』で導入されているトークンを発行しているが「そもそもトークンとはなんぞや?」「導入するメリットは?」等々、正直な疑問をぶつけてみました!話を聞けば聞くほど、ワクワクするような世界が広がっており……!!

(取材:構成=スポジョバ編集部 小林亘)


そもそもファントークンってなに?

__大坂さんすみません、今日は勉強させていただきに来ました……!まず「ファントークンってなんぞや?」とも思っているんですが、御社が運営する『エールタム』が発行しているファントークンに関しては、現在だと主にサッカーチーム、Jクラブで使えるんですよね?




大坂:いえいえ、恐縮です(笑)。自分たちが発行しているファントークンって、めちゃめちゃ簡単に言うと『電子マネー』です。SuicaとかPayPayと一緒のイメージで問題ありません。自分たちの場合は、そこに「使う人たちの嗜好性があってもいいよね」って考え方なんですよ。僕のサッカー好きが発展しすぎて、今はJクラブのギラヴァンツ北九州さん(ギラコイン)や水戸ホーリーホックさん(ホーリーコイン)とやらせていただいてますけど、使っていただけたらチームに還元される形になっているので、そもそも地域の代表クラブを応援したい方がいらっしゃれば、ぜひ使ってねって感じです。ですから使えるお店に関しても、クラブを応援しているお店で決算方法として使えるような感じですね。


__あ、勝手にムズかしそうなイメージを持っていたんですが、電子マネーなんですね!それこそ水戸のコンビニで「ホーリーホリックを応援しています!」としている場所があったら、使える可能性もあるわけですか。……安易な発想で申し訳ないんですが、使ったらどんな特典と言いますか……ポイントとかもらえるんですか?




大坂:クラブさんとか店舗さんで様々ですけれど、そんなイメージですね。今はもっとスタジアム内で使える場所を増やしたり、現金チャージできる場所を増やしている段階で。それで特典についてですけれど、たとえば「ココのお店で〇〇をトークンで買ってくれたら10%オフします」とか「今度リリースするクラブを当てたら〇トークンをプレゼント」とか、多種多様な、謎の特典はいっぱいあります(笑)。結構やろうと思えば、めっちゃ細かくできちゃうんですよ。雨降ったからポイント増やそう、とかまで(笑)


__そもそもお金を作っちゃうっていう発想が凄いなと思いますが、これはサッカーが好きっていう大坂さんのアイデアといいますか。




大坂:サッカーはまぁ、ウイイレがメインなんですけどね……(笑)。まぁまぁ(笑)、その話でいくと、ヨーロッパでサッカークラブのトークンを発行している『ソシオズ(ソシオズ・ドットコム)』ってところがありまして。これは私が丁度トークンの事業を始めようとしたときに色々調べていて「これいいな」って見つけたものなんですよ。それで、最初実は『ソシオズ』を日本で広めようと思っていまして。



__そうだったんですね!(ウイイレ……(笑))




大坂:なんですけど、日本と海外の規制ってめっちゃ差があって。『ソシオズ』はクラブチームのトークンを発行して、それを株式みたいな形で渡して変動していく形で、それが面白いなって思ったんですけれど、日本はそういう"価格が変動する通貨"を導入するのってかなり厳しくて。結論として日本に持ってくることができないってなったので、そうなったときに「じゃあ日本版のソシオズつくるか」みたい発想で、エールタムが始まったんです。今でこそエールタム自体にサッカー色が99%くらい付いてしまっていますが、僕がサッカー好きなだけでそのカラーが付きすぎてしまったので、今後はエンタメ系とかアーティストさんとかも含めて広げていきたくて、いま色んなところとお話させていただいてます。





電子マネーに自分たちのカラーを。そのルーツとは……?

__なるほど。となると、もっと大元の話になりますけれど、どうして大坂さんはファントークンをやろうって思ったんですか?




大坂:特別この話をして仕方ない部分もあるので表立って話していないんですけれど、自分たちがトークンとかコインを出している理由って、データを集めるためなんですよ。




__で、データですか……?




大坂:要は消費者の行動データとか購買データ、消費行動とかを各地域ごとに見て、それをデータとしてまとめてリアルタイムでマーケティングを行うってことを目的にしているんです。そこのタッチポイントが『トークン』や『コイン』ということなんです。それなので、そもそもほかのトークンなどを運営されている企業さんとは発想自体が違うんですよね。とはいえ、消費者向けに情報を得ていくのでそこを強く言っても仕方ないんですが、一方、企業の担当者の方に「リアルタイムマーケティングをしたいっていう目的でトークン発行しています」って商談とかでお話すると「なるほどね」って言っていただけるんですよ。だから「それならウチは、将来的には広告的な扱い方したいね」って話をいただいたりもします。


__そうなると、御社ってどう利益を得ていく形なんですか?きっと手数料をいただく形のビジネスモデルだと思うのですが……?




大坂:自分たちが行いたいのは、お金の稼ぎ方もちょっと違いまして。一般的には顧客基盤を持ってお金を稼ぐじゃないですか。「小林さん、この商品買ってください」で買いました、で、僕がお金をもらう。みたいな。これが膨れ上がって億単位とかの売上になるわけですけど、このような顧客基盤ではなくて、僕らの場合は流動させるような稼ぎ方なんですよ。A社がB社の商品を購入→B社が売上げたお金でC社の商品を購入→C社はその売上でA社の商品を……etc。といった形で、この中に私たちがいるってイメージです。購入時に私たちのトークンを使っていただくような。もちろん決済手数料はいただきますけど、そこ自体は先ほどお話した通り、あくまでデータを収益化したいための手段でしかないんです。


__勉強不足で申し訳ないんですけど、大坂さんの発想が異次元すぎて……。その発想って、どこから来るものなんですか?




大坂:各地域で自治体さんが取り組んでいるローカルマネーみたいなのがあるんですけれど、その中に『さるぼぼコイン』って、飛騨信用組合さんが2017年12月から発行しているデジタル地域通貨がありまして。それめっちゃ成功してるんですよ。30億円以上の流通がありまして。ただそれが流通しているのって、山に囲まれた小っちゃい町(?)なんです。飛騨信用組合さんからはじめて、徐々に地域の商店街のおばちゃんが取り入れて広まっていったんですけど、成功例って僕が知る限りその1つだけなんですね。それで、各自治体さんの取り組みもかなり勉強したんですけど、とにかくPRが弱いんです。だから電子通貨は使う文化あるんですが、PRを強化することと、成功事例をある程度たどれば行けるなって。ただ、やっぱり最初はスポーツのほうがインパクトあって広がりやすいし『地域と一緒に』って大々的に取り上げているのはサッカーで、Jリーグがそういう取り組みをしているので、そこと一緒にやったら面白いなと思って、って感じですね。





リアルタイムマーケティングで実現したい世界

__地域のローカルマネーの話もありましたけど、まさにたとえば北九州でギラコインが流行る、水戸でホーリーコインが流行るっていうのはあると思いますが、御社が目指している最終的な着地はリアルタイムマーケティングって話ですよね。これって、最終形態としてはどんなイメージをされているんですか?




大坂:たとえばギラヴァンツ北九州さんの試合を見に行ったとして「試合行きます→ギラヴァンツ北九州さんが勝ちました→帰りに会場近くで食事→ビール3杯くらい飲みました、ちょっとほろよいだな→お会計(ギラコイン使用)→会計5分後以内に、次の試合のチケット情報を配信」っていうのを、1人ずつ個別にやりたいんですよ。今は個別にマーケティングを行うための情報収集の段階なので、もう少し先の話になりますが。



__うわー。それはチケット買っちゃいます(笑)




大坂:買っちゃいますよね(笑)。で、それはその人の状況によって最適化されたものが送られてくる。たとえば大学生だったら、そこまでお金ないだろうから「次のチケットは10%オフです」とか、40代の方であればお金もあるでしょうから「3試合セットでどうですか」とか。そういう感情が高まっているときにできたらいいなって思ってます。最終的に目指しているのはそこで、日本だとそんなに言われてないんですけど、アメリカとかは結構その話は頻繁に出ているので、将来的にやりたいことですね。


__まさにセールスマーケティングの領域ですね!(この人、天才すぎる……)




大坂:あと、もうちょっと次の段階だと、ベッティングはやりたいんですよね。たとえば、サッカー観に行ってAチームに対して、チャージ額の500円ベットしました。それでベットしたAチームが勝ったら、帰り2,500円になるみたいな。それって嬉しいじゃないですか。海外では普通ですし。応援にも熱が入るでしょうし。そういう感じが、ファンエンゲージメントと地域通貨は紐づいているので、ベッティングはかなり生きると思っています。


__話はガラッと変えちゃいますけど、すごく根本ですけど、やっぱり大坂さんはサッカーが好きなんですね。




大坂:サッカーはもちろんですけれど、スポーツ業界を盛り上げたいって気持ちはもちろんあります!ですからエールタムを通じて、クラブの新しい収益の形を創って、まずはサッカー界を盛り上げられたらいいなって思ってもいます。あとかなり個人的になっちゃいますけど、ヨーロッパの『フットボール文化』のように日本がなったらなって。ただそれは自分1人でも弊社だけでもできることではなくて、クラブやリーグと一緒にやるもんだと思うので、そういう形が作っていけたら、本当に最高ですね。






デジタルは、もうデジタルではない。だからこそできることを。

__お話を聞いていると、スポーツ全てで使えるんじゃないかなって思うんですが、大坂さんの中ではその先もイメージがあったりするのでしょうか??




大坂:最終的には、ある地域に行くと、なぜかサッカークラブの地域通貨が認知度40%くらいで流通しちゃってて、それで旅行行った時にはそれ使った方がお得だし、適当にベッティングしてたら次の日めっちゃ増えてたわ、みたいな。そんな感じになったらいいなって思ってます。そうなったら、あんまりお金って感じしないじゃないですか。そういう世界は、結構理想ですね。



__大坂さんはお金の概念そのものも変えちゃいそうですね(笑)




大坂:僕、デジタルツールってもうデジタルじゃないなって思っていまして。たとえばもう電子マネーも日常に浸透しすぎてて、紙とかアナログの方だなって思っていて。もちろんデジタル処理されているんですけどね。僕は元々編曲家って、アレンジャーって仕事をしていましたけど、CDが主流だった時代から「ストリーミングになるだろう」って思っていて。結構そういう見方をしているんです。だからもう一段階これを上げて、デジタルもオンラインとオフラインの境目がない状態を創れたらなって思っています。デジタルって今だと自動運転とかメタバースとか、あっちのイメージです。


__僕らが活きている世界のさらに先を生きていらっしゃいますね(笑)。ちなみに半分余談ですけれど、たとえばクラブさんが「エールタムさんでトークン発行したいです!」ってなったら、お金は……?




大坂タダっす(笑)。タダですし、販促ツールとかも色々作っていますけど、そういうのもこっちが持ち出しでやっています。ユーザー獲得単価で割ったりして、その範囲であれば全然。夢は色々ありますけど、まずは今、このトークンを流通させることが最優先なので。あ、なので、記事には「QRコードでサクッと使えるので、地域の店舗の皆さん、ぜひ導入を検討ください」みたいなことを入れておいていただけると(笑)。導入の固定費とかもかかりませんし、買い物が起こらなければ手数料自体も発生しないので、ハードルも高くないと思いますから。


__あ、そうなんですね!想像しただけでも、地域とスポーツチームの繋がりも強くなってかなりWin-winなんじゃないかなって思うので、大坂さんと皆さんの今後も、しっかり注目しておきますね!




大坂:ありがとうございます!ちなみに、今はWEBブラウザのみで、アプリはまもなくリリースするような形です。ありがたいことに、想像以上に色んな反響がありまして、良い意味で問合せいただけたり、使っていただけるユーザーさんが増えています。あと、今回もそうですけど、メディアで取り上げていただく機会も増えていまして。冒頭お伝えした通り、サッカーだけに限らず、これからは他業種・他業態の方々とも手を組んで、一緒に各業界を盛り上げていけるように、自分たちも頑張っていきますね。


__めちゃめちゃ色々勉強させていただきました!大坂さん、今日はありがとうございました!!




【PROFILE】

大坂 亮平|canow株式会社COO

元々は編曲家。CDが主流だった時代から「ストリーミングになるだろう」「そうなれば流通の仕方も店舗ではなくオンラインになる」「となればプロモーションの方が重要だろう」と考え、動画広告の制作会社に入り、その後セールスプロモーションをメインとした上場企業にヘッドハンティングされ、デジタルマーケティング部の立ち上げを担った。また、この会社が入っていたビルの3Fには『コインチェック』という企業があった。これはメディアでも非常に話題になったが、当時『コインチェック』社の580億円の流出事件が発生。その際「どうしてこの会社が580億円ももっているんだろう」と興味を持ったことがキッカケで、ブロックチェーンやトークンなどについて調べ始め副業として携わり始める。副業での売り上げも好調になってきたタイミングで独立し、canow株式会社COOとして活躍している、現在39歳。

最近の趣味はロングスケートボード。3日に1回ほどの頻度で、滑れる場所でこっそり滑っているとのこと。当然サッカーは大好き。

YELLtum(エールタム)の公式HPはコチラ


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