「またルール変更されたの?」
「ルール変更がなされたけど、結局何が変わったの?」毎年ルール変更が行われて、今に至るバスケットボール。2000年には20分ハーフが現在の10分クォーター制に変わった、というルール変更の歴史もあります。
また最近ではトラベリングに関するルール変更が行われ、「ゼロステップ」が話題になりました。
ルールを理解することはプレーする上ではもちろん、観戦する場合でも知っておくと見ていてより楽しめるようになります。
2021年にもJBA(日本バスケットボール協会)とNBA(アメリカのプロバスケリーグ)でそれぞれルール変更が行われました。
ここでは2021年に変更されたルールについて、変更点について理由や背景も合わせて詳しく解説していきたいと思います。
<何が変わったの?>
毎年のようにルールがマイナーチェンジされるバスケットボール。
ここでは2021年に変更されたJBAのルールについて、ポイントになるものをピックアップして解説していきます。
○介助されたら交代
ゲーム中にコートの中のプレーヤーが怪我の治療や、装着しているサポーターやウェアの調整といった「介助」を、ベンチに座っているチーム関係者から受けた場合、そのプレーヤーは原則的に交代しなければならなくなりました。
ただしその介助が15秒以内であれば、介助をされたとはみなされないので交代する必要はありません。
ヒヤリとするような場面があった後に、思わずチーム関係者がコート内のそのプレーヤーに駆け寄ってしまうことがありますが、今後このようなことをすると交代になってしまうので、今後は注意が必要です。
○アンスポーツマンライクファウルの定義変更
そもそもアンスポーツマンライクファウルとは、体の接触がある悪質なファウルのことです。具体例で言うと、ユニフォームを引っ張ったり、わざと足を引っ掛けたり、ボールではなく人にぶつかりに行くような行為です。サッカーでいうところの「イエローカード」に当たるようなファウルですね。
このアンスポーツマンライクファウルですが、通称『アンスポ』と呼ばれ、ディフェンスがボールを奪って(スティール)速攻に向かう場面でよく起こります。
これまではオフェンスとディフェンスどちらのボールコントロール下にあるかによってアンスポかどうかの影響がありました。
しかし今回の2021年のルール変更で、プレーヤーとゴールの間に妨げるものが何もない状況で、ゴールに向かっているプレーヤーに対して後ろや横から不当な体の接触があれば全てアンスポーツマンライクファウルを吹かれるようになりました。
○ショットの動作の明確化
バスケットボールの試合を見ていて、「さっきのファウルはシュートファウルを吹かれていたのに、今回のファウルはどうしてシュートファウルではないんだ?」と納得いかないこと、ありませんか?
実はプレーヤーも同じようなことを感じていることがあり、ドライブやレイアップの時にファウルが起こると、シュートファウルなのかそれともシュート前なのか揉めることがよくあります。
審判の判断に対して抗議をしている選手をテレビなどで見たことがあるかもしれませんが、その中にはファウルに関する抗議が多くあります。
ショット動作に関するルール変更には、これまでのルールが「シュート中」の定義があいまいで、判断が人それぞれになってしまうことが問題である、という背景がありました。
2021年のルール変更で「ゴールに向かって、ボールを上方に動かし始めたと審判が判断した時」=「ショットの動作が始まった時」と明確に定義し、この問題を解決しようとしたのですね。
例えばレイアップの時は、ボールを持つとそれがボールを上方に動かし始めたと判断されます。ですが、ギャロップステップの途中で片足から両足着地をする間は、ボールをゴールに向かって上方に動かしているとは判断されないので、シュート動作とはみなされないのです。
○シリンダー
そもそもシリンダーとは、分かりやすく言えば、そのプレーヤーが占めている空間のことです。プレーヤーはこの空間の中であれば手足を自由に動かすことができ、この空間内での接触は基本的にファウルは吹かれません。
このシリンダーの概念はディフェンスにのみ適用されていたのですが、2021年のルール変更でオフェンスにも適用されるようになりました。つまりオフェンスプレーヤーにも手足・ボールを自由に動かせられる空間が与えられたということです。
今まではディフェンスプレーヤーがオフェンスプレーヤーに対して自ら接触をしにいき、オフェンスファウルを誘うというケースがありました。しかし、オフェンスにもシリンダーが適用されることにより、これを防ぐことを意図しています。
分かりにくいかもしれないので、具体的な場面を例に用いて解説します。
例えば、ポストアップをしているオフェンスプレーヤーに対して、ディフェンスプレーヤーが意図的に脇の下から腕を絡ませてオフェンスファウルに見せかけるというケース。これまではオフェンスファウルが吹かれていたこともありましたが、これは明らかにディフェンスがオフェンスシリンダーを犯しているのでもちろんディフェンスファウルです。
ここではJBAで変更されたルールについて解説してきましたが、2021年にNBAでもルール変更が行われたので、次にNBAで変更されたルールについて解説していきます。
NBAでも2021-2022シーズンから、新たなルールが適用されるようになりました。それは”バスケットボール的でない動き”によってディフェンスファウルを引き出す行為についてです。
そこでこの”バスケットボール的でない動き”の例を紹介するとともに、2021年のルール変更について詳しく解説していきたいと思います。
・シューターが異常な角度でシュートを放ったり、ディフェンダーに身を乗り出したりする行為
「異常な角度でシュートを放つって本当にあるの?」と思われた方もいるかもしれませんが、これは実はよく目にするプレーなんです。
実際の具体例を用いて解説します。
▼▼3ポイントラインの外で待ち構えるプレーヤーにボールが回る
▼▼プレーヤーがフェイクを入れる
▼▼ディフェンダーがブロックに飛ぶ
▼▼タイミングを見計らいディフェンダーがジャンプをしている間に体をぶつけにいってシュートを放つ
▼▼ファウルをもらう
このようなケースです。これはジェームズ・ハーデン選手やルカ・ドンチッチ選手が得意としていたプレーですね。しかし今回のルール変更でこのようなプレーはノーコールになる、ということです。
・オフェンス側の選手が急に進路を変更して、横や後ろのディフェンダーに接触する行為
このプレーについても、これまでステフィン・カリー選手や、トレイ・ヤング選手がファウルを量産してきたプレーです。このような急な進路変更によってディフェンスに対して故意な接触を促した場合、NBAは「オフェンスファウルをコールすべきだ」とコメントしています。
・シューターが上または横に異常な角度で足を出す行為
これはシュートモーション中にわざと足を前や横に出してディフェンスとの接触を誘発するものです。こちらも今後は危険行為としてオフェンスファウルがコールされるようになります。
・バスケットボール以外の方法でシュートを試みる過程において、オフェンス側の選手が腕をディフェンス側の選手に引っ掛ける行為
少し分かりにくい表現をしていますが、このプレーはオフェンスプレーヤーが意図的に腕をディフェンスプレーヤーの腕に絡めたりすることで接触をアピールする行為で、相手のディフェンスを妨げたとしてノーコールになるようです。
紹介してきたこのようなプレーは、これまでは相手からファウルをもらうための1つの”技術”である、という意見もありました。実際にこのようなプレーを得意とするジェームズ・ハーデン選手やステフィン・カリー選手はファウルをたくさん獲得し、得点を量産してきました。
しかし2021年に行われたルール変更によって、このようなプレーではファウルが吹かれなくなりました。
ファウルをもらうプレーを得意とし、得点を量産してきた選手の中には2021-2022シーズン苦しんでいる様子もみられます。
今回の2021年のルール変更の背景には、ドレイモンド・グリーン選手のようなディフェンスの名手が、メディアで度々「オフェンスが有利すぎる」と苦言を呈していたことも背景としてあるようです。
これまでオフェンスが圧倒的に有利だったNBAですが、今回のルール変更でどのように変化していくのか、目が離せません。
今回は2021年に変更されたルールについて、JBA・NBAそれぞれ解説してきました。
今回のルール変更でJBAではファウルの種類の明確化や、オフェンスに自由に動くことができる空間が与えられるといった変更がありました。
これでオフェンスが少し有利になるといった影響が出るかもしれません。
一方でNBAではこれまで吹かれていたディフェンスファウルが吹かれなくなる、もしくはオフェンスファウルが吹かれるようになるといった変更がありました。
2021年に行われたNBAのルール変更によってオフェンスが不利になるという影響が出始めています。
またNBAで変更されたルールは、その後国際ルール・国内ルールでも適用される傾向があるので、今後日本のルールもNBAのように変更されるかもしれません。
今後バスケットボールがどのようなルール変更が行われ、どのようにプレースタイルが変わっていくのか。プレーヤーとしてもファンとしても目が離せませんね。
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