広報は「空気づくり」。転職1年目の球団広報が目指す、プロ野球の今と未来

西武ライオンズ広報 服部友一

広報は「空気づくり」。転職1年目の球団広報が目指す、プロ野球の今と未来

西武ライオンズ広報 服部友一

6月19日、いよいよプロ野球が開幕します。この日を待ちわびていたのは、ファンや選手だけでなく、球団で働くスタッフも同じです。

今回インタビューをした服部友一さん(31歳)は、リーグ3連覇を目指す西武ライオンズに昨年10月、広報として入社。初めてのシーズンを目の前に日々、準備に走り回っています。

実は服部さん、元々は地方局のアナウンサー出身。その後、事業会社の広報やPR会社の広報を経て、現在に至ります。どうして「広報」という仕事に魅了されたのか?そして自身のキャリアを通してプロ野球にどう貢献していきたいのか?コロナ禍だからこそ実感した「野球の力」についても、お話を伺いました。

(取材・構成・撮影=スポジョバ編集長 久下真以子)


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選手がメリーゴーランド?球場内に「都心のカフェ」?広報の舞台ウラ


ーーいよいよプロ野球が開幕しますね。服部さんの担当する「広報」ってどんな仕事なんでしょうか。

服部:当社の広報は2種類に分かれています。1つは皆さんもイメージしやすい「チーム広報」で、試合などに帯同してメディア対応をする仕事です。もう1つが「事業広報」。イベントやグッズ販売情報などのほか、会社の事業戦略などを発信する仕事です。私は事業広報を担当しています。

ーー球団の運営そのものにも関わってくるお仕事なんですね。

服部:もちろん入社後はチーム広報の仕事も勉強させてもらいましたけど、事業広報はオフの時期がさらに忙しくなりますね。昨年のクライマックスシリーズが終わって最初に行ったのは、LIONS THANKS FESTA(ファン感謝祭)です。メットライフドームは球場改修をしているので、隣にある「西武園ゆうえんち」で初めて開催したんですよ。そこでは選手とファンが一緒にメリーゴーランドに乗ったりもしました。昨シーズンHR王の山川穂高選手が馬に乗ったり、イケメンの金子侑司選手が馬車に乗ったり(笑)。珍しいイベントになったので大盛況でしたね。

ーーそれはファンにとっても貴重な経験!他にも服部さんが関わった仕事には、どんなものがありますか。

服部:新しいレストランが球場内にオープンするんですけど、「都心のカフェ」のようなオシャレなお店にしました。SNS映えするようなドリンクや女性受けするメニュー、埼玉県産の野菜を使った健康を意識した食材…一見野球とは離れたところをコンセプトにしたんですよ。そういうところに興味がある女性や近隣の方々に野球場に来てもらって、ファン層を広げていくのが狙いです。

ーー「女性」というのはビジネスにおいてキーワードになりますよね。

服部:女性の経済を回す力は大きいですからね。購買意欲も高いですし、そういった方が来て、そして次に誰かお知り合いの方などを連れてきていただくという流れが出来れば、メットライフドームに来るファンの方々はどんどん増えていくと考えています。






自分のアイデアが人々に影響を与える瞬間。広報のやりがいとは


ーー服部さんが西武ライオンズの広報になったきっかけは何だったのでしょうか?

服部:それまでにも広報の仕事を経験して、この仕事をもっと突き詰めたいと思ったんですよ。そんなときに出会ったのがライオンズの求人でした。もともとスポーツが好きだったということもあるんですけど、子どもたちの野球離れなども叫ばれる時代の中で、スポーツをビジネスにするというところにすごく魅力を感じたんですよね。プロ野球球団を運営している会社がどうやって収益を上げて、どうやってファンを増やしていくか。どうやってグルメやグッズを売っていくのかという仕事はなかなか経験のできないことなので、応募することに決めたんです。

ーー実際に入社してみて、いかがでしたか。

服部:広報というそれまでの経験を生かせることもあれば、全く違うこともありましたね。今まではそもそもどうやってメディアを通して自社の商品やサービスを広げていくか、というところから考えていました。でもプロ野球はありがたいことにテレビのスポーツ番組やスポーツ紙など多くのメディアの方が日々来てくださるので接する機会も多いですし、そういった面ではすごく恵まれていると思います。一方で、それ以外の分野が弱いという課題があります。これからの課題で言えば、例えば先ほど話したレストランなどは野球ファンのみならず幅広い層をターゲットにしているので、グルメ系やおでかけ系などスポーツ以外のメディアにも取材していただいて、ライオンズや野球の魅力を知ってもらえるようにしていきたいし、私自身それを期待されて採用されたのかなと思います。

ーーもともとアナウンサーで「取材する側」だったのが、広報になって「取材される側」に立つようになりましたよね。

服部:取材や撮影の勘所といいますか、そういったものは何となく分かりますね。「メディアはこういうのが撮りたいかもしれない」とか、「今こういう世の中だからこういう話をすれば取材のきっかけになるな」というのは、両方の立場を経験しているからこそすごく役に立って来ました。メディアの気持ちもわかるからこそ、それを逆手にとって「こんな話題はどうですか?」と提案できることもあります。

ーー今、ライオンズの広報をしていてやりがいを感じるときはどんな瞬間ですか。

服部:やっぱり自分の担当した仕事が世の中に出ていくというのは喜びを感じますね。ネットニュースやSNSも毎日チェックしますし、そこでのコメントや反応を見られるのも嬉しいです。「皆さんこう思ってくれてるんだ」って感じることもありますし、勉強させてもらうこともたくさんあります。自分の仕事がどう見られているのかを自分の目で見られるのはやりがいを感じますし、次の仕事へのヒントにもしています。






広報の仕事は「空気づくり」。ビジネス思考でベクトルを変える


ーープロスポーツチームでの仕事に興味を持っている読者の方もいらっしゃると思いますが、この業界に入るために必要なことってありますか。

服部:大前提としては、スポーツに興味を持っている人です。さらに競技そのものだけでなく、スポーツビジネスに興味のある人ですね。スポーツチームって昔とは結構組織が変わってきていると感じていて、当社もスポーツ業界じゃないところから転職してくる人も多いんですよ。だから、挑戦したい気持ちがある人はすごく向いているはず。なかなか特殊な業界でもあって、今までの経験が生かせるところもあれば今までの常識が通用しないところもあるので、それを「面白い」と思える人は向いているんじゃないかと思いますね。

ーービジネス的思考があったほうがいいということですね。

服部:そうですね。基本的にファンのみなさまが観戦に来て下さるおかげで球団経営が成り立っているんですが、野球運営のためにかかる費用なども多いです。球団の収益構造やビジネスをきっちり理解してくれる人が求められますね。野球が好きなのはもちろん大事ですけど、好きなだけではギャップを感じるかもしれません。ちなみに私はテニスをやっていたので、野球経験は本当にないですからね(笑)。

ーー広報って、一言で言うとどんな仕事だと思いますか。

服部:よく言われるのは「空気づくり」ですね。かっこよく言うと「世論を作る」じゃないですけど、野球に興味がない人や球場観戦から遠のいてしまっている人に対して、野球が気になってしまうような、野球を見に行きたくなるような空気づくりを仕掛けたいですね。個人的には広報PRはマーケティングの手段のひとつだと考えていますが、メディアに出すという特性上、ターゲットを極端には絞り込まずに広く情報を出していくので、メディアを通して「ライオンズの試合観に行ったら楽しそう!」という空気をあらゆる人たちに生み出していくのが私たちの使命だと思っています。

ーー情報を受け取った人のベクトルを、野球に向けさせていくということですね。

服部:そういうことです。そのためには情報感度はすごく高くないといけないと思っていて、今人々が何を感じているのか?何を求めているのか?ということを敏感にキャッチして社内に戻すことが大事になってきますね。世の中の流行もそうですし、一見野球に関係のなさそうな分野にも集客のヒントがあるかもしれないので、自分の中にインプットするようにしています。






人々の生活に野球で「彩り」を。野球が担うこれからの使命


ーー服部さんの今後の目標はありますか。

服部:やっぱりもっともっとライオンズのファンを増やすことですね。今進めている球場の改修工事も来年に完成するんですよ。その時に、メットライフドームそのものも取材してもらってたくさんの人に来てもらうというのが直近の大きな目標です。メットライフドームって野球だけじゃなくてコンサート会場としても多く使われているんですよ。Kis-My-Ft2やももいろクローバーZが代表的ですけど、モノノフ(=ももクロファン)がこれをきっかけにライオンズファンになってくれたりしたら最高ですよね。

ーーそれはいいですね!いろんな視点からの取り組みが必要ですね。プロ野球は日本では長く根付いているスポーツの1つだと思いますが、盛り上げ続ける使命ってどこにあると思いますか。

服部:見る人にとっては、野球も含めてスポーツはエンターテインメントなのではないでしょうか。人生や生活を豊かにする1つの手段でもあると感じるんです。僕たちが野球を盛り上げることで、見る人の生活に彩りが添えられるなら、そういった人たちを増やすことがスポーツ界の使命なんじゃないかと思いますね。

ーーコロナ禍で開幕が延期されて、当面は無観客試合の予定にもなっています。改めて球団としても、ファンの存在の大きさを感じたことも多かったのではないでしょうか。

服部:本当に感じますし、選手からもそういった声をたくさん聞きましたね。当面は無観客試合になりますが、ファンの皆さまにオリジナルのフラッグや応援ボードを送っていただいて、それを内野席と外野席に掲出する企画を予定しています。またTwitterでハッシュタグをつけて応援メッセージを投稿していただければ、球場の大型ビジョンにも出す予定にしています。できるだけ現場とファンがつながっていられるように工夫はし続けていきたいですね。

ーーあとは、リーグ3連覇と日本一ですね!

服部:そうですね。私は去年のリーグ優勝の直後に入社したので、目の前で優勝する瞬間を見てみたいです。チームが勝てば注目も増えて取材される機会も増えますし、今の恵まれた環境に甘えずどんどんチームの発信をし続けていきます。






【PROFILE】

服部友一(はっとり・ゆういち)

1988年、千葉県生まれ。法政大学卒業後、鹿児島読売テレビにアナウンサーとして入社。その後事業会社やPR会社での広報を経て、2019年10月1日に西武ライオンズに広報として入社。特技はテニス、料理。


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