サッカー無関心から気づけばクラブの役員に他業界からの転身でも「意外と通用する」

株式会社ゼルビア クラブアドバイザー 岡本健一

サッカー無関心から気づけばクラブの役員に他業界からの転身でも「意外と通用する」

株式会社ゼルビア クラブアドバイザー 岡本健一

株式会社ゼルビア クラブアドバイザー
株式会社デリシャスタイム 代表取締役社長
株式会社ライフパフォーマンス 代表取締役

1966年2月11日生まれ、京都府県出身
1991年に株式会社小田急百貨店に入社し、イベント企画、商品部のバイヤーなどを担当。2004年にFC町田ゼルビアと接点を持ち、以降長年にわたってクラブをサポートした。2016年に小田急百貨店を退職し、株式会社デリシャスタイムを設立、同年に株式会社ゼルビアの取締役に就任。2017年に株式会社ライフパフォーマンスを設立し、2018年10月からはゼルビアの取締役を退き、クラブアドバイザーを務める。



目次


- 町田ゼルビアと関わったきっかけ

- トップアスリートをサポートするライフパフォーマンスなど2社の立ち上げ

-サッカーに関心は全くなかったのに...?

-『ゼルビア×キッチン』の中で起こした変化

-Jリーグクラブスタッフと労務変化

- サッカー業界が求める人材はサッカーを知らない人?




FC町田ゼルビアと関わったきっかけ


もともとは小田急百貨店で働いていたそうですが、FC町田ゼルビアとはどのような形で関わるようになったのでしょうか?


岡本 最初は2004年ですね。当時小田急の労働組合にいまして、上司から“街づくり”を担当するよう指示を受けたんです。その対象になったのが小田急の店舗がある町田でした。その時の町田は物騒なところもあって、人によっては悪い印象を持っていたので、まずは街のイメージを変えようと。そこで商店街などと一緒に“街づくり”を進めていく中、いろいろ調べてみると町田が“少年サッカーの街”だとわかったんです。それから、まだJリーグに加盟していなかったゼルビアと接点を持ち、現社長の大友健寿と出会いました。そして、当時クラブスタッフだった大友から、「クラブをJリーグに上げるために協力してほしい」と言われ、ボランティアのような形でクラブに関わるようになりました。

具体的にどんな手伝いをしたのでしょうか?


岡本 僕は小田急の社員だったので交通費だけもらい、できる範囲で、例えばクラブ内の業務改善のアドバイスだったり、試合運営のサポートだったり、集客のための企画を立てたり、いろいろなことをやってきました。一応名刺ももらって、最初は「スタッフ」という肩書きだったんですけど、いつの間にか「企画部長」になっていましたね(笑)。



2016年にゼルビアの取締役に就任しています。


岡本 小田急を辞めて、クラブの取締役になりましたけど、退職した一番の理由はクラブ経営に関わるためではなかったんです。実際ゼルビアでは社外取締役という形で関わり、それとは別に今2つの会社を経営していて、もともとは起業するために小田急を離れたんです。昨年10月にはサイバーエージェント社がクラブの経営に参画し、僕自身はそのタイミングで取締役を外れ、現在はクラブアドバイザーとしてクラブをサポートさせていただいています。






写真:兼子愼一郎




トップアスリートをサポートするライフパフォーマンスなど2社の立ち上げ


2016年に株式会社デリシャスタイムを、2017年に株式会社ライフパフォーマンスを設立しています。


岡本 デリシャスタイムは文字どおり「おいしい時間」を日本から世界に、世界から日本に、というテーマで、飲食店の業態開発をしています。8月6日に表参道にオープンした、マカオにあるタピオカミルクティーのお店の日本展開を手伝ったり、上海に年内オープン予定のおにぎり屋の海外進出を手伝ったり。それと新百合ヶ丘に1店舗、お店を構えています。もう一つのライフパフォーマンスは、トップアスリートのコンディショニング管理を担当していたトレーナーを集めて運営しています。稲本潤一(SC相模原)選手や家長昭博(川崎フロンターレ)選手、酒井高徳(ハンブルガーSV)選手などプロアスリートにも利用いただいていて、その他にも契約している選手がいるのですが、経営者やビジネスマンなど一般の方々のコンディショニングもサポートしています。体を鍛えることや体調管理もそうですけど、ゴルフのスコアを上げるトレーニングや、睡眠を改善させるトレーニングなども行っています。



サッカーに関心は全くなかったのに...?


ゼルビアにお話を戻します。2004年から約15年クラブに関わっていますが、もともとサッカーに関心はあったのでしょうか?


岡本 いえ、全くなかったんです(笑)。学生時代はバスケットボールをやっていて、サッカーには興味がありませんでした。そこで思うのは、スポーツ業界は決して特別な世界ではないのかなと。スポーツ業界と関わりがなかった僕でも意外と通用するところはあるので。

サッカーへの思い入れがそこまで強くなかった中で、なぜ長年クラブに携わってきたのでしょうか?


岡本 ゼルビアは2011年にJFLからJ2に昇格したんですけど、翌2012シーズンに降格してしまいました。僕としてはJ2に上がった時点でもう役割を果たしたかなと思っていて、それで2012シーズンに残留したらクラブを離れようと。でもその年に落ちてしまって。湘南ベルマーレとの最終節、勝てば残留という試合でした。そこで負けたんですが、審判が試合終了の笛を吹いた瞬間に、ザーっと雨が降ってきたんです。すごくドラマチックな終わり方で、なぜか僕は泣いてしまって(苦笑)。悔しかったんですよね。もうこれは辞められないなと(笑)。大友にはクラブを出ると伝えていたんですけど、「やっぱり残る。もう一度Jリーグに上げて、状況が安定するまで手伝う」と言いました。とはいえ、自分は小田急で働いていましたし、どれだけできるかはわからなかったですけど。



『ゼルビア×キッチン』の中で起こした変化


昨年10月に取締役を退任されてからはどんな業務をされているのでしょうか?


岡本 ホームゲームの運営なども担当していますし、『ゼルビア×キッチン』にも関わるようになりました。『ゼルビア×キッチン』は選手やスタッフが食事をする場所でありながら、一般の方々も利用できる飲食店で、昨年から僕も関わるようになり、今年7月にリニューアルオープンしました。

どのように変えたのでしょうか?


岡本 もともとお付き合いのあった服部栄養専門学校の方に相談し、コンセプトから立て直しました。それまではカフェのような業態だったんですが、管理栄養士監修の定食型のメニューにすべて切り替え、営業時間も変更しました。食材も地産地消にこだわり、味もよりおいしくなったと思います。ユースの選手もみんな食べるようになり、親御さんからも評判がいいので良かったです。ゼルビアは育成型のチームとして、ユースからトップに、トップから日本代表に、と成長させることを目標の一つとしています。そこには当然、体作り、食事も含まれているので、選手の活躍に伴って『ゼルビア×キッチン』も注目されればと期待しています。






写真:兼子愼一郎


Jリーグクラブスタッフと労務変化


2004年からクラブのスタッフ数はどのぐらい増えてきましたか?


岡本 当時は6、7人で、今は15人ぐらいですね。J2クラブでは少ない方ですし、大変だと思いますよ。



Jリーグクラブのスタッフは激務を強いられている印象がありますが、労務面は改善されているのでしょうか?


岡本 当時は限りなくブラックに近かったと思いますよ(苦笑)。やっぱりスポーツチームですから“体育会系精神”が強いところがありましたし、クラブ創成期だったのである意味、仕方がなかった部分もあるかなと。少ない人数でも現場のスケジュールに合わせて行動しないといけないし、ホームタウン活動は本当に大変ですし。でも今はクラブ内に人事労務の担当がいてだいぶ変わってきました。上場企業のサイバーエージェントが経営に入ってきて、より最適な労働環境を模索しているところで、今後も確実に変わっていくと思います。



サッカー業界が求める人材はサッカーを知らない人?


今後サッカー業界にはどんな人材に入ってきてほしいと思いますか?


岡本 僕みたいな他業界から来た人間は異色で、まだサッカー業界はサッカーに関わってきた方々が多いんですよ。だから世間的には当たり前じゃないのに、サッカー業界では当たり前として行われていることも多い。そこを一般的な視点で変えられる人、改革できる人がいいかなと思いますね。例えば営業職もそうです。一般企業でバリバリ営業をやっていた方は、サッカー関係者とは違う観点で営業できますし、今まさに求められている人材かなと。企画を立てるスタッフもそう。サッカーの枠に捉われず、いろいろな経験をして俯瞰的に見られる方だったら違うアイデアも出てくる。極端に言えば、そういう他業界の方々を積極的に招き入れないと、サッカークラブはどんどん縮小していくんじゃないかという気もしています。

今後ゼルビアをどういうクラブにしていきたい、どんなクラブになってほしいと思いますか?


岡本 僕はゼルビアに育てられましたし、大友にも本当に感謝しています。自分が考えたこと、思いついたことを具現化できる場所ですし、いろいろな意味でビジネス感覚を磨かせてもらいました。今後クラブの業務にどれだけ関われるかわからないですけど、応援する気持ちはこれからも変わりません。サイバーエージェントが入り、クラブはリブランドしていくと思います。それは次のステージ、J1やアジアチャンピオンズリーグに行くために必要なことですし、ぜひ目指してほしいです。ゼルビアは東京のクラブですし、もっと大きなクラブになれると信じています。

 





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