19歳で独立し、自身の挫折経験から「挑戦したい人が再スタートできる環境をつくりたい」と株式会社Antraceを立ち上げた堀 薫さん。同社では、「会社のために人がいるのではなく、人のために会社がある」という考えのもと、メンバーの「やりたい」を積極的に形にしてきました。
その一方で、自由に挑戦するだけではなく、営業や人材育成を通して、その想いを実現する力を身につけられる環境も整えています。
「おもしろそう」と思ったら、まずやってみる。そんな文化はどのように生まれ、人や事業の成長につながっているのか。新たに動き始めたスポーツ事業の展望とともに、堀さんに伺いました。
(取材・執筆:伊藤 千梅、編集:小西 秀人、中田 初葵)
——現在は会社としてどのような事業を行っているのでしょうか?
インサイドセールスを一つの軸に、幅広い事業を展開しています。例えば、スポーツイベントの企画をはじめ、SNSを活用して飲食店や脱毛サロンなどを支援するインフルエンサーマーケティング、未経験からシステムエンジニアを採用・育成する事業、Amazonの配送事業なども行っています。催事では、ショッピングモールなどで商品を対面販売していますし、8月からはTikTokなどで配信するライバー事業も始めました。
——幅広く事業をされているのですね!スポーツイベントの企画や8月から始まったライバー事業などの新しい取り組みは、どのようなきっかけで始まるのでしょうか?
事業内容にはあまり固執していないので、思いついたらとりあえずやってみていますね。僕が始めることもあれば、社員の「やりたい」から動き出すこともあります。
例えば以前、ネイルができるスタッフや、フリーランスで美容師をしていたメンバーがいたことがありました。その際は会社から費用を出して、ほかのメンバーが無料で施術を受けられるようにしたんです。「おもしろそう」と思ったらまず始めてみるのが特徴だと思います。

——社員のやりたいという想いに対して、「まずやってみよう」とすぐに動けるのはなぜでしょうか?
失敗しても、大きなデメリットはないと思っているからです。もちろん、新しいことを始めるには工数がかかります。でも、メンバーが「やってみたい」と言ったことが実際に叶えば、「ここは自分のやりたいことを実現できる場所なんだ」と思ってもらえますよね。そうすれば、次もいろいろな意見を出してくれると思います。逆に、「どうせ自分の意見なんて通らない」と思ったら、主体性がなくなってしまいます。だから、プラスになると思ったことは、基本的にやってみます。
これは事業に限りません。うちの会社にはもともと「シェアする文化」があり、仕事だけではなく自分が良いと思ったものは共有します。例えば、スタッフから映画をおすすめされたら僕も観に行ってみますし、良かったら「みんなで観に行こう」と10人〜15人くらいの企画を立てることもあります。
——社員みんなで映画を見に行く!素敵な取り組みですね。どうしてシェアする文化を大切にされているのでしょうか?
どの事業でも根幹にあるのは人材育成だと考えています。人を育てるときに、さまざまな価値観や考え方を理解できなければ、自分とは違うタイプの人と会話をしたり、何かを教えたりすることは難しいですよね。
だからこそ、いろいろなものをシェアして、自分とは違う価値観に触れることを大切にしています。「まずやってみる」「良かったものはシェアする」。そうした経験の積み重ねが、一人ひとりの成長にもつながっていると思います。

——何でも挑戦できる文化が根付いているAntrace社ですが、組織づくりにおいて、どのようなことを大切にしていますか?
うちは、どの事業でもキャリアアップできる仕組みにしています。
プレイヤーとして1人で働いているだけでは、稼げる金額に限界があります。でも、自分が5人や10人規模の組織を持てるようになれば、生み出せる利益も大きくなるので還元できます。仕事を続けながら、次のステップを目指せるような設計を意識しています。
——キャリアアップする上で身につけることは共通しているのでしょうか?
そうですね。例えば、サッカーと野球ではプロになるために必要なスキルは違いますよね。でも、振る舞いや言動、あり方には共通する部分もあります。うちも同じで、事業が違っても教えている根本的な部分は共通しています。リーダーになると担当する案件が変わることもありますが、比較的早く成果を出せる人が多い。それは、商材ごとのノウハウだけではなく、仕事に取り組む「あり方」を身につけているからだと思います。
——個人で成果を出すことと、マネージャーとして人を育てることでは、必要な力も違うと思います。そこはどのように学んでいくのでしょうか?
営業を学ぶ段階では営業が得意なメンバーから教えてもらい、成果を出せるようになったら、今度は人材育成が得意な人から学んでいきます。
たとえば「三角マネジメント」という方法も活用しています。僕が新人に教えているところにリーダーが同席して、実際のやり取りを見てもらいます。新人向けのミーティングも基本的に毎日開催しているので、リーダーも一緒に参加して、伝え方などを実践の中で学んでいきます。

ほかにも、毎週、人材育成や考え方に関する社内研修をしていますし、外部の方から学ぶ機会もつくっています。これまでには、アパホテルの社長に来社いただき、長年のご経験や考え方をメンバーに直接お話ししていただいたこともあります。
——実践的に学びながら成長につなげているのですね。
何かをやるときには「これがどこにつながるのか」を常に考えています。
例えば、僕たちはボランティアでクリーン活動を行っていますが、4〜5チームに分かれてゴミを拾い、最後に各チームの代表者が「自分たちはこんなゴミを拾った」「ここを頑張った」とプレゼンします。単純に拾った量で競うのではなく、どう伝えるかまで含めて審査して、優勝チームを決めるんです。
もちろん、街をきれいにしたり、助け合ったりすることが一番の目的です。でも、それだけではなく、プレゼン力や営業力を身につける機会にもできる。仕事でもボランティアでも、一つひとつの経験がその先の何につながるのか。そこまで考えて、メンバーが成長できる機会を増やしていきたいと思っています。

——働く方々の成長を見据えた仕組みや取り組みを行っているAntrace社ですが、日頃から社員の皆さんに伝えている、会社として大切にしている考え方はありますか?
うちが理念として伝えているのは、「会社のために人がいる」のではなく、「人のために会社がある」ということです。これは入社前の段階で必ず伝えています。一人ひとりに「将来こうなりたい」というビジョンがあって、そこへ向かう途中に会社がある。そういう場所でありたいと考えています。
リーダーとなるメンバーは、営業、人材育成、組織運用とキャリアを重ねていくのですが、決して楽ではないと思います。それでもキャリアアップを目指すメンバーの離職率は5%以下です。個人と会社が同じ方向を目指せていることも、その理由の一つだと思っています。
——「人のために会社がある」という考え方には、どのような原点があるのでしょうか?
僕には2歳下の弟と、8歳離れた妹がいます。もともと「親孝行したい」「弟や妹の学費も自分で稼ぎたい」と、自分で稼げるようになろうと起業を目指しました。
それがある程度叶った頃には、自分の下にたくさんのメンバーがいました。そこで今度は、「このメンバーたちを勝たせたい」と思うようになったんです。それを続けていたら、少しずつ会社も大きくなっていきました。

——堀さんご自身が感じられてきたことが原点となっているのですね。そんな仲間を採用するときに、どのような部分を大切に見ていますか?
経験やスキル以上に、頑張りたいという気持ちがあるか、うちの価値観や考え方に共感してもらえるかを大切にしています。それらの項目をすごくシンプルに言えば、「自分の人生をより良くしていきたいと思っているか」です。
給料や仕事内容だけが希望なら、ほかの会社でも叶えられます。だからこそ、未経験でも「Antraceの考え方が好き」「この環境で頑張りたい」と思ってくれる人と一緒に働きたいですね。
——現在募集しているスポーツ関連の新規事業も、「人のために会社がある」という考え方の延長線上にあるのでしょうか?
そうですね。スポーツをやっている大学生は、4年生まで競技に打ち込んでいると、なかなか就職活動まで手が回らないこともあります。プロになれなかったときに、その先のキャリアに迷ってしまう人も多い。だからこそ、スポーツに励んできた方々を救える場でありたい。
僕たちがスポンサーをしている大学のサッカーチームは、競技や学業に取り組みながら、営業などの仕事も経験して、学生時代からキャリアについて学んでいます。
今は「フットサルスクールをやってみようか」といったアイデアを学生から出してもらいながら、一緒にどんな事業にしていくかを考えているところです。
——大学生にも自分のキャリアを学んでもらう機会を作っているのですね。今後、スポーツ事業をどのように広げていきたいと考えていますか?
うちには子育てをしながら頑張っているメンバーもいるので、PTAやママ友・パパ友などを通して、子どもたちやその家族とつながることができます。子どもにスポーツをやらせたくても、「スクールは高そうだし、いきなり通わせるのは不安」という人もいると思います。そういう子どもたちが気軽にスポーツを体験できる機会をつくるのもおもしろいなと考えています。今は東京と大阪に拠点を広げているので、スポーツに限らず、地域の子どもたちが楽しめるイベントなども含めて、いろいろなことに挑戦していきたいです。

——働かれている社員のことを考えた新しい取り組みですね。会社としては、これからどのような存在になっていきたいですか?
会社を経営する中でいろいろな人と出会ってきましたが、「やりたいことはあるけれど、どう叶えたらいいかわからない」という人がすごく多いと感じています。
うちは想いを形にする力を身につけていける環境だからこそ、もっと多くの人にAntraceの取り組みを伝えて、チャレンジしたい人の選択肢を増やしていきたいですね。「頑張りたいなら、とりあえずAntraceに行ってみよう」と思ってもらえる会社になりたいです。
——チャレンジしたい人の選択肢を増やす場であるために、これからも、世の中にまだ存在しないことに挑戦していきたいですか?
そうですね。みんなから「それ、いけるんじゃない?」と言われるものは、すでに挑戦している人がたくさんいるということでもありますよね。でも僕はむしろ「そんなのできないよ」と言われるものほど、チャンスがあると思っています。だから、「できる」よりも、「できない」と言われることに挑戦していきたいですね。
——最後に、Antraceに興味を持っている方へメッセージをお願いします。
うちはなにかの業務経験がある人よりも、未経験の人の方がうまくいくことも多い会社です。キャリアは未経験からでも、いくらでも挑戦できます。
まずはカジュアルにスタッフと話したり、社内の雰囲気を見たりするだけでも大丈夫です。「おもしろそうだな」と思ったら、まず一度飛び込んでみてほしいですね。
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【PROFILE】
堀 薫(ほり かおる)
株式会社Antrace代表。19歳で独立し、自身の経験から「挑戦したい人が再スタートできる環境をつくりたい」と同社を設立。インサイドセールスを軸にさまざまな事業を展開しながら、未経験者の育成や組織づくり、新規事業の立ち上げにも力を入れている。
| 設立年月 | 2021年11月 | |
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| 代表者 | 堀 薫 | |
| 従業員数 | ||
| 業務内容 | ・テレマーケティング事業
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