今回のテーマ：面接で聞いていいこと、いけないこと

面接は企業と応募者がお互いのことをよく知り合うための場。相手のことをよく知りたいと思って、こんな質問をすることがあるかもしれません。

・あなたのお父さんの職業はなんですか？
・あなたの好きな本はなんですか？
・結婚や出産をしても働き続けてもらえますか？

実はこれらの質問はすべて、法律と照らし合わせると「不適切」な質問になってしまう可能性があるんです。

不適切な質問をしてしまった場合、法令違反の罰則を受けたり、訴訟に発展したり、ネットや口コミで会社の悪い評判が広まってしまったり、さまざまなリスクを抱えることになります。

なぜこれらの質問が不適切になる可能性があるのでしょうか？知らないうちにしてしまわないためには、政府が示している採用選考の基本的な考え方をよく理解して選考活動を行う必要があります。

＜参考＞
・就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例 | 大阪労働局

採用選考の基本的な考え方

採用選考をするうえで守るべき最も基本的なルールが2つあります。
①応募者の基本的人権を尊重すること
②応募者の適性・能力に基づいて行うこと

これを言い換えると、
「応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない」
ことが採用選考の大原則になります。

「適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない」ということは、「適性・能力とは関係ない質問はしてはいけない」ということになります。

では、「応募者の適正・能力とは関係ない事柄」とはいったい何なのでしょうか？政府は次のように①～③の具体例を示しています。

①本人に責任のないこと

・本籍・出生地

・家族のこと

・住宅のこと

・生活環境や家庭環境のこと

②本来自由であるべきこと

・宗教に関すること

・支持政党に関すること

・人生観、生活信条に関すること

・尊敬する人物に関すること

・思想に関すること

・労働組合に関する情報（加入状況や活動歴など）、学生運動など社会運動に関すること

・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

③男女差別につながる恐れのあること

・結婚、出産に関すること

・交際相手に関すること

①、②に共通していえることは、これらの情報が「その仕事をするための適性や能力があるか」とは無関係だということです。

③については、男女差別につながる可能性のある質問として、男女雇用機会均等法に違反する可能性があります。

繰り返しになりますが、もっとも大切なポイントは「応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない」ことです。

面接をする際には、「この質問は本当に適性・能力と関係があるのか？」と一度立ち止まって考えてみるようにしましょう。

＜参考＞
・公正な採用選考の基本｜厚生労働省

相手の本音を引き出せるOK質問の例

ここまでNGな質問について紹介してきましたが、「あれもダメ」「これもダメ」では何も聞けなくなってしまって困りますよね。

最後に、応募者の適性や能力がよく分かる質問をいくつかご紹介します！実際の面接時にぜひお役立てください。

①過去の経験業務やスキルに関する質問（中途採用の場合）

・今までどのような業務を担当されていましたか？

・仕事をするなかでどのような工夫をしていましたか？

・〇〇についての知識はもっていますか？経験は何年ほどお持ちですか？

・業務を通じて最も努力してきたことは何ですか？

・ご自身の強みは何ですか？この仕事のどういったところに活かせると思いますか？

②転職・退職に関する質問（中途採用の場合）

・退職を考えるようになったきっかけは何ですか？

・この条件があったら、現職に残っても良いなと思うものを教えて頂けますか？

・応募いただいた仕事とこれまでの仕事の違いはどのような点にあると思いますか？

③事業・業務理解に関する質問

・当社で働くことで、どのような目的を達成したいとお考えですか？

・他にどんな企業へ応募していますか？その企業と当社の違いはなんですか？

・当社のどのような点に魅力を感じましたか？

＜参考＞
・面接質問集｜すぐ使える50の面接質問＆はじめて面接官必見の心得・見極め他、基礎からわかる面接ガイド｜エン人事のミカタ by エンジャパン

今回は「面接で聞いていいこと、いけないこと」について、具体例を交えながらご紹介してきました。少しでも面接時のお役に立てば幸いです。